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2018年改定で放課後等デイサービスはどう変わる?

2019/02/12
2018年改定で放課後等デイサービスはどう変わる?

放課後等デイサービスは、障害のある就学児童を対象にした居場所としてなくてはならないものです。2012年の新制度発足後に事業所数や利用者数が大きく増えていることからも、従来の学童を利用しにくかった子どもたちの居場所になっていることが分かるでしょう。一方で、福祉サービスから離れた営利目的に走る事業所が一部にあることも指摘され問題となっています。そのため、厚生労働省はサービスの質を向上させる目的で2018年度からの制度改正に踏み切りました。報酬の仕組みが大きく変わった新制度とはどのような内容なのでしょうか。

改定の背景とは?施設増加・費用増が続く放課後等デイサービス

従来の放課後等デイサービスは、事業所への報酬が9割という福祉事業の中では経営の安定化を図りやすい仕組みでした。急激に増えた新規事業の中には、「テレビを見せるだけで専門的なケアをしない」「不正請求をする」といった事業所も現れ問題視されています。制度も整備されていなかったため、福祉分野以外からでも新規参入しやすいのも理由のひとつと見るべきでしょう。厚生労働省は、「事業所を増やすだけではなく支援の質を向上させなければならない」と事態を重く見て制度改正をするにいたりました。

こうして、2012年から継続してきた放課後等デイサービス制度は厳格化されることになったのです。障害の軽い子のみを受け入れて報酬を得る事業者への対処としては、障害が重い子どもへの支援への報酬を手厚くする仕組みを取り入れています。ただ、放課後等デイサービス制度改定により、経営が悪化している事業所が存在することも事実です。本来、支援の質を向上させる目的であったはずの改定が、なぜ良心的な事業所の経営をも圧迫するのでしょうか。

そこには、実態に即していない制度改正の影響が考えられます。子どもを生活行動などの障害の度合いに応じて区分に分ける「指標」の存在、正しい判断がされないという混乱が減収を招いていることも原因のひとつでしょう。また、制度改定の背景には、施設数や利用者が増えることで公的な費用負担が増え続けていることも考えられます。国は公的費用のさらなる増加を懸念し、負担軽減策として改定に踏み切ったという意味合いも否定できません

「指標」の導入で一律単価設定が廃止に

放課後等デイサービスの改正で導入され大きなポイントとなる「指標(区分)」は、利用者ごとにチェックシートで判断されるものです。生活上の行動や読み書き、支援が必要な度合いなどを0~2の点数で表すことが新設されました。例えば、「多動・行動停止」の項目では、支援が不要か1カ月に1回以上の支援が必要であれば0点、週5日以上の支援が必要であれば2点になります。他の項目でも同様に利用者一人ひとりについて判断し、点数化されて指標へ反映されることになりました。

2012年から採用されていた放課後等デイサービスの一律単価設定は、制度改定によって廃止されました。一定の点数以上の「指標該当利用者」が全体の50%以上在籍する場合は、「区分1」の事業所としての基本報酬を受けることができます。指標該当者が全体の50%未満と判断されれば「区分2」となります。さらに、サービスを提供している時間の長さで区分を分け、3時間以上で「通常時間」、3時間未満で「短時間」に分けられる仕組みになりました。

この4種類の区分の基本報酬は「児童発達支援管理責任者専任加算」があっても改定前より減収になるので、運営するうえでは注意が必要でしょう。新制度では非指標該当所という区分になっても、事業を継続することは可能としていますが、減収につながる改定で閉鎖の危機に瀕する事業所も出てきています。

利用者個別の状態をより把握することが大切に

放課後等デイサービスの利用者の指標判定については、各自治体や事業所ごとにばらつきがあるという問題点も指摘されています。そのため、厚生労働省は市町村へ助言などを行い指導していく意向を示しました。では、事業所としてできることはあるのでしょうか。制度改定で指標該当とされる判断基準は、「食事・排せつ・入浴・移動」のうち3つが全介助であること、16項目に渡る利用者に必要な介助についての点数評価が13点以上であることとしています。

自治体などが保護者や事業者に適切なヒアリングを行えば、事業所ごとの状況も理解できることでしょう。しかし、実際には全部の事業所へ聞き取りが行われている訳ではありません。そのため、放課後等デイサービスの新制度のもとでは、預かっている利用者一人ひとりの生活行動や介助の状態を事業者がより正確に把握することが大切になっています。個別の状態をしっかり把握しておくことで、自治体からのヒアリングがあった場合には、担当者に分かりやすく伝えることが可能になるでしょう。

自治体の判断と実際の事業所の実態に乖離があれば、ヒアリングの申し入れをする必要があります。見た目では分からない日常の行動や必要な介助について、記録を取り専門的な見地から分析することはよりよい支援にもつながるものです。放課後等デイサービス制度改正については、「指標当該児が半数を超えるかどうかで報酬が変動する仕組みこそが問題」という声も少なくありません。良心的な事業所が減収で閉鎖するような事態をなくすよう、今後の制度改正が待たれるところです。

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