
アウトカム評価導入へ!介護報酬改定で何が起こる?

2018年度の介護報酬改定が大きな注目を集めています。この制度改定では介護報酬の利率がどうなるかといったことはもちろんのこと、新たにアウトカム評価という制度が導入されることによってこれまで課題とされてきた問題が改善されるのではないかと期待されているからです。そこで今回は、これまでの介護報酬では一体どんなことが問題とされていたのかということと、アウトカム評価とはどういうものなのかということについて詳しく解説しましょう。
これまでの介護報酬の問題点とは?介護報酬改定によって変わること
超高齢化社会に適応するために重要な課題とされているのが利用者の自立支援・重度化防止です。介護が必要な利用者に介護サービスを施すことも大切ですが、そうした利用者が必要とする介護サービスの量を減らすようにすることもまた、同じくらい重要なことだからです。最初から医療や介護に頼るのではなく、必要なときに必要な医療や介護に頼ることができるような社会にしていくべきだといえるでしょう。
しかし現在の介護報酬制度では、利用者の要介護度が上がれば上がるほど、それにつれて介護報酬も上がるという仕組みとなっています。このような場合、もしも介護事業者が利益を出したいのならば、利用者の要介護度が上がるほど利益につながるということになってしまうのです。そうした構造は利用者にとって良い環境とはいえません。さらに、利用者のために少しでも要介護度を下げようとする事業者は収入が減ってしまって事業を継続することが難しくなるという問題も抱えていました。そういった問題を解決するためには、事業者が利用者の要介護度を下げた場合に、それに見合ったインセンティブが事業者に与えられることが重要だといえるでしょう。そうすることによって、事業者が経営状態を改善するためには利用者の要介護度を上げるのではなく、むしろ下げる方が得策だという方向に持っていく必要があるのです。そのための制度として2018年の介護報酬改定で導入することが決定したのが、アウトカム評価です。
ADLを維持・向上させることが加算に繋がる?
アウトカム評価のアウトカムとは、成果や結果という意味です。介護におけるアウトカム評価では利用者のADLレベルが維持・改善された場合、それに見合った評価が加算されます。ADLは正式名称を「Activities of Daily Living」といい、食事や着替え、排泄のような日常生活を行うのに必要な動作のことです。ADLは身体機能だけでなく、認知機能や精神面、社会環境とも相互に作用し合っています。そうしてこれらのうち一つでも機能が低下すると、ADLが低下してしまうといわれているのです。つまり、ADLレベルがどれくらいなのかということが高齢化や障害の程度をはかる指標だといえるでしょう。アウトカム評価ではこのようなADLレベルを「Barthel Index(バーセルインデックス)」という指標を用いて評価します。ただし、どのような事例やケースを持ってADLが軽減したとされるのか、その評価や観察の方法が人によって異なるといった課題も残されています。
さらに2018年の改定の段階では基礎となるデータベースが稼働していないということもあるので、とりあえずは先行的な自立支援の評価にとどまるでしょう。しかし、このアウトカム評価の導入によって1カ月あたり3単位と6単位という二つのADL維持等加算が導入される見込みです。そうすることによって、利用者のADLが向上することが事業者の経営において大きな追い風になることが期待されているのです。
アウトカム評価でサービスの質の向上に
それでは、実際にアウトカム評価はどのように行われるのでしょうか。まず、アウトカム評価の評価期間は前々年度の1月から12月までの1年間になります。この期間内に要介護者が連続して6カ月以上施設を利用した場合、その期間が評価対象利用期間として認められます。また、その際の要介護者の集団は20名以上でなければなりません。そしてこの要介護者の集団の15%が要介護度3以上である必要があります。これらの利用者のADLレベルを事業所の機能訓練指導員がBarthel Indexを用いて測定します。そうして最初の月のBarthel Indexを「事前BI」、6カ月目のBarthel Indexを「事後BI」、事後BIから事前BIを控除したものを「BI利得」といいます。各要介護者のBI利得が0より大きい場合には1、0より小さい場合にはマイナス1、0になった場合には0として計算し、その合計が0以上であると、その数字に応じてADL維持等加算が行われます。
こうした仕組みが導入されることにより、事業者は利用者の要介護度を下げることが事業の経営にプラスになるというわけです。さらに利用者の要介護度が下がるとその分人件費も下がるため、今後は介護サービスの量ではなく介護サービスの質の向上が事業経営における大きなポイントとなってくるでしょう。また、このことは利用者にとっても介護サービスから離れて生活ができるようになるため、社会保障費の削減にもつながります。利用者にとってはもちろんのこと、事業者にとっても社会にとってもメリットの多い制度だといえるでしょう。
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