介護事業経営支援サイト「けあコンシェル」
けあコンweekly記事

2026年から始まる介護情報基盤とは?仕組みや介護現場への影響について解説

2024-09-30
2026年から始まる介護情報基盤とは?仕組みや介護現場への影響について解説

2026年4月から、介護に関する情報をデジタル化し、一元管理する「介護情報基盤」の運用が始まります。しかし、介護情報基盤について聞いたことがあっても、具体的に介護現場がどのように変わるのか、どのような情報がデジタル化されるのか、詳しく知らないという方もいるでしょう。
介護情報基盤の運用によって、利便性や業務効率の向上のほか、多職種間の連携強化などいくつかの効果が期待されています。
この記事では、介護情報基盤の仕組みや、共有される情報の範囲、介護情報基盤の利活用によって期待される効果について紹介します。

(参考:介護情報基盤について

・2023年5月の健康保険法改正により、「介護情報基盤の整備」が決定
・介護情報基盤では、要介護認定情報や請求・給付情報などを電子的に閲覧できる
・介護サービスの利便性向上や業務負担軽減などの導入効果が期待されている

2026年から運用が始まる「介護情報基盤」とは?

介護情報基盤とは、“自治体・利用者・介護事業者・医療機関などが、利用者に関する介護情報等を電子的に閲覧できる情報基盤"のことです。介護情報基盤の導入により、これまで紙を使ってアナログにやり取りしていた情報を、全国医療情報プラットフォームを通じてスムーズに共有できるようになります。

介護情報基盤は、2023年5月19日に一部改正された健康保険法において、「介護情報基盤の整備」として規定されていたものです。

改正の概要1.被保険者、介護事業者その他の関係者が当該被保険者に係る介護情報等を共有・活用することを促進する事業を地域支援事業として位置付ける。
2.市町村は、当該事業について、医療保険者等と共同して国保連・支払基金に委託できることとする。
施行期日公布後4年以内の政令で定める日

厚生労働省は、2026年4月1日から介護情報基盤の運用開始(介護情報基盤に関する規定の施行)を目指しており、そのためのシステム設計や事業者支援策の構築、自治体システム改修の支援など、さまざまな準備を進めています。

(参考:介護情報基盤について

介護情報基盤の仕組み

介護情報基盤は、国保中央会(国民健康保険中央会)が開発するシステムを中心として、利用者・自治体・介護事業所・医療機関がそれぞれ情報を連携したり、閲覧したりする仕組みになっています。

介護情報基盤の活用イメージは以下のとおりです。

利用者・マイナポータルを経由して、介護情報基盤に登録された介護情報を自由に閲覧できる
自治体・介護情報基盤を通じて、ケアプラン情報やLIFE情報を自由に閲覧・活用できる
・介護保険証等情報、要介護認定情報、住宅改修費利用等情報を介護情報基盤に登録する
・介護情報基盤を経由して、主治医意見書を受領する
介護事業所・介護保険資格確認等WEBサービスを経由して、介護情報基盤に登録された介護情報を閲覧できる
・ケアプラン情報やLIFE情報を介護情報基盤に登録する
医療機関・院内の閲覧・入力端末から、主治医意見書を介護情報基盤に登録する

介護情報基盤によって共有される情報の範囲

介護情報基盤によって共有される情報の範囲は、以下の表のとおりです。

                                                                                                                                                                                                                                                                                       
情報の種類様式等介護情報基盤で情報共有する関係者
利用者市区町村介護事業所居宅介護支援事業所等
要介護認定情報①認定調査票--
②主治医意見書--
③介護保険被保険者証(要介護度等を含む)
④要介護認定申請書--
請求・給付情報①給付管理票
      ②居宅介護支援介護給付費明細書
-
③介護給付費請求書
      ④介護予防・日常生活支援総合事業費請求書
      ⑤居宅サービス・地域密着型サービス給付費明細書
      ⑥介護予防サービス・地域密着型介護予防サービス介護給付費明細書
      ⑦介護予防・日常生活支援総合事業費明細書
      ⑧施設サービス等介護給付費明細書
-
LIFE情報①LIFE情報(利用者フィードバック票)★/◎
ケアプラン1.居宅サービス
      ①第1表 居宅サービス計画書(1)
      ②第2表 居宅サービス計画書(2)
      ③第3表 週間サービス計画表
      ④第6表サービス利用票
      ⑤第7表 サービス利用票別表
2.施設サービス
      ⑥第1表 施設サービス計画書(1)
      ⑦第2表 施設サービス計画書(2)
      ⑧第3表 週間サービス利用表
住宅改修費利用等の情報①介護保険住宅改修費利用情報
      ②介護保険福祉用具購入費利用情報
-

