
2015年介護保険法改正のポイント(前編)

介護ニーズの急増により、介護保険制度が始まったのが2000年4月。創設時から受給者数も給付費も増え続けています。2001年度、制度が始まった当初は、介護保険サービスの利用者(実際の受給者数)は約287万人でした。それが、2012年度には約543万人と、約10年で2倍近く増加しました。(平成25年度・高齢社会白書より)
介護保険法は、2006年度と2012年度にも大きな改正がおこなわれています。今回は、2015年4月の介護保険法改正について、前後編で解説していきます。
前回までの制度改正
これまで介護保険法は「6年ごとの法改正、3年ごとの報酬・運営基準などの改正」というサイクルで運営されてきました。そのため、次回の改正は2018年頃と見られていましたが、実際にはわずか3年ほどで、2015年度に再び改正されることになりました。
- 2006年度のおもな改正内容
前々回の改正時には、介護の「予防」という考え方が導入されました。 予防のケアプランを担当する「地域包括支援センター」が整備され、地域密着型サービスが誕生しました。 また、5段階の介護認定に「要支援1」「要支援2」が加わり、7段階評価となりました。 - 2012年度のおもな改正内容
前回改正では、軽度の介護認定(要介護3未満)を受けた「要支援者」は、介護保険の対象である「予防給付」から外れるよう、規定が変更されました。 また、それまで看護職員のみ許可されていた医療行為の一部(たんの吸引など)が、介護職員でも可能になりました。
介護保険法の方向性はどうなる?
今回(2015年4月)の介護保険法改正では、地域医療と介護に関わる多くの法律が、総合的な法整備をめざして一括改正されました。今後ますます、医療と介護の連携が進む方向へ政策が展開されると見られています。医療と介護の連携で、重要となる3つのポイントは次の通りです。
- 利用者に対する医療と介護サービスの連携
- 医療機関と介護サービス事業所の連携
- 医師・看護師などの医療職と、ケアマネージャーなどの介護職の連携
また、今回の改正で「地域包括ケアシステム」の構築が、さらに促進されることになりました。介護・医療・予防・住まい・生活支援などのサービスを、複合的に提供していく仕組みづくりが進んでいます。
在宅介護と持続可能性:介護分野の課題
介護保険法は、高齢者の生活を支える社会保障制度の柱であり、高齢化社会にとって欠かせない制度と言えます。今回の改正で重要なテーマとなっているのは、「在宅介護」と「持続可能性」です。
1.在宅介護を支える「地域包括ケアシステム」
高齢者は、「できるだけ住み慣れた地域で生活を続けたい」と考える人が多く、介護が必要になった場合でも、4人に3人が自宅での介護を希望しています。今後ますます、在宅介護を提供するサービスの充実が求められていくでしょう。
また、認知症の高齢者の数は、10年後に約450万人を超えると予測されています。急激な環境の変化は、認知症の症状を進行させるとも言われ、地域で質の高い医療・介護サービスを提供していく必要があります。在宅介護を支えるマンパワーの増強は急務で、介護分野に人材を集めるためにも、介護職員の待遇改善が課題となっています。
2.介護保険法の持続可能性
介護保険制度の総費用額は年々増加しており、2013年度には約9兆円にまで膨れあがっています。制度を持続可能にしていくため、介護給付の重点化・効率化は避けられません。具体的には、次のような点が見直しのポイントに挙げられています。
- 軽度者への給付、予防給付の見直し
- 介護施設から在宅への移行
- 自立支援型のケアマネジメントを実現
- 低所得者の介護保険料を軽減
- 介護納付金の総報酬割を導入
- 高所得者の利用者負担を再検討
後編では、2015年度の介護保険法改正の内容について、さらに詳しくご説明します。
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