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大規模事業所の介護報酬減算とは?代表的な例に基づき解説

2023/10/23
大規模事業所の介護報酬減算とは?代表的な例に基づき解説

介護事業が軌道に乗ってくれば、「今よりもっと利用者を増やして大規模に事業展開したい」と考えるのは当然です。ただし、大規模事業者になるに伴って、介護報酬が減算される可能性があることは理解しておく必要があるでしょう。そこで、本記事ではまず介護報酬について簡単に解説します。そのうえで、大規模事業所に対する減算例を、通所介護・地域密着型通所介護の場合と、共同生活援助の場合の2パターンに分けて紹介します。

大規模事業所, 減算

1.そもそも介護報酬とは

大規模事業所の減算について解説する前に、介護報酬の基本的な仕組みを説明しておきましょう。介護報酬とは、事業者が介護保険に該当するサービスを、利用者(要介護者か要支援者)に提供した場合に、その対価として受け取る報酬のことです。介護報酬は、「基本報酬」と「加算・減算」という2種類の要素で構成されています。基本報酬にはサービスの種類ごとに、サービス内容や要介護度などに応じた単位数が定められています。なお、基本報酬にサービスの内容や質は関係ありません。ケアプランに沿ったサービスを提供すれば必ず請求できます。基本報酬の基本的な計算方法は、「単位数」×「単価」です。

一方の加算・減算は、サービスの質によって決定されます。たとえば、有資格者や専門家を配置したり、基準より多くの職員を配置したりしたことで、より質の高いサービスが実現した場合などに発生します。反対に、提供しているサービスがケアプランの基準以下の場合には減算の対象になります。

2.大規模事業所の減算例

介護事業の黒字化だけを追いかけることにはリスクが伴います。サービスの質などを考慮せずに利用者を増やしてしまうと、介護報酬が減算されて経営自体が苦しくなるケースもあり得るからです。代表的な事例として、本項目では通所介護・地域密着型通所介護の場合と、共同生活援助の場合の2パターンを紹介します。

2-1.通所介護・地域密着型通所介護の場合

通所介護・地域密着型通所介護は通所系サービスの1つです。要介護状態の高齢者をデイサービスセンターなどに通わせて、食事、排泄、入浴などの介護や健康状態のチェックなどを行います。統計によると、通所介護・地域密着型通所介護の事業所数と利用者数ともに、2007~2016年度までは増加傾向にありました。ところが、2017~2022年度はほぼ横ばいの状況が続いています。また、経営状況(収支差率)を事業所規模で見てみると、通常の通所介護事業所(延べ利用者数月750人以内)は、2020年度の3.8%(コロナ補助金含む)から2021年度には1.0%にまで落ち込みました。一方、小規模の地域密着型通所介護(利用定員18名以下)は、2020年度の4.0%から2021年度は3.4%に低下してはいますが、比較的高い数値を維持しています。

このように、小規模の地域密着型通所介護の方が経営状況が安定している主な理由は、基本報酬の差です。このことを理解するために、利用時間が7時間以上8時間未満の通所介護利用者(平均要介護度2)を基準に、大規模事業所と地域密着型通所の基本報酬を確認してみましょう。まず、通常規模型では773単位です。これが大規模型1(延べ利用者数月750~900人以内)になると740単位、大規模型2(延べ利用者数900人超)では713単位と低下していきます。一方、地域密着型は887単位と比較的高い水準にあります。こういった規模による減算が生じるのは、「大規模になれば効率的なサービスが提供できる」という考えの下で基本報酬が設定されていることが要因です。

2-2.共同生活援助の場合

共同生活援助とは、障がい者が家庭的な雰囲気の中で共同生活を行うグループホームのことです。共同生活援助では基本的なサービスとして、主に夜間における食事、排泄、入浴の介護や、その他の日常生活上の援助を行います。共同生活援助で期待される効果は、生活への不安の軽減、身体や精神状態の安定、孤立の防止などです。また、障がい者が地域で自立を目指すための生活拠点としての機能もあります。共同生活援助の入居者数は少人数が基本のため、利益を出すのは簡単ではありません。利益を上げる方法としては、利用定員の増加や複数の住居の同時経営などが挙げられます。

ただし、単に入居者を増やしただけでは入所系サービスとの差別化が図れなくなるという理由で、「大規模住居等減算」が適用される可能性があります。そうなると、利益が増えるどころか減ってしまうことになるため注意が必要です。なお、大規模住居等減算の減算条件は、主に次の3パターンが挙げられます。1つ目は、共同生活住居の利用定員が8名以上21人未満のときです。この場合の減算率は5%となっています。2つ目は、共同生活住居の利用定員が21名以上のときです。この場合の減算率は7%となっています。3つ目は、一体的運営が行われていて共同生活住居の利用定員が21名以上のときです。この場合の減算率は5%となっています。

なお、一体的運営とは、共同生活住居が近接地を含む同一敷地内にあって、利用者の世話や生活を支援する人の勤務体制が住居ごとに区分されていない場合を指します。

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介護事業所を大規模にすると介護報酬が減算される可能性があり、現に減算の対象になっている事業所は少なくありません。減算で経営が不安定になると職員の賃上げができなくなり、離職率が高まるという悪循環に陥るリスクが高まります。このような状況で資金繰りに苦労しているのなら、介護事業向け資金繰りサービス「介護報酬ファクタリングサービス」の利用が考えられます。初期審査料と毎年の更新料が0円で、新設法人・事業者の申込みも可能です。

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