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介護ビジネス開業への道 (12)介護タクシー

2015/05/25
介護ビジネス開業への道 (12)介護タクシー

今回は、福祉送迎サービスの介護タクシーの業務内容や開業における注意点について詳しく解説します。介護タクシーは、高齢者の通院や施設への送迎をおこなう訪問型のサービスです。地域や業者により「福祉タクシー」や「ケアタクシー」などの名称も使われています。 また、介護保険の適用される「通院等乗降介助」制度のことを、通称「介護タクシー」と呼ぶ場合もありますが、こちらは介助が目的の訪問サービスです。運送事業の介護タクシー(介護保険外)は、福祉に限定された輸送をおこない、一般のタクシーより開業しやすいと言われています。

介護タクシー事業とは?

介護タクシーは旅客運送業で、高齢や身体が不自由などの理由で独力での移動が難しい人に、輸送サービスを提供します。おもな利用対象者は、介護認定を受けた要介護者・要支援者や、障害者認定を受けた身体障害者などです。認定証のない利用者を乗せて運行することは、基本的に認められていません。

介護タクシー事業を始めるには、陸運局に申請して「福祉輸送事業限定」の「一般乗用旅客自動車運送車事業」の許認可を受ける必要があります。 運行車両は、車いすや寝台のまま移動できるよう、専用の「福祉輸送車両」に限定されます。

他にも、次のような条件が定められています。

  • 貸し切り自動車であること
  • 緑ナンバー・二種免許が必要(※2台目からは白ナンバー・一種免許も可能)
  • 乗車定員は11名未満
  • 予約制
  • 利用者は介護認定(または障害者認定)が必要

一般のタクシー業者が介護タクシーに参入したケースでは、通院や買い物の付き添いをおこなったり、ホームヘルパーなど介護の資格・経験のある乗務員が担当したりと、柔軟なサービスを展開しています。すでに訪問介護や居宅介護支援事業を営む事業所が、他社との差別化を図って介護タクシーに参入するケースも増えています。

「ぶら下がり許可」のしくみ

介護タクシー事業では、1台目は必ず緑ナンバーを取得し、運転者には二種免許が必要です。訪問介護(または居宅介護支援事業)の事業所が、介護タクシーをサービス提供する場合、2台目からは白ナンバー・一種免許での運用が認められています。 ホームヘルパーの自家用車を借り上げ、有償で運送をおこなうことができます。 この特例を「自家用有償運送許可(ぶら下がり許可)」といいます。

なお、運用する車両が5台以上の場合、運行管理者が必要となります。 運行管理者になれるのは、国土交通省の指定による試験機関で「運行管理者試験」に合格した人だけです。

通院等乗降介助について

介護保険の適用される「通院等乗降介助」という訪問サービスのことを、通称「介護タクシー」と呼ぶ場合もありますが、これは送迎の介助がおもな目的です。このサービスの利用時は、介護保険の自己負担分に加えて乗車料金がかかります。乗車料金は保険適用外のため、利用者の10割負担となります。

介護タクシー事業の注意点

介護タクシーの許認可は陸運局で受け付けていますが、行政書士が手続きを代行することができます。 タクシー料金は介護保険が適用されず、利用者の全額負担となります。ただし保険外サービスのため、料金は事業者が自由に設定できます。

現状で介護タクシーのニーズは、通院・通所目的の利用がほとんどです。 そのため、利用が平日の朝と夕方に集中します。一方、日中・夜間や、病院・施設が休みになる日曜・祝日などは、利用が減少して空き時間になることもあります。 リピーターの定期的な利用が多く、事前予約制で、安定した運用が見込めることは事業メリットと言えるでしょう。

しかし、病院や施設が無償で送迎サービスを提供することがあり、こうした競合サービスに対して、介護タクシーの付加価値を高めていけるかが鍵となります。介護タクシーを開業する前に市場調査を徹底し、適切な料金設定と堅実な経営計画を練り上げることが重要です。

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