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介護施設に必要な感染予防策とは?重症リスクがある高齢者を守る!

2021/08/09
介護施設に必要な感染予防策とは?重症リスクがある高齢者を守る!

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、人と人との接触に関するリスクが声高に叫ばれるようになりました。特に、介護施設は、体力に劣り重症化リスクの高い高齢者が多く利用することから、より徹底した各種感染症に対する予防策が求められます。本記事では、介護に携わる方に向けて、介護施設に必要な感染症予防のノウハウを網羅的に解説します。

感染予防策

1.感染対策の基本!標準予防策と感染経路別予防策

介護施設での感染予防対策の基本は、まず標準予防策(スタンダード・プリコーション)を確実に実践することです。標準予防策とは、1996年に米国疾病予防管理センター(CDC)が提唱した感染予防の基本方針で、患者の血液、体液、吐瀉物、排泄物、創傷皮膚などは、すべて感染性物質(感染の可能性のある物質)とみなして対応するよう定めています。

もともとは、院内感染症対策として病院で掲げたポリシーでしたが、同じく介護施設という環境下でも非常に有用性が高いことから、医療と介護の双方の現場で、普遍的に適用されるようになった考え方です。この標準予防策を実現するには、利用者やその感染性物質に触れる機会が増える介護職員の、手指の衛生管理を徹底することが基本です。言い換えると、手指衛生を軽視していては、どんなに発展的な予防策を整えようとすべてが台無しになってしまうリスクさえあります。

感染経路別予防策は、空気感染や飛沫感染、接触感染など複数の感染経路を遮断する目的で行われます。空気感染する結核や麻疹、飛沫感染するインフルエンザやマイコプラズマ、接触感染するノロウイルスなど、菌の種類によって主要感染経路は、ある程度の特定は可能です。一定期間、特に流行している感染症がある場合は、その原因菌に応じた感染経路別の予防策を行うことで、予防効果の向上につながります。

具体的には、空気感染予防の場合は、環境衛生面をケアした上で、N95微粒子用マスクなどの個人防護具を適切に活用するのが有効です。飛沫感染予防としては、個室の活用もしくは1人ひとりの距離を保つよう配慮し、至近距離で接する際には、サージカルマスクの着用が望ましいしょう。

2.利用者それぞれに徹底したい感染予防策

感染は、介護職員同士だけの問題ではありません。介護対象者、そして、施設に出入りする業者や入居者親族など、様々な関係者が介護施設において断続的に関わっています。結局、感染予防策は介護職員のみがいくら努力しても限界があり、利用者各自が感染症対策を十分に意識することが不可欠です。次に、すべての介護施設利用者に徹底してもらいたい感染予防策について、詳しく解説します。

2-1.密閉・密集・密接の回避

新型コロナウイルス感染症対策としてお馴染みになりましたが、3密(密閉・密集・密接)の回避は、やはり予防策の基本です。どのような場面にあっても、他人と一定の距離を取る、頻繁に換気するといった対応は欠かせません。食事中はマスクができないため、対面での着席を禁止して、互いの距離を1メートル以上離すか、テーブルにパーティションを設置して飛沫の拡散を防ぐ必要があります。また、私語厳禁はあまりに酷であるとしても、いったん食事を食べ終わってからマスク着用後の会話を促すなど、利用者に理解と協力を呼び掛けなければなりません。

さらに、介護施設において、利用者が1カ所に集まるレクリエーションは、どうしても3密が危惧されるシーンです。密閉を避けて屋外で実施する場合でも、互いの距離を保ち、密集状態になるのをできるだけ避けましょう。3密が生じないコミュニケーション手段として、Zoomなどのビデオ通話アプリの使用法を覚えてもらい、リモートでのリハビリ・レクリエーションを企画するというのも選択肢の1つです。また、親族と利用者の対話時も直接会う必要がないケースならば、積極的にビデオ通話を活用してもらうなど、外部からの施設訪問の頻度を減らすことが、感染リスクの回避にもつながります。

2-2.咳エチケットの徹底

個人レベルで実践してもらわなければならないポイントとしては、咳エチケットの徹底も重要です。咳エチケットとは、咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュで口や鼻を確実に覆う作法で、袖などで口元をカバーできれば問題はありません。とにかく唾などが周囲に飛散しないことがすべてで、マスク着用中でも口や鼻がはみ出た状態で咳をしていてはエチケットに欠けるとみなされます。

くしゃみの飛沫は1~2メートルほど広がるとされており、マスクをしていてもくしゃみの時にあまり大声を上げないほうが望ましいです。さらに、口と鼻を覆ったティッシュのスムーズな処分、小まめなうがい・手洗いの実践なども、守るべき咳エチケットに含まれます。施設全体で咳エチケットを推進することで、利用者が自ずと咳エチケットに気を配る雰囲気づくりを目指しましょう。それでも、こうした約束事を守れない個人が見られる場合は、職員からの直接指導が必要です。

3.意外とできていない?正しい手指消毒の仕方を知ろう

標準予防策でも軽く触れましたが、手指消毒は、感染防止策のなかで最重要な役割を担うと言っても過言ではありません。しかし、手指消毒を確実にこなしているように思っていても、正しくできていないケースも散見されるので、いくつかの注意点を確認しておきましょう。

人間の手は基本的に同じ構造をしているため、誰でも洗いやすい部位と洗い残しが起こりやすい部位がほぼ共通しています。エタノールなどで手指消毒する際は、手のひらはもちろん、手の甲、指先、爪の間にも液体をしっかりすりこみ、最終的には手首までケアしましょう。手洗いの時も同様に、洗い残しが出やすい指先、爪の間、指の間は、十分注意して洗浄します。なかでも、親指の後ろ側は、特に洗い残しが出やすいと言われていますので頭に入れておいてください。ちなみに、消毒や手洗いに要する時間は、数秒では感染予防策として不十分です。エタノールや石鹸を使用し、10~15秒かけて実践するのが、適切な予防効果を発揮できる目安です。

介護施設の感染予防対策は介護職員と利用者が協力することが大事

介護施設は接触が起きやすい環境で、感染症対策を講じる上で悩ましい問題です。職員のほか、利用者も感染予防に対して高い意識を保つよう継続的に協力を求める必要があります。また、消毒液、飛沫防止パネルの準備、小まめな清掃による人件費と備品代の増加など、費用面での課題にも直面するでしょう。キャッシュフローが対策実現のネックとなっているならば、「介護ファクタリングサービス」の利用も検討してみてください。

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