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農福連携?ケアファームによる新たな福祉事業

2020/04/06
農福連携?ケアファームによる新たな福祉事業

国は2016年の「ニッポン一億総活躍プラン」の中に、農業・福祉分野が連携して事業を推進する内容を盛り込みました。これを受けて全国各地で「農福連携」という考え方が広まっています。農業と福祉は、ともに人材不足に悩まされている分野です。農福連携は、両分野の問題解決の糸口となるのでしょうか。この記事では、農福連携とは何か、そのメリットや事業を始める方法などについて具体的に解説します。

1.福祉業界の現状

近年、日本では急速に少子高齢化が進んでいます。高齢者人口は2007年に20%を超え、「超高齢社会」となりました。国は、団塊世代が75歳を迎える2025年には介護人材が大きく不足すると予想しています。そのため、人材不足の解消に向けて多彩な制度を展開し、福祉業界も支援を受けながら人材確保に取り組んでいる現状です。未経験者を育成するなど福祉職に就く間口は広がり、業界は大きく発展する傾向にあるといえるでしょう。しかし、社会保障費や医療費の増大、都市部での介護難民などの問題もあることから、今後の福祉業界についての懸念が残されています。そこで、問題解決へ向けたひとつの糸口として注目されているのが「農福連携」への取り組みなのです。

2.農福連携とは

農福連携は、障害者や高齢者などの福祉業界でサービスを受けている人が、農業分野に携われるよう支援する公的な取り組みです。農業の従事者は、高齢化などの影響で年々大きく減る傾向にあります。福祉業界の障害者などが農業に関わることで農家は不足する人材確保も可能になるでしょう。また、農業を通じて社会参画できた人は、生きがいや自信を持てるのではないかと期待されているのです。国は、農福連携による農業生産の拡大、さらに良質な生産物のブランド化などを目指すとしています。農福連携は、農業と福祉、それぞれの問題解決や利益が期待される新たな取り組みであることは間違いありません。

3.ケアファームとは

「ケア(介護)ファーム(農場)」は、オランダの農福連携システムとして世界中から注目されています。これは、認知症や障害のある人が、自然豊かな農場でデイサービスを受けるものです。このシステムが始まったのは1990年代で、20年後には運営する団体が20倍ほどに増えました。ケアファームは、農業と福祉の両方のスタッフにより運営され、ボランティアや研修生も加わる組織になっています。ヨーロッパで展開されているソーシャルファームには、農作業を行う「多機能型」や健康主眼の「健康型」、交流を目的とする「ソーシャル・インクルージョン型」があります。オランダのケアファームは、すべての要素を取り入れた優れた取り組みとして評価が高いものです。

4.ケアファームのメリット

農福連携の1つとして参考になるケアファームには、どのようなメリットがあるのでしょうか。この取り組みでは、太陽のもとで体を動かし、農作業に参加する点が重要視されています。農作物の収穫や除草、動物の世話といった農作業に従事することは、障害者や認知症の高齢者などの健康増進に役立ちます。また、仲間と一緒に農作業をすることで、会話などの触れ合いも自ずとできることから、十分なコミュニケーションが取れるメリットもあります。個々の特性に合ったケアファームでのデイサービスを受けることで、ストレスを緩和し、病状の進行を遅らせる効果も期待されています。

5.ケアファームの収入源

ケアファームは、主にオランダ独自の介護保険「AWBZ」や農作物の売り上げ、寄付金の3つを運営の収入源としています。「AWBZ」は、家族や地域の人でも介護をすれば介護報酬が給付されるシステムです。ケアファームの運営団体は、事業収入の多くをケア事業から得ているのが実情です。ケアファームの事業所は、国からの給付金を受けられるため、利益中心の経営ではなく、社会貢献を主軸にした運営を実現してきました。また、農作物の売り上げによる利益などに加え国からの助成金があることからも、ケアファームの運営団体が増えている理由がわかるでしょう。

6.ケアファームを始めるには

農業先進国であるオランダのケアファームは、農業を基本としながらも多角的な側面を持っています。医療と連携する「セラピー」や、交流を中心とした「コミュニティーガーデン」、居場所づくりの「マルチファンクション」など、事業所ごとに特色のある展開をしているのが特長です。日本において農福連携を実施する場合でも、ケアファームを参考に、農業を活用しながら総合的な支援サービスを行うのが理想でしょう。高齢化が加速する日本では、それぞれの地域の特性を活かしながら、高齢者に豊かな支援サービスを提供していくことがポイントです。日本とオランダでは介護保険制度には違いがあるものの、日本で実行可能なサービスを活用したケアファームの設立が求められています。

7.介護ファクタリングの利用がおすすめ

ケアファームを始めたくても資金繰りに不安がある場合は、介護ファクタリングを利用するのがおすすめです。

「介護ファクタリング」とは、介護報酬を受け取る権利(介護報酬債権)をファクタリング会社に買取ってもらうことで、介護業者が前払いで介護報酬を受け取れる仕組みです。介護報酬は、事業所が請求しても入金されるのは2~3カ月後になります。そのため、開所したばかりの場合や小規模の事業所は、実際には黒字経営でも現金が不足する可能性もあるのです。介護ファクタリングを利用すれば前払いで入金されるので、資金繰りがスムーズになるでしょう。入金までの日数や金額の割合などは、事業所の状況によって異なるので確認することが必要です。介護事業者には、介護ファクタリングなども活用しながら、多角的な農福連携の取り組みを新たに進めていくことが求められています。

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