
今後どのように変わっていく?社会福祉法人の制度改革とは

2016年、社会福祉法等の一部を改正する法律が成立・公布されました。この制度改革は大きく5つの柱から成り立っており、福祉サービスの供給体制の整備および充実を図ることを目的としています。ここでは制度改革が行われることによって社会福祉法人がどのように変わっていくのかをまとめてみました。制度改革の内容とその背景を知ることで、今後の方向性と経営戦略についてしっかりと計画を立て、安定した運営を目指していきましょう。
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なぜ変わる?制度改革の理由とは
2016年に公布された社会福祉法等の一部を改正する法律は介護保険法が成立した1997年以降で最も大きな改正となっています。ここまで大きな制度改革を行った理由としては社会情勢の変化と社会福祉法人の好優遇化に理由があるといえるでしょう。まず急速な高齢化を背景とし、社会福祉法人は特別養護老人ホームをはじめとする高齢者福祉事業に積極的に参入してきました。社会福祉法人は税制面のメリットが大きいため、株式会社などと比べて新規参入しやすい環境が整っていた点が急速に広がった理由として挙げられるでしょう。
高齢者の生活を支える事業者として着実に拡大していった社会福祉法人ですが、そのサービス内容や事業展開に問題が生じるようになってきました。その1つとして過大な内部留保が挙げられます。2011年の社会保障審議会介護給付費分科会における調査によると社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームでは平均で約3.1億円もの内部留保が存在することが判明しました。また非営利組織にも関わらず、高額な役員報酬が支払われている施設もあり、公平性の観点からの不満などが噴出するようになりました。
よって今回の制度改革では、経営組織のガバナンス強化と事業運営の透明化を目指し、こういったグレーな部分を自浄することを目的としているのです。また福祉サービスの供給体制を整え、働きやすい職場にするための共済制度の見直しなども盛り込まれています。つまり経営者への監視や制約を強め、労働者への待遇を改善することによって、福祉サービス全体の底上げを目指す制度改革となっているといえるでしょう。
制度はどのように変わる予定なのか
今回の制度改革では大きく5つの柱があります。
- 経営組織のガバナンスの強