
介護ビジネス開業への道 (14)在宅医療

日常的に利用される介護サービスに対して、在宅医療は利用者が病気になった際に必要となるサービスです。現在、国の方針で介護と医療の連携が進められており、2015年の介護保険制度の改正でも、「介護と在宅医療の連携」が大きくクローズアップされました。
介護サービスに参入する医療法人も増加しています。介護と医療の枠を超えたシームレスな連携が、今後ますます重要になると見られています。今回は、介護業界での在宅医療について詳しくご紹介していきます。
介護と在宅医療の方向性
改正された介護保険法では、地域包括支援センターと在宅医療の連携拠点(市町村や地区医師会など)が協力して介護と在宅医療を支援するよう、厚生労働省が施策を推進しています。今後は、次のような取り組みが進んでいくと見られます。
- 地域の医療機関のリスト・地図の配布
- 介護と在宅医療に関する会議の開催
- 研修の実施や人材育成、普及啓発など
- 24時間365日、介護と在宅医療を提供する体制の整備
地域医療ビジョンの中で、将来的な在宅医療の必要性を見きわめ、各地域で医療計画が策定されます。計画には、医療機関や訪問看護の役割分担と目標設定、在宅患者の病状に応じた病床の確保などが盛り込まれる予定です。
事業者は、各地域の在宅医療の将来像を把握し、どのように事業展開するかを検討する必要があります。
医療から介護への参入
毎年、医療業界から介護業界への参入は増加しています。国の方針で介護と医療の連携が強まるだけでなく、診療報酬の減少傾向が今後も見込まれるためです。介護保険と医療保険では報酬制度に違いがあります。
- 介護保険:単位制。要介護認定に応じた利用限度額が月ごとに決められています。利用者は、日常的・継続的に介護サービスを利用できます。
- 医療保険:点数制。治療が必要な間は完治するまで利用の上限はなく、規定の点数を積み上げて請求します。利用者は「患者」と呼ばれ、病気になった時のみ治療を受けられます。
介護保険の場合、継続的に安定した利用が見込まれるのが大きなメリットです。
一方、医療保険では、季節や口コミの評判などにより患者数が増減することもあります。そのため、単なる副業ではなく、介護を経営の柱と認識して、高齢者住宅などの介護サービスへ本格参入する医療法人も増えています。おもに医療系のサービスである、「居宅療養管理指導」「老人保健施設」「デイケア(通所リハビリテーション)」「訪問看護」などが中心です。福祉系のサービス「訪問介護」「デイサービス」などの介護事業を開業するケースもあります。サービス付き高齢者向け住宅などを活用した、ベッドコントロールや訪問診療なども注目されるようになっています。
居宅療養管理指導とは?
医療から介護事業に参入する場合、訪問診療をおこないつつ、医療系サービスを提供する例が中心です。また、直接の介護事業は手がけなくても、「居宅療養管理指導」を実施している医療機関は多く存在します。
居宅療養管理指導は、介護保険サービスの一種です。利用者の自宅を訪問し、介護方法・療養の管理指導を行ったり、助言などを提供します。対象となるのは、要支援・要介護の認定を受け、在宅で療養しているが通院は難しい利用者です。その利用者の状況や生活環境を把握した上で、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などが、各家庭を訪問します。おもに心身機能の維持・回復をめざし、生活機能を向上させるのが目的です。
担当のケアマネージャーに対しては、ケアプランに必要な情報提供をおこないます。サービス担当者会議への参加が基本ですが、文書・メール・FAXでの送付も認められています。介護サービスの居宅療養管理指導と同時に、医療保険を使った「寝たきり老人訪問診療」を提供することもできます。
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