介護職員処遇改善加算とは? 処遇改善の一本化についても解説
「介護職員処遇改善加算」は、介護職員の賃金や労働環境の改善を図るうえで欠かせない制度です。要件さえ満たしていれば申請可能な制度で、特にハードルが高いということもありません。サービス種別ごとの加算率に応じて計算を行います。本記事では、現行の介護職員処遇改善加算の目的や対象となる事業、取得に関する手順、算定要件などを説明し、そのうえで処遇改善加算の一本化について解説していきます。
介護職員処遇改善加算
1.介護職員処遇改善加算とは
「介護職員処遇改善加算」とは、事業所が必要な資金を国が支給してくれる制度のことです。支給は厚生労働省を介して行われ、介護職員の処遇改善を図ることを目的としています。現行制度では「処遇改善加算」「特定事業所加算」そして「ベースアップ等支援加算」の3種類に分かれています。
1-1.介護職員処遇改善加算を行う目的
厚生労働省が公開している資料(「介護職員処遇改善加算」のご案内)では、介護職員処遇改善加算を行う目的を「介護職員の安定的な処遇改善を図るための環境整備とともに、介護職員の賃金改善に充てること」としています。特に介護職員の賃金については、改善を求める声が以前から出ていました。賃金改善に取り組むことは大きな要因となっています。
今後、高齢化は急激に進行していきます。そうなれば、介護職員の負担が増すのは予想し得ることです。当然ながら、職員の増員も検討しておかなければなりません。介護職員処遇改善加算は、介護人材の確保と定着といった課題解決を図ることも視野に入っています。
1-2.対象事業
介護職員処遇改善加算の対象となるのは、デイサービスや入所施設といった直接介護を行っている事業所です。事業だけでも細かく指定されています。具体的にはどういった事業が対象になるのかは、以下をご覧ください。ほとんどの介護従事者が対象となる制度ですが、管理者や相談員、看護師などは介護業務を兼任していることが条件です。
・訪問介護
・訪問入浴介護
・通所介護
・通所リハビリテーション
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・特定施設入居者生活介護
・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・介護医療院
・定期巡回、随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
・小規模多機能型居宅介護
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・看護小規模多機能型居宅介護
1-3.取得の流れ
では、介護職員処遇改善加算を取得する際の流れについて説明していきます。基本的な流れは「1、介護職員処遇改善計画書を提出」「2、加算の請求と支払い」「3、処遇改善実績報告書を提出」の3つのステップになっています。
「介護職員処遇改善計画書の提出」で、まず必要となるのが就業規則と給与規定といった必要種類です。そして「介護職員処遇改善計画書」を作成して管轄の自治体へ提出します。計画書通りに実施できたら、その後に報告を行います。
「加算の請求と支払い」では、介護報酬として加算額が支給されます。わかりやすくいえば、職員の給料に上乗せする介護報酬のことです。加算額の支給は報告した取り組みが承認された後になります。事前に受け取ることはできません。
最後の「処遇改善実績報告書を提出」では、実際に賃金が改善された処遇改善実績報告書を提出しましょう。提出先は都道府県などで、速やかな対処が求められます。もしも提出を忘れたり内容が不十分だったりすると、支給された加算額を返還する場合があります。
1-4.申請に必要な要件
介護職員処遇改善加算の申請に必要な要件は「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」の2つがあります。この2つの組み合わせによって、支給される加算額が変わります。なお、介護職員処遇改善加算の区分はI~Vの5つです。もっとも高い「加算I」は職員1人当たり月額3万円7000円相当、もっとも低い「加算V」だと職員1人当たりの月額は1万2000円相当になります。
「キャリアパス要件」はI、II、IIIの3種類に分かれています。Iは「職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること」、IIは「資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること」、そしてIIIは「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組みまたは一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること」です。「職場環境等要件」とは、賃金改善以外の部分を指します。働きやすさなど職場環境の改善に関する取組を実施することが求められます。
2.2024年以降、介護職員処遇改善加算が一本化
介護職員処遇改善加算は、現行で3種類になっている「介護職員の処遇改善にかかる加算」が、2024年度の改定で「介護職員等処遇改善加算」に一本化されます。そこで、改善加算の一本化の概略について解説していきます。
2-1.加算の一本化とは?
現行では「処遇改善加算I~III」「特定事業所加算I~II」「ベースアップ等支援加算」の3つの加算が重なるイメージになっています。2025年3月までは、現行のままです。一本化されるのは2025年4月からで、新加算I~新加算IVの4段階に設定されます。一本化する狙いは、介護職員の待遇と職場環境をさらに改善することです。同時に、事務作業を簡素化するという目的もあります。
新加算Iの要件はもっとも厳しいですが、その分加算率は高く、22.4%となっています。新加算IIの加算率は20.3%、新加算率IIIの加算率は16.1%、新加算IVの加算率は12.4%です。
2-2.一本化に伴う分配ルールの見直し
新処遇改善加算では、月額賃金の改善を図ることを目的に分配ルールの見直しが求められています。月額賃金の改善要件の案として、次の「基本ルール」と「新規取得事業所に関するルール」の2つが提起されています。
1つめの基本ルールは、新処遇改善加算IVの2分の1以上を月額賃金の改善としてあてることです。そして、2つめの新規取得事業所に関するルールは、新加算の取得にともなって収入が増加した部分のうち現行のベア加算に相当する部分が焦点になっています。現行のベア加算に相当する部分全額を新たに賃金改善にあて、さらにその3分の2相当を月額賃金によって改善を図るというものです。これを、基本ルールとともに実施することとしています。
処遇改善加算の改定情報を把握しておこう
介護報酬の改定は、数年おきに実施されています。介護の現場を充実させるには、介護職員の待遇を少しでもよくしていかなければなりません。職員の新たな確保だけでなく、離職率を下げるうえでも重要なことです。経営者が処遇改善加算を取得することで、待遇と職場環境の改善に取り組んでいる姿勢を示すことができます。最新の改定情報を的確に把握し、速やかに対応しておきましょう。
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