放課後等デイサービスの開業における注意点とは
障害のある児童の健全な療育の一端を担う場所として、「放課後等デイサービス」が注目を集めています。放課後等デイサービス事業の許認可要件は2017年にいっそう厳格化されたため、「設備」や「人員」などに代表される最低限の基準を満たすためには、事前の念入りな調査と準備が肝心です。また、許認可のための基準は都道府県(政令指定都市)ごとに異なる部分や、独自に設けられたものも多いため、開業しようとする土地に合わせた柔軟かつ綿密な手続きも求められます。
ここでは、放課後等デイサービスの開業における基準や開業のための注意点を解説していきましょう。
自治体の手続き方法を確認する
放課後等デイサービスを開業するためには、法律に定められた基準を満たしたうえで都道府県もしくは政令指定都市による許可を受けなければいけません。ここでいうところの「基準」とは、主に次の4種に分類されます。1つ目の基準が「法人格を有していること」です。法人格を取得するためには、株式会社や合同会社などを設立し、本店所在地を管轄する法務局に「設立の登記」を申請する必要があります。設立しようとする会社の種類によって設立の登記申請までの手続きに違いが出てくるため、注意が必要です。
例えば、株式会社を設立するなら第一に「発起人」が定款を作成し、次に作成した定款について公証人による認証を受け、資本金を会社もしくは発起人の口座に振り込むなどの手続きをします。対して、NPO法人を設立しようとする場合は「所轄庁からの認証」を受けるといった特有の手続きが加わるため、事前にどのような手続きや書類を要するのかを法人の種類ごとにしっかりと調査しておきましょう。法人の設立手続きはすべて自力で可能ですが、定款や登記申請書といった書類の作成には専門知識を要するため、スムーズに手続きを完了するためにも司法書士などの専門家の手を借りることをおすすめします。
2つ目の基準は、放課後等デイサービスの事業所の「設備」についてです。設備基準を満たすためには、最低限として「指導訓練室」「事務室」「相談室」「トイレ、手洗い場」を備える必要があります。ただし、これらの設備をただ備えていればそれで良いのかというと、そういうわけではありません。「指導訓練室」と銘うっていればどんな部屋でも良いのではなく、部屋の広さやプライバシー性が確保されているかなどの具体面も重要なのです。加えて、「指導訓練室の広さ」といった各設備に求められる条件も各自治体ごとに差があります。つまり、放課後等デイサービスを開業する場所を管轄する自治体の定めた詳細な基準に合わせて事業所となる物件を選ぶなり建てるなりする必要があるということです。
3つ目の基準は、放課後等デイサービス事業の「運営」に関するものとなっています。「利用者数が10名以上であること」や「放課後等デイサービス事業の計画作成」、「利用者への説明と同意」などがその内容です。他にも、「利用者または家族からの相談を受け、援助すること」や「利用者の病状が急変したときのための緊急体制を整えること」といった、安心して放課後等デイサービスを利用するために満たすべき基準が定められています。この運営基準に関しても都道府県や政令指定都市ごとに違いがあるため、事前調査は必須です。
たとえば、兵庫県の政令指定都市である神戸市では、2018年時点で、契約時に事業者が利用者に交付すべき「重要事項説明書」に「費用の内訳や算出方法」を記載しなければならないなどの独自基準があります。法律によって定められた基準だけでなく、自治体ごとの独自基準も満たす必要があることを忘れずに、抜かりなく開業手続きを進めましょう。4つ目の基準は「人員」に関するものですが、注意点が多いため、以下で詳細にご説明しましょう。
人員基準をしっかりと確認する
放課後等デイサービスを開業するためには、先述した設備基準などに加えて「人員基準」もクリアしなければいけません。「人員基準」は2017年に新基準が適用されており、この新基準は2016年以前のものよりも厳格化しています。新基準により定められた、放課後等デイサービスの事業所に置くべき職種は「管理者」「児童発達支援管理責任者」「指導員または保育士」です。
「管理者」は、常勤の者を1名以上は置かなければいけません。「児童発達支援管理責任者」も同じく1名以上が必要ですが、「管理者」との兼務も認められています。ただし、児童発達支援管理責任者には「相談支援や直接支援といった、要件を満たす業務に3~10年以上従事し、かつ都道府県が実施する研修を受けたもの」という資格要件があるため誰でも就けるわけではありません。「指導員」と「保育士」は、施設の利用者数に応じて必要な員数が異なります。
