
放課後等デイサービスを存続するには?加算を算定するために

放課後等デイサービスを実施している事業所は、2018年度から適用されている制度改定によって揺れ動いています。改正では基本報酬の減算や制度の厳格化が示され、急な変化に事業所は動揺を隠せません。しかしながら、放課後等デイサービスはニーズが高く求めている親子が多い福祉事業です。良心的な支援を行っている大部分の事業所が、継続して事業を行うにはどうすればよいのでしょうか。経営を安定化するには、改正で新設された加算の内容を把握することが重要になってきています。そこで、どのように加算を算定すればよいのかについてご紹介いたします。
全体数の増加により報酬がマイナス改定となった放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障害のある子どもを持つ保護者からの切実な要望を受けて2012年に制度化されたものです。従来では、障害児の通所支援サービスは未就学児と就学児が一緒に通所していました。制度化により未就学児は「児童発達支援」へ、6~18才までの就学児は放課後等デイサービスへと分かれました。日常生活で支援が必要な就学児にとって、「学童」は居場所になりにくいという現実があります。制度化されてからは施設数が急激に増え、それに伴い利用者も増えていきました。
放課後等デイサービスは、利用者にとって待ち望んでいたものといえるでしょう。ニーズの高まりに応えるためと、厳格ではない新規参入しやすい制度という要素によって放課後等デイサービスの施設は急速に増えました。その結果、適切な支援を行っていない事業者も見られることが指摘されるようになったのです。また、放課後等デイサービスの利用者負担は1割、残りの9割は公費負担なので、国が負担増を懸念する動きもあったことは否定できません。
問題提起を受けた2018年度の改定では、それまで一律であった基本報酬が事業所の区分を4種類に分けたうえでそれぞれに減収されることになりました。これは、児童発達支援管理責任者専任加算を計上しても減収というものです。ただし、加算の取得状況によっては減収にならない場合もあるとされているので、新制度の運営では加算の計上見直しが経営を安定させるためのポイントといえるでしょう。
人件費を勘案しながら指導員加配や加算の検討を
放課後等デイサービスの制度改定で押さえておきたい点として、児童指導員等加配加算の内容に大きな変化があったことが挙げられます。それまでは、有資格者と無資格者の加配に関してあまり差はありませんでした。しかし、今回の改定では有資格者を加配した場合には大きな加算が算定され、無資格者を加配すれば加配が半減されることになったのです。例えば、改定後に理学療法士や保育士などを加配した場合は209単位、無資格者の加配では91単位と加算の差が大きくなっています。
さらに、改定前は1名分のみの加算であったのが、改定後は区分1に該当する事業所の場合は2名まで加配できることになりました。制度改定後に放課後等デイサービス事業の経営を安定的に継続するには、理学療法士や保育士といった有資格者を加配し最大限の加算を算定することが重要でしょう。事業予算全体に占める人件費の割合を勘案しながら、児童指導員などを加配できるかを検討する必要があります。
また、制度の見直しにより「障害福祉サービス経験者」への加算が厚くなることも見逃せません。障害福祉サービス経験者とは、2年以上障害福祉サービスに従事したベテランのことです。これは、子どもたちの将来を見据え、放課後等デイサービスにおいて行われるサービスの質を向上させるための改定と捉えたほうがよいでしょう。事業者は、改定された「福祉専門職員配置等加算」について、内容や該当する資格とはそのようなものかを再度確認しておくことが大切です。
地域でのケアネットワークを構築し連携加算を算定しよう
放課後等デイサービスの「関係機関連携加算」にも手厚い改定が行われました。改定前は利用者が通う保育所や学校と連携し、個別支援計画を作るなどのサービスを行った場合には1年に1回の加算が算定されていました。改定後には、同様の関係機関との連携サービスについて1カ月に1回の加算が算定されることになったのです。単位数は改定前と同じ1日200単位ですが、1カ月に1回の加算で大きな算定となるでしょう。子どもたちが多くの時間を過ごす学校などの地域との連携を取ることでケアネットワークを構築し、よりよい支援へとつながるものとして注目されています。
ただし、多くの放課後等デイサービス事業者が連携を求めた場合、子どもたちが通う学校などの対応が追いつくのか懸念されていることも事実です。事業者は連携の準備を怠らず、いざというときに迅速に手続きができるよう進めておくに越したことはありません。また、減収対策に追われる放課後等デイサービスの事業者にとって、消費税増税も今後は悩ましい問題となりそうです。介護事業者は利用者に代わり消費税分も負担しているため、国は課税支出に応じ介護報酬に上乗せしてきました。
2014年に消費税増税が行われた際にも増税分が加算された経緯があるため、今後の増税に関しても改正される見通しであることは間違いありません。改定が短期間で行われたため、いまだ放課後等デイサービスの事業者や各自治体の対応は混迷しています。人員配置の見直しや地域の関係機関との連携加算などをしっかり算定し、社会から求められている事業として経営の安定化を図り継続させていきましょう。
リコーリースの介護報酬・障がい福祉ファクタリングは、“負債”扱いにならずに“早期”資金調達ができる介護事業、障がい・福祉事業者向けの金融サービスです。最短5営業日で資金化も可能。サービスの詳細は下記バナーをクリックください。
けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。
介護人材確保は最大の課題-。医療と介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加する一方、生産年齢人口が減少する2040年に向け、介護サービス提供体制のあり方を議論している厚生労働省の検討会は、「人材シェア」...
指定都市20市の市長で構成される指定都市市長会は4日、介護給付費の財源に占める定率の国庫負担割合を現在の20%から25%に引き上げるよう厚生労働省に要請した。標準的な市町村の国庫負担割合は25%だが、このうち5...
厚生労働省は7月30日、2025年4月審査分の「介護給付費等実態統計月報」を公表した。結果の詳細は以下の通り(参照)。 【受給者数】●介護予防サービス▽総数/96万7,800人▽介護予防居宅サービス/95万3,300人▽地域...
2000年にオープンした新戸デイサービスセンターは、当初から個々の意思を尊重し、尊厳を大切にしたケアに取り組んでいる。そこには、たんなる“他施設との差別化”だけにとどまらない確固たる思いが込められていた。一...
全国約120の自治体が参加する「地域ケアサービス再生存続自治体協議会」は7月28日、「今後の地域ケアサービス再生存続の意向等調査結果」を公表した。それによると、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設、養護...
>>その他サービスを見る
早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。
ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。
車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。
商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。
利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。