介護事業経営支援サイト「けあコンシェル」
けあコンweekly記事

介護事業・介護業界におけるコスト削減及び人件費について

2016-01-18
介護事業・介護業界におけるコスト削減及び人件費について

介護事業は社会福祉の増進を目的に行うべきものですが、継続して安定した経営を行うためには、利益の追求も必要になってきます。安定した利益があるからこそ、安全で質の高いケアを提供できます。結果として職員も安心して働くことができ、離職率が下がるのです。離職率の高さは広く指摘されている点ですが、ここが改善されれば人件費も抑えられ、より安定した運営が可能になります。今回は、利益を上げるために避けては通れない、コスト削減及び人件費について考えてみましょう。

なぜコスト削減が大切か?

そもそもなぜ、コストの削減が大切になるのでしょうか?もちろん、一般的な事業を行う場合でも、コスト意識は大切なこと。ですが、この業界ではとりわけ重視される項目となっています。なぜでしょうか?

一番大きな答えは、「得られる収入の上限額が定められていること」が挙げられます。入所50床、ショートステイ20床の特別養護老人ホームのシチュエーションを考えてみましょう。このケースで収入が最大となるのは、入所の50床をすべて要介護度5の方に入ってもらい、なおかつショートステイの稼働率を100%にしたケースとなります。このように、介護保険の枠組みの中で事業を行うことを考えた場合、収入の上限額は自ら定められているのです。となると、支出額を抑えて利益を確保しようとするのは、当然のことだと言えるでしょう。

事業を行うにあたっての具体的なコスト

では、具体的にどのようなコストがかかるのでしょうか?どの事業分野にも共通しているのが、人件費です。一般的に、収入に対する人件費比率は、特養や老健、グループホームといった施設事業では60%、通所事業では70%、訪問事業では80%以上となっています。また、居宅介護支援事業に至っては、平成20年調査時には95%以上を占めるという結果もありました(平成26年の調査では、平均値は80%強程度となっています)。

もちろん、他にも必要となるコストは存在します。施設事業や通所事業など、物件が必要となるサービスでは、物件費が支出の25~30%前後を占めています。他にも減価償却費や支払利息などが一定の割合を有しています。この数字を見れば、いかに人件費の占める割合が大きいか、人件費の削減が経費削減に直結するかが、お分りいただけるのではないでしょうか。

人件費以外で削減できるコストは?

コストを削減するには、人件費を減らすのが一番、ということは先にみてきた通りです。しかしながら、人件費の削減にはデメリットも存在します。ただでさえ人の足りていないと言われている業界で、人件費を削ってしまうと、必要な人材を得ることが難しくなってしまうのです。処遇が悪ければ人も続きませんから、サービスの質と共に信用まで低下してしまいます。こうなると、取り返しのつかないことになるのは、目に見えています。

不要な人件費を削るのは、事業健全化のために欠かせないでしょうが、必要以上の削減については、信用までも失ってしまう結果を招くことを、肝に銘じておきたいものです。 となると、人件費以外で削減できるコストがないか、探すことになります。人件費に次いで支出に占める割合が大きいのは物件費。介護は比較的場所を選ぶ事業ではありませんから、初期投資としての物件費を抑えることで、コストを削減することはできそうです。そのためには、サービスの需要と供給のバランスのみならず、場所代も含めたトータルバランスを考える必要があると言えるでしょう。
また、その他にもお食事の提供方法を見直すことも考えられます。

コストがかかりにくい事業の形態とは?

ここまでは事業を行うにあたって必要なコスト、その削減方法について見てきました。では、そもそも低コストでできる事業はないのでしょうか?低いコストで始められる事業をいくつか見てみましょう。

一つ目は介護支援事業です。先に人件費の占める割合が95%以上を占める事業として紹介しました。ですが逆に、人件費以外のコストが必要ない事業と言い換えることもできます。支援事業は、ケアプランの作成が主な仕事。事業所を構えることなく自宅で始めることも可能です。物件費がかからないため、初期費用を抑えて開業することができます。

もう一つ挙げるとすれば、介護保険外サービスを提案します。配食事業や福祉輸送サービスなどは、保険外のサービスになるだけに、自由度も高く工夫次第でコストも大きく下げることができます。とくに輸送サービスに関しては、高齢者を対象としたタクシー事業。介護に関する基本的な技術や知識があれば、自分一人から始めることのできる事業だといえそうです。

コスト意識を常に持ち続ける

介護事業におけるコストについて、様々な角度から見てきました。介護業界は人が大切な業界とはよく言われることですが、事業内容のみならず、コストの観点からみても、大きなウェイトを占めていることが、お分りいただけたと思います。

施設事業や通所事業など、物件費のかかる事業では初期コストの大きさがリスクとなる一方で、訪問事業や支援事業においては、人件費の比率が高い分、人に左右される割合がより高くなっています。結果的に、後者の方が安定した経営を行うのが難しいといえるでしょう。どのような事業形態を考えるにしろ、コスト意識は経営を行う際に欠かせない要素。介護事業を開業するにあたっては、常に頭の片隅に置いておきたいものです。

けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。

新規会員登録をする
他にもこんな記事があります

介護事業者が最低限、知っておくべき介護との連携に係る診療報酬項目について教えて下さい。

介護従事者約7万2,000人で組織する日本介護クラフトユニオン(NCCU)は11月13日、加藤勝信厚生労働大臣宛に署名30万1,213人分を提出し、2018年度介護報酬改定において介護従事者の処遇改善につながる措置を求めた。

マイナス改定だった2015年に続き2018年も介護報酬改定が行われます。2015年の改定の際は介護事業者の利益率の高さが指摘されマイナス改定の原因となりました。前回における改定後の利益率の結果により2018年の介護報酬改定では、さらに踏み込んだ内容になることが予想されています。その背景には人口減少や高齢化にともなう「財政負担の軽減」「自立支援の必要性」などがあります。ここでは「今後デイサービスはどう変わっていくのか」など財政制度等審議会での提言などを元に解説していきます。

厚生労働省は9月26日、介護福祉士の養成カリキュラムを見直す方針を社会保障審議会の専門委員会に示し、大筋で了承された。

厚生労働省は11月15日の社会保障審議会・介護給付費分科会に、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)での看取りや医療のニーズに対応する観点から、配置医師が施設の求めに応じて早朝・夜間に施設を訪問して入所者の診療を行った場合の評価の新設や、施設内で看取りを行った場合の評価を手厚くすることなどを提案し、大筋で了承された。

介護開業のノウハウ集をダウンロード
ガソリン給油カード、入会金年会費無料

ページトップへ戻る