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改正社会福祉法で改革を迫られた社会福祉法人!改革のポイントは?

2017/02/20
改正社会福祉法で改革を迫られた社会福祉法人!改革のポイントは?

世間一般にはあまり知られていませんが社会福祉法が改正され、平成29年4月1日から施行されることになっています。世間一般にあまり知られていない原因の一つとして、改正の目的が社会福祉法人を利用する人ではなく、社会福祉法人そのものについての改正であることが挙げられます。また、今回の改正は今後新規に事業を立ち上げる人だけではなく、既に事業を行っている法人にも影響がありますので、社会福祉法人の経営者や働いている人は改革の中身についてよく理解しておきましょう。

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社会福祉法人とは何をするための組織?

そもそも、社会福祉法人とはどのような組織なのでしょうか。会社と言われる組織を大きく分けると営利を目的とした組織と、営利を追求していない組織に分けることができます。前者は株式会社などの通常の企業を指しますが、後者は財団法人や社団法人、学校法人などで社会福祉法人もここに含まれます。

これらの団体は社会的、地域的に公益性を重視した事業を行うことを目的に設立された組織で、事業を運営していく上で必要な利益をあげることは許されますが、必要以上に営利を追求してはいけないことになっています。なぜなら、通常の企業では受けることのできない、税金面で様々な優遇措置を受けられることになっているからです。非営利団体が受けることのできる税制上の優遇措置には「法人税や事業税の非課税」「市町村民税、都道府県民税の非課税」「固定資産税や消費税が原則非課税」といったものがあります。これらの非課税措置は金額的にもかなり大きくなるので、その代償として利用者から過度な料金徴収をしてはならないというわけです。

社会福祉法人に含まれる事業とは、社会や地域において福祉活動を行っている事業者のことを指します。よく知られている事業で言うと、老人ホームや保育園など高齢者や障害者の支援や児童保育を行っている事業が該当し、事業者によっては病院経営も事業の一環として行っている社会福祉法人もあります。

社会福祉法人制度の改革の対象は?

今回の制度改正は税制上の優遇措置があるにも関わらず、一部の社会福祉法人において財務状況が第三者の目からわかりにくい状況であり、利益を追求した経営をしているのではないかと疑われていること、公益性が求められる社会福祉法人であるにも関わらず、非営利事業における取組が個々の事業者によって温度差が生じており、地域社会において十分な社会的な貢献を行っていない事業者がいることといったようなことから社会福祉法人自体の改革を対象とした制度改正となっています。

社会福祉法人のあり方についてはここ数年問題点の検証が行われており、2014年の厚生労働省における「社会福祉情人の在り方等に関する検討会」では「地域ニーズへの不十分な対応」「他の経営主体との公平性」「ガバナンスの欠如」「財務状況の不透明さ」「巨額な内部留保問題」という5つの問題点が既に挙げられています。今回の改正はこれらの問題点を強く意識した改正となっており、もう一度「その地域における公益的なサービスを非営利事業として行う団体」であるという社会福祉法人設立の原点に立ち返らせることを意識した内容となっています。

社会福祉法人が取り組む改正の主な内容は次の通りです。「経営組織のガバナンス強化」「事業運営の透明性の向上」「財務規律の強化」「地域における公益的な取組を実施する責務」「行政の関与の在り方」の5つとなっています。

また、今回の改正には、現場で不足しがちな「福祉人材の確保の促進」といったものも含まれています。こちらには離職した介護福祉士の届け出制度の創設、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しなどがありますので、現場で働くことがある方は調べてみてはいかがでしょうか。

改正社会福祉法が施行されると何がどう変わる?

既に法人を経営している施設の場合、今回の制度改正に伴って定款部分からの変更を余技なくされますのでよく確認しておきましょう。まず、「経営組織のガバナンス強化」についてはかなり大きな制度改正が加えられています。特に大きな改正としては「役員とその法人の職員の兼務不可」や「評議員会の義務化(評議員会の議決機関化)」です。これらの内容はこれまで特段定めがなかったものや、保育園などの特定の施設を運営している法人のみが設置するように義務づけられていましたが、今回の改正によって全ての社会福祉法人に設置が義務付けられることとなりました。

また、会計監査人の設置が義務づけられたり、役員や評議員が法人や第三者に対して損害を与えた場合については損害賠償をする責任を負うことになったりするなど、かなり重要な改正も含まれていますので、特に役員クラスの方はよく理解しておく方がよいのではないでしょうか。

「事業運営の透明性の向上」としては、改正前は公表する必要のなかった定款や役員報酬基準、貸借対象表を公表することや、閲覧請求者をその法人に対する利害関係者から国民一般にまで広げることとなっています。また、公表の方法もホームページを活用して公表することとなっていますので注意しましょう。

「財務規律の強化」については内部留保の拡大や不透明といった部分を抑えるために、「純資産額から事業の継続に必要な財産額を引いた額を明確にすること」で、それ以上の額を保有している事業者に対して、新規の公益事業や福祉事業を行う計画の作成を義務付けるように改正されています。

「地域における公益的な取組を実施する責務」においては責務規定として改正され、具体的に行うサービスは限定されていませんが、「その地域において少子高齢化や人口減少などを踏まえたニーズを把握して無料又は低額な料金で提供すること」とされています。ただし、注意したいポイントとしては法人の入所者と地域住民との交流や地域のごみ拾いなどは法人事業の一環や地域社会の構成員として行う活動としてみなされるため、「非営利や福祉事業」としてはみなされないことがあるということです。

最後に「行政の関与の在り方」については、行政の指導、監督権限が強化されています。必要に応じて「法人の業務もしくは財産状況について報告を求めること」や「事務所その他の施設に立ち入り、業務財産の状況もしくは帳簿、書類その他の物件の検査をすること」ができるような権限が与えられ、その法人が著しくその適正を欠くと認めた時には勧告を行い、それでも従わないような場合にはその旨を公表することができるとされています。このように、今回の社会福祉法の改正では様々な点が変わっています。役員数の変更や新設などによって定款の変更は必須ですので、早めに準備するようにしましょう。

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