※★:作成主体、○:これまで主に共有し、今後も介護情報基盤で情報共有される主体、◎:今後、利用者の同意を前提に介護情報基盤で情報共有される主体、をそれぞれ意味します。
(参考:介護情報基盤について

介護情報基盤の導入によって期待される効果

厚生労働省によると、介護情報基盤の導入によるメリットは3つあります。

1.利便性向上・業務負担軽減
2.データ共有による多職種連携強化
3.データ利活用による介護の質の向上

利便性向上・業務負担軽減

介護現場では、介護保険被保険者証の電子化やマイナンバーカードとの一本化により、利便性の向上が期待されます。

また要介護認定に関する事務手続きや、自治体・医療機関とのやり取りもデジタル化されるため、業務負担の軽減につながります。

データ共有による多職種連携強化

介護情報基盤を通じて、介護事業所や医療機関の情報共有がスムーズになり、適切なケアを提供できるようになります。

これにより、高齢者を支える地域包括ケアシステムの強化につながることが期待されています。

データ利活用による介護の質の向上

介護情報基盤に蓄積される情報を分析し、介護の質の向上に役立てることが可能です。

また主治医意見書などの二次利用により、介護情報をビッグデータとして活用し、新しいケア方法の考案や、介護報酬の見直しに活用することも検討されています。

ただし、介護情報基盤にはセキュリティ上のリスクや、技術的な課題・コスト、利用者の同意の問題があることが指摘されています。2026年4月の運用開始に向けて、厚生労働省から補助や情報提供を受けながら、適切な仕組みづくりを進めていくことが大切です。

まとめ

介護情報基盤とは、介護に関する情報を一元管理し、利用者や市区町村、介護事業所、居宅介護支援事業所などが、電子的に閲覧できるようにするためのシステムです。厚生労働省は、2026年4月の運用開始に向けて準備を進めています。

介護情報基盤の導入によって、介護保険被保険者証のペーパーレス化による利便性の向上や、介護事業所間の情報共有による地域包括ケアの強化など、さまざまな効果が期待できます。

リコーリースの介護報酬・障がい福祉ファクタリングは、“負債”扱いにならずに“早期”資金調達ができる介護事業、障がい・福祉事業者向けの金融サービスです。最短5営業日で資金化も可能。サービスの詳細は下記バナーをクリックください。

介護報酬・障がい福祉ファクタリングを見る

けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。

新規会員登録をする
他にもこんな記事があります

厚生労働省は、介護分野での深刻な人手不足の背景などを解説した動画を公開した。

島根県安来市で、40余年にわたって地域の児童福祉・高齢者福祉を支え続けている社会福祉法人やすぎ福祉会が運営する特別養護老人ホーム「しらさぎ苑」。同施設が実践するハートフルな個別ケアは、入所者一人ひとりが“主役”になれる。

居宅介護支援事業所と地域包括支援センターによる主任ケアマネジャーの確保が困難な地域があるとして、厚生労働省は2日、それらでの兼務を認める中間整理案を「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」に示した(参照)。しかし、検討会の構成員からは、双方の主任ケアマネの役割は異なり、兼務には大きな負担が生じるなどと反対意見や慎重論が相次いだ。

厚生労働省は、介護分野のさらなる賃上げを支援するため2024年度の補正予算案で806億円を盛り込んだ。生産性を向上して業務効率化や職場環境の改善を図り、人材確保・定着に向けた基盤を構築する介護施設や事業所に対し、常勤職員1人当たり5.4万円相当の一時金を支払えるよう補助金を支給する。

厚生労働省は10月30日の社会保障審議会・医療部会に、医療法に新たにオンライン診療に関する規定を設けることを提案し、大筋で了承された。今後も部会での議論を続け、2025年の通常国会への法案提出を目指す。

けあコンシェルには、こんなサービスがあります
>>その他サービスを見る

早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。

ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。

車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。

商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。

利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。

2024年度介護報酬改定~意見交換会
をダウンロード
介護保険制度の見直しをダウンロード
感染症や災害への対応力強化へ!BCP 業務改善計画とは?をダウンロード
ヘルスケア・マネジメント.com
ガソリン給油カード、入会金年会費無料

ページトップへ戻る