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2019年介護・福祉事業で過去最多倒産!介護・福祉業界が抱える問題とは

2020/03/30
2019年介護・福祉事業で過去最多倒産!介護・福祉業界が抱える問題とは

2019年には、介護・福祉事業の倒産が過去最多となりました。高齢化が進むなかで必要とされているはずの、介護・福祉事業の倒産が増えているのはなぜでしょうか。この記事では、2019年の倒産状況を把握できるよう、具体的な数字をもとに原因やその背景について解説します。また、これから介護・福祉業界が取るべき対策を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1.数字で見る介護・福祉事業の現状

2019年の介護・福祉事業における倒産件数は111件、負債総額は161億円を超え、2017年に並び過去最多となりました。しかも、2016年からは4年連続で100件を超えています。統計開始の2000年には倒産件数が3件であったことからも、近年では大きく増加していることがわかるでしょう。2019年は、設立してから5年未満の事業所の倒産が35件、資本金1000万円未満の事業所が98件と倒産件数で大きな割合を占めています。また、2019年は、訪問介護事業の倒産が58件と、前年比で28.8%急増しているのが特長です。ほかに多い業種としては、通所・短期入所介護事業の32件、有料老人ホームの11件などがあります。エリア別で見ると、最も多いのが近畿地区の32件、次いで関東地区の31件になっています。

2.介護・福祉業界の現状

この項では、倒産件数が増えている介護・福祉業界の現状について解説します。高齢化が進むなか、人材不足や介護様式の変化といった要素が影響していると考えられています。その現状について理解を深めておきましょう。

2-1.日本の高齢化の現状

65歳以上を高齢者とした場合、総人口に対する割合は1950年には5%程度でした。しかし、長期間に渡り高齢化が進んだ結果、2018年には28%程度にもなったのです。出生数が減少していることもあり、日本の総人口に対する高齢化率が増加傾向にあることは間違いありません。先進国のなかでも高齢化率の高い日本は、「超高齢化社会」といわれている現状です。高齢化と出生数の低下により、2036年には3人に1人が高齢者になると考えられています。1950年には1人の高齢者に対して約12人の現役世代が存在していました。しかし、2065年には現役世代は約1.3人にまで減ると予想されています。

2-2.介護人材の不足

高齢化が進み介護の需要が増える一方で、介護人材の不足が深刻な問題となっています。介護・福祉事業のなかでも倒産が多かった訪問介護事業では、ホームヘルパー不足も大きな原因です。団塊の世代が75歳以上になる2025年には、介護の需要がさらに高まると予想されるので、このままでは人材不足も加速するでしょう。介護人材は全体での人数は増えていますが、離職する人が多いことも不足する一因になっています。資本規模の小さい企業では人材を募集しても確保しにくい現状があり、企業間の格差も広がっています。

2-3.介護様式の変化

急速に高齢化が進む日本では、家族構成も大きく変化しています。核家族化が進み生涯未婚率も高まるなか、高齢者の1人暮らしや高齢夫婦だけの家庭も増えてきました。そのため、高齢者が住み慣れた地域で介護が受けられるように、地域包括支援センターを中心とするケアシステムが推し進められているのです。高齢者が必要とする支援を受けながら、自立して生活するための介護サービスが増えています。2018年、国は介護報酬の改定を行い、介護と医療の連携を強化する取り組みを開始しました。介護の様式は変化しているので、ターミナルケアや医療ケアといった専門的なサービス内容のニーズは今後も増えていくでしょう。

3.介護・福祉事業の倒産状況

2019年の介護・福祉事業の倒産では、小規模事業所が多くなっています。また、設立年の浅い事業所の倒産が30%程度ありました。民事再生法による倒産は3件に留まり、残りの9割は破産というかたちを取っています。このことから、介護・福祉事業では、再建型の破産という形態を取るのが難しいことがわかります。倒産の原因として最も多いのが「業績不振」の81件で、2018年の63件から大きく増えているのが目立ちます。ほかには、事業の失敗や赤字の累計、運転資金欠乏といった原因もありました。

4.介護・福祉業界の対策

ここまで2019年の倒産状況について解説しました。介護・福祉事業者は、現在の状況を把握した上で、時代に即した対策を進めていく必要があります。この項では、事業者が検討すべき新たな戦略について紹介します。

4-1.介護職に対するイメージアップ戦略

人材不足が深刻になる原因の1つには、一般的に介護職に対するイメージが低下していることも挙げられます。こうした現状を受けて、国は介護・福祉業界に対する支援を充実させてきました。例えば、小・中規模事業所が対象の「業務改善助成金」は、設備投資や最低賃金引上げについて助成金を設けています。また、「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用の職員の処遇改善を行った事業者に対するものです。ほかにも、「時間外労働等改善助成金」など、介護に携わる人の処遇改善につながる助成金もあります。このような国の助成金を活用しながら働き方改革を行うことで、介護職に対するイメージは徐々に向上することでしょう。

4-2.労働環境の変化

介護職員が辞めずに長期間にわたり働くためには、労働環境に配慮し、改善することも必要です。例えば、介護以外の書類作成には一定の時間がかかります。事務的な単純作業であれば、介護職員以外でも行うことが可能です。長時間労働を減らすには、ITサービスなどを活用し、効率化を図ることも大切でしょう。また、介護職員が利用者全員を対象にケアするのではなく、少人数のユニットに分けて担当者を決める方法もあります。ユニット制のほうが個々のニーズに対応しやすくなり、より細やかなサービスが提供できます。介護職員の労働環境が改善されることは、職員と利用者のどちらにもメリットがあることに間違いありません。

4-3.外国人人材の採用

国は介護・福祉業界の人材不足解消に向けて、EPA(経済連携協定)や技能実習制度による外国人人材の受け入れを行ってきました。特に、2018年からの2年間では、ベトナムから1万人の人材を技能実習生としての受け入れを進めています。技能実習生は3~5年のあいだ、国が認める一定水準をクリアした人材として働くことが期待されるでしょう。また、EPAによる人材は高等教育を受けていることや、介護福祉士の資格を取得することが条件となっています。日本で働く場合は、介護に加えて訪問介護へも対応でき長期雇用が可能になるメリットがあります。国内での人材不足への対策としては、外国人人材の採用も検討したいところです。

5.介護ファクタリングの利用

介護・福祉事業が抱える問題を解決する方法の1つとして、介護ファクタリングの利用がおすすめです。「介護ファクタリング」とは、介護報酬を受け取る権利(介護報酬債権)をファクタリング会社に買取ってもらうことにより、介護業者が前払いで介護報酬を受け取れる仕組みです。介護報酬は、事業所が請求しても入金されるのは2~3カ月後になります。そのため、開所したばかりの場合や小規模の事業所は、実際には黒字経営でも現金が不足する可能性もあるのです。介護ファクタリングを利用すれば前払いで入金されるので、資金繰りがスムーズになるでしょう。入金までの日数や金額の割合などは、事業所の状況によって異なるので確認することが必要です。介護事業者には、倒産リスクを軽減する意味でも、介護ファクタリングをご検討ください。

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