
あなたは大丈夫!?介護職のケアハラスメント

介護を仕事にする人にとって悩ましいのが、ケアハラスメントの問題です。利用者のケアを行う際に行われるハラスメントは、ケアの実施を困難にするだけでなく、直接的な被害を受けることもあります。そうしたことが続けば、介護従事者の働く意欲を削ぎ、離職することにもなりかねません。ケアハラスメントの問題を解決するためには、ハラスメントを受けた職員のケアはもちろんのこと、問題が発生する原因を明らかにすることが大切です。ここではケアハラスメントの具体例や、解決策についてみていくことにします。
介護職のケアハラスメントって?
ケアハラスメントは大きく2種類に分けることができます。1つ目は自宅で介護を行っている人に対してのもの、2つ目は介護従事者に対して起こるものです。1つ目のケースでは、介護者が会社で受けるさまざまなハラスメントを指します。介護を理由とした遅刻や早退に対して、過度な叱責を受けたり、それを理由に昇進の可能性を閉ざしたりといった事例があります。また、介護休暇の取得をいろいろな理由をつけて拒否するケースなどもケアハラスメントにあたります。
2つ目の介護従事者が受けるケアハラスメントの場合、より直接的な被害を受けることがあります。介護サービスを利用している高齢者からの暴力や暴言などは、代表的な例といえるでしょう。利用者からの暴力を受けて介護従事者が骨折したというケースはさほど珍しいものではありません。ケアハラスメントの加害者となるのは、サービスを利用する高齢者のみとは限りません。利用者の家族がケアハラスメントを行うこともあります。例えば、制度上困難なことを執拗に要求したり、医療行為の実施を強要したりする行為がそれにあたります。また、高圧的な態度で介護従事者を精神的に追い詰める行為なども、ケアハラスメントの一種でしょう。
ケアハラスメントは、介護の現場において頻繁に起こるだけでなく、解決が困難な問題です。問題が複雑化しやすい理由の一つに、サービスを利用する本人や家族が制度をきちんと理解していないことが挙げられます。他にも、暴力行為が認知機能の低下や疾患に由来する場合などもあり、一概にケアハラスメントとして片付けられない難しさもあるのです。
ケアハラスメントの具体例
介護の現場では、さまざまなケアハラスメントの事例が見受けられます。訪問介護サービスでよくみられるのが、制度上不可能なサービスの強要です。介護保険サービスを利用して行う訪問介護サービスは、介護保険の対象となる要介護認定者に対するケアのみが提供されます。そのため、介護保険を利用する高齢者の食事の準備や洗濯はできますが、その家族を支援する行為は認められていません。「ついでに家族の分も調理しておいてほしい」といった要望は、効率の観点からすると合理的なように思われますが、介護保険の制度上は認められていないのです。
施設介護サービスで問題となりやすいのが、医療行為の強要です。介護従事者が行える医療行為は法律によって定められており、その一線を越えることは許されません。具体的には、家族の要望に応えて医療従事者との相談なしに頓服薬を服薬させる、所定の研修を終えていない介護従事者が注入や喀痰吸引を行うことなどが該当します。後者の事例では、ある介護従事者にはできるのに、別の介護従事者にはできないといった点も問題になりがちです。施設を利用する高齢者や家族にとってその違いを見極めることは困難でしょう。それゆえに「あの職員さんならやってくれるのに」「当たり前のこともやってくれない」といった不満やトラブルにつながりやすいのです。不満や不信感が、ひいては介護従事者への高圧的な態度や、無理な要求につながることもあります。
ケアハラスメントを受けたら声を挙げよう
ケアハラスメントは、個人で解決するのが非常に難しい問題です。ケアハラスメントが発生する背景には、複雑な要因が絡み合っています。自分の受けた行為がケアハラスメントにあたるのかを見極めるのが困難なケースも珍しくありません。そのため、ケアハラスメントを受けた場合には一人で抱え込まず、事業所や施設全体で共有することが大切になります。問題を共有することによって、受けた行為がケアハラスメントに該当するのか、該当するのであればどうすれば解決できるのかを、サービス提供者全員の問題として考えることができるようになります。
ここで理解しておきたいことは、ケアハラスメントが起こる背景には、往々にして双方の無知や理解度の差があるという点です。介護保険サービスとはどんなことをしてくれるのか、なにができてなにができないのかを知らないがゆえに、無理な要求をしてくるケースは多く見られます。また、介護従事者がこの点に関する知識が曖昧なままサービス提供を行ってしまうと、問題はより複雑になってしまいます。
ケアハラスメントを防ぐためには、介護保険サービスの提供範囲を明確・明文化して、従業員に周知するだけでは十分ではありません。サービスを利用する人にも、その内容をしっかりと理解してもらうことが大切です。こうした啓蒙活動を行うことも、介護保険事業者の務めといえるでしょう。サービスについて理解してもらったうえでなお、ケアハラスメントが止まない悪質なケースでは、サービス提供の停止や施設からの退去も選択肢に含まれてきます。
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