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福祉用具の貸与・販売の選択制とは?対象となる種類や必要な対応について解説

2024/11/26
福祉用具の貸与・販売の選択制とは?対象となる種類や必要な対応について解説

2024年の介護報酬改定に伴い、福祉用具における貸与・販売の選択制が導入されました。新たな制度では、介護サービスの利用者の意思決定に基づき、福祉用具の貸与または販売を選択できるようになります。
介護現場でどのような対応が必要になるのか、心配な方もいるでしょう。そこでこの記事では、選択制の対象となる福祉用具や、ケアマネジャー(介護支援専門員)などに求められる対応について紹介します。

・2024年4月1日から、福祉用具の貸与・販売の選択制が導入された
・選択制の対象となるのは、固定用スロープ、歩行器、単点杖、多点杖の4種類
・ケアマネジャーは医師や専門職の意見に基づき、利用者に情報提供を行う必要がある

2024年から始まる福祉用具の貸与・販売の選択制とは?

2024年の介護報酬改定では、「地域包括ケアシステムの深化・推進」や「自立支援・重度化防止に向けた対応」などを目的とし、介護保険制度の見直しが行われました。そうした改正内容の一つが、福祉用具の貸与・販売の選択制の導入です。

介護保険制度において、福祉用具は“利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるもの”に限り、保険給付の対象となっています。しかし、福祉用具は貸与を基本としており、介護サービスを利用する方の意思決定が反映されていないという問題点も指摘されてきました。

2024年4月1日から始まった福祉用具の貸与・販売の選択制では、これまで原則貸与とされていた一部の用具について、利用者が貸与または販売のいずれかを選択できるようになります。

(参考: 『令和6年度介護報酬改定の主な事項について』)

選択制の対象となる福祉用具は4種類ある

選択制の対象となるのは、これまで貸与の対象であった福祉用具のうち、下記の4種類です。
・固定用スロープ
・歩行器(歩行車を除く)
・単点杖(松葉づえを除く)
・多点杖

以下の福祉用具は選択制の対象ではないため、原則貸与となります。
・車いす(付属品含む)
・特殊寝台(付属品含む)
・床ずれ防止用具
・体位変換器
・手すり
・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト(つり具の部分を除く)
・自動排泄処理装置

また腰掛便座や入浴補助用具、簡易浴槽など、貸与に適さない福祉用具(特定福祉用具)については、これまで通り販売が行われます。ただし2024年4月からは、特定福祉用具の販売後、福祉用具専門相談員※によるモニタリングやメンテナンスが義務付けられます。
※福祉用具専門相談員とは、“車椅子や特殊ベッドなどの福祉用具の貸与サービス・販売を行う事業所に勤務し、利用者や家族に対して適切な用具の選び方、使い方をアドバイスする”職業のこと。

(参考: 『福祉用具専門相談員』)

利用者が福祉用具の貸与・販売を選ぶ流れや必要な対応

ここでは、介護サービスの利用者が、福祉用具の貸与または販売のいずれかを選択する流れを解説します。
1.利用者に対して、福祉用具の選択制の制度趣旨を説明する
2.利用者が貸与または販売のいずれかを選択する

特に介護事業所で働くケアマネジャーや運営責任者(サービス提供責任者)の方は、必要な対応について知っておきましょう。

利用者に対して、福祉用具の選択制の制度趣旨を説明する

福祉用具の選択制では、ケアマネジャー(介護支援専門員)または福祉用具専門相談員が、利用者に対し、あらかじめ制度趣旨についての説明を行う必要があります。

またサービス担当者会議において、ケアマネジャーは医師による所見などをふまえつつ、利用者の選択に必要な情報を提供しなければなりません。例えば、貸与または販売を選ぶメリット・デメリットなどです。

以下のような流れで利用者に対する説明を行いましょう。
1.ケアマネジャー・福祉用具専門相談員から利用者に対し、選択制の制度趣旨について説明
2.医師による所見の用意や、各担当者への連絡、情報収集、ケアプランの原案作成など、サービス担当者会議に向けた準備
3.医師による所見などをふまえ、利用者および各サービス担当者間で協議を行い、今後の方針を提案

サービス担当者会議における提案の例としては、「長期利用が見込まれるため販売」や「利用期間がこの段階では判断できないため貸与」といったものが考えられます。

利用者が貸与または販売のいずれかを選択する

利用者はサービス担当者会議における協議内容や提案をふまえ、貸与または販売のいずれかを選びます。

利用者が貸与を選択した場合の対応

利用者が福祉用具の貸与を選択した場合は、ケアマネジャーがケアプランの原案を作成し、貸与選択の理由を記載します。また福祉用具専門相談員が、福祉用具サービス計画をケアマネジャーに交付します。

貸与開始後は、福祉用具専門相談員によるモニタリングを受けなければなりません。モニタリングは少なくとも一度、貸与開始から6カ月以内に行う必要があります。

モニタリングでは、利用者の身体状況の変化や、福祉用具の利用状況、貸与・販売に対する意向などが報告され、その結果がモニタリングシートとしてケアマネジャーに交付されます。

利用者が販売を選択した場合の対応

利用者が福祉用具の販売を選択した場合は、福祉用具専門相談員が福祉用具サービス計画を作成し、目標達成状況の確認時期を記載します。その後、福祉用具専門相談員がメンテナンスを担当し、利用者やケアマネジャーの要望に応じて、使用状況の確認や修理、使用方法の指導などを行います。

福祉用具の販売後、他の居宅サービスがなければ、ケアマネジャーの関与は終了します。

まとめ

福祉用具の貸与・販売の選択制とは、介護サービスの利用者の意思決定に基づき、福祉用具の貸与か、販売かを決められる制度です。選択制の対象となるのは、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖の4種類の福祉用具です。

福祉用具の選択制の導入に伴い、ケアマネジャーは利用者に制度趣旨を説明し、必要な情報提供を行う義務が生じます。また福祉用具の貸与・販売のいずれかを選ぶ場合の対応方法についても知っておきましょう。

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