
介護テクノロジーとは?活用できる分野やメリット、導入時の補助金について解説

介護テクノロジー、または介護テック・ケアテックという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
介護テクノロジーとは、介護現場のさまざまな課題解決につながる最新技術のことです。介護サービスの質の向上や、介護職員の負担軽減、高齢者の自立支援などの観点から、経済産業省や厚生労働省も導入促進に力を入れています。
この記事では、介護テクノロジーが役立つ分野やメリット、導入時の補助金について紹介します。
・介護テクノロジーを導入すれば、人手不足の解消や介護サービスの質の向上につながる
・介護テクノロジーは移乗支援や排泄支援など、9分野16項目で開発促進・普及が期待される
・介護ロボットやICTを導入する場合、「介護テクノロジー導入支援事業」の対象となる
(参考:「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました)
1.今注目を集める介護テクノロジーとは?
介護テクノロジーとは、介護施設で導入が進みつつある“介護ロボットやICT等のテクノロジー”の総称です。例えば、介護職員の身体負荷を低減するアシストスーツや、高齢者の健康状態をリアルタイムに見守るベッドセンサーシステムなどが一例です。
介護テクノロジーは、介護(ケア)とテクノロジーの2つの言葉をかけ合わせ、介護テックやケアテックと呼ばれることもあります。金融業界におけるフィンテック(FinTech)や、農業におけるアグリテック(AgriTech)などの例のように、革新的なテクノロジーを介護現場で活用し、さまざまな課題解決につながることが期待されています。
(参考:「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました)
国も介護テックの導入促進に力を入れている
介護テックの導入促進に向けて、国は積極的な支援策を打ち出しています。
例えば、経済産業省と厚生労働省は、2012年に「ロボット技術の介護利用における重点分野」を策定し、介護ロボットなどの開発・導入を重点的に支援してきました。2024年6月以降は、名称が「介護テクノロジー利用の重点分野」に変更され、機能訓練支援や食事・栄養管理支援、認知症生活支援・認知症ケア支援の3分野が追加されています。
また厚生労働省は、ヘルスケア分野におけるスタートアップの振興・支援のため、25の基本的指針を挙げています。その中に介護テック分野も含まれており、介護事業所向けのDX支援の拡充や、介護テック製品に関わる介護報酬の見直しなどの施策が検討されている状況です。
(参考:「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました)
(参考:ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するホワイトペーパー)
2.介護テクノロジーの利用が期待される9つの分野
介護テクノロジーの利用が期待されるのは、以下の9分野16項目です。
分野・項目 | 対象となるテクノロジー | |
---|---|---|
移乗支援 | 装着 | 介助者のパワーアシストを行う装着型の機器 |
非装着 | 介助者による移乗動作のアシストを行う非装着型の機器 | |
移動支援 | 屋外 | 高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器 |
屋内 | 高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器 | |
装着 | 高齢者等の外出等をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援機器 | |
排泄支援 | 排泄物処理 | 排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ |
動作支援 | ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器 | |
排泄予測・検知 | 排泄を予測または検知し、排泄タイミングの把握やトイレへの誘導を支援する機器 | |
入浴支援 | 入浴におけるケアや動作を支援する機器 | |
見守り・コミュニケーション | 施設 | 介護施設において使用する、各種センサー等や外部通信機能を備えた機器システム、プラットフォーム |
在宅 | 在宅において使用する、各種センサー等や外部通信機能を備えた機器システム、プラットフォーム | |
コミュニケーション | 高齢者等のコミュニケーションを支援する機器 | |
介護業務支援 | 介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等への介護サービス提供に関わる業務に活用することを可能とする機器・システム | |
機能訓練支援 | 介護職等が行う身体機能や生活機能の訓練における各業務(アセスメント・計画作成・訓練実施)を支援する機器・システム | |
食事・栄養管理支援 | 高齢者等の食事・栄養管理に関する周辺業務を支援する機器・システム | |
認知症生活支援・認知症ケア支援 | 認知機能が低下した高齢者等の自立した日常生活または個別ケアを支援する機器・システム |
特に見守り・コミュニケーション分野でテクノロジー活用が進んでおり、2021年の普及率は30.0%となっています。
3.介護テクノロジーを活用する2つのメリット
介護現場において、介護テクノロジーを活用するメリットは2つあります。
・介護職員の負担を軽減し、人手不足の解消につながる
・介護サービスの効率化や質の向上につながる
介護現場では、要介護・要支援認定者数が年々増える一方で、「3K」などのイメージから、深刻な人手不足に直面してきました。介護テクノロジーを導入すれば、介護職員の身体的・精神的負担を軽減し、明るく働きやすい職場環境づくりにつながります。
また介護サービスの効率化や質の向上にも効果的です。例えば、ベッドの脚部にセンサーを設置する「ベッドセンサーシステム」を導入すれば、夜間帯の離床行動や転倒リスクを防止し、利用者の安全を守れます。介護テクノロジーによる高品質なサービスを提供することで、他の介護事業所との差別化も可能です。
4.介護テクノロジーの導入時に利用できる補助金
介護ロボットやICT(介護ソフトや端末など)を導入する介護事業所を対象として、国や都道府県が「介護テクノロジー導入支援事業」を実施しています。
区分 | 補助額 | 補助率 | 補助台数 | |
---|---|---|---|---|
介護ロボット | 移乗支援、入浴支援 | 上限100万円 | 3/4 | 必要台数 |
上記以外 | 上限30万円 | |||
ICT | 1~10人 | 100万円 | ||
11~20人 | 160万円 | |||
21~30人 | 200万円 | |||
31人~ | 260万円 |
介護テクノロジーの導入を検討している方や、新しく介護事業を始めようとしている方は、補助金を利用するとよいでしょう。
(参考:介護テクノロジー導入支援事業)
まとめ
介護テクノロジーとは、移乗支援や移動支援、排泄支援、入浴支援など、さまざまな業務で役立つ機器やロボットのことです。
経済産業省や厚生労働省が中心となり、介護テクノロジーの導入促進に向けてさまざまな支援策を行っています。例えば、「介護テクノロジー導入支援事業」に申し込むと、介護ロボットやICTの導入費用の最大3/4が補助されます。
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