利用者数が10名に満たないときは「2名以上の指導員または保育士」を要し、さらに利用者数が10名以上になると定められた算定方法に基づき必要員数が増えるため施設の規模に応じた人員確保が必要です。具体的な算定方法は「障害児数が10名以上のときは、さらに障害児の数が5名又はその端数を超えるたびに指導員または保育士の必要員数を1名増すこと」とされています。
他の施設より魅力のあるサービスを提供する
多くの利用者に選ばれる放課後等デイサービスに必要なポイントの1つとしては、やはり「口コミによる評判」が挙げられます。放課後等デイサービス施設を探している人の目線に立って考えたとき、どのような施設になら、自分の大切な家族を一時的にでも託したいと思うでしょうか。最新設備や外観、内装の美しさを重要視する人もいるかもしれません。ですが、1番の決め手となるのはその施設の「評判」なのです。インターネット上で検索すると、さまざまな口コミがあふれています。口コミの真偽は定かではないにしろ、悪い口コミしかない施設と良い口コミが多い施設なら、選ばれやすいのは後者でしょう。
インターネット上だけではありません。子どもを通わせる放課後等デイサービスを探している親御さんにとっては、知人や友人から知った情報も重要な判断材料です。地域のネットワークを通じて知りえた情報は、インターネットの口コミよりも信ぴょう性が高いと感じる人は少なくないでしょう。良い評判というのは、一朝一夕で広まるものではありません。誠実に利用者やその家族と向き合い、丁寧な説明や気づかいを欠かさず信頼を得ることが「評判の良い放課後等デイサービス施設」への第一歩といえます。そして、利用者に信頼される従業員を育てられるかどうかは、放課後等デイサービス事業の運営者の腕にかかっています。事業計画の段階で「従業員の育成」や「事業理念の浸透」を優先した具体案を作成し、地域で信頼される魅力的な放課後等デイサービス事業を運営しましょう。
リコーリースの介護報酬・障がい福祉ファクタリングは、“負債”扱いにならずに“早期”資金調達ができる介護事業、障がい・福祉事業者向けの金融サービスです。最短5営業日で資金化も可能。サービスの詳細は下記バナーをクリックください。
けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。
厚生労働省は、介護分野での深刻な人手不足の背景などを解説した動画を公開した。
島根県安来市で、40余年にわたって地域の児童福祉・高齢者福祉を支え続けている社会福祉法人やすぎ福祉会が運営する特別養護老人ホーム「しらさぎ苑」。同施設が実践するハートフルな個別ケアは、入所者一人ひとりが“主役”になれる。
居宅介護支援事業所と地域包括支援センターによる主任ケアマネジャーの確保が困難な地域があるとして、厚生労働省は2日、それらでの兼務を認める中間整理案を「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」に示した(参照)。しかし、検討会の構成員からは、双方の主任ケアマネの役割は異なり、兼務には大きな負担が生じるなどと反対意見や慎重論が相次いだ。
厚生労働省は、介護分野のさらなる賃上げを支援するため2024年度の補正予算案で806億円を盛り込んだ。生産性を向上して業務効率化や職場環境の改善を図り、人材確保・定着に向けた基盤を構築する介護施設や事業所に対し、常勤職員1人当たり5.4万円相当の一時金を支払えるよう補助金を支給する。
厚生労働省は10月30日の社会保障審議会・医療部会に、医療法に新たにオンライン診療に関する規定を設けることを提案し、大筋で了承された。今後も部会での議論を続け、2025年の通常国会への法案提出を目指す。
>>その他サービスを見る
早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。
ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。
車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。
商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。
利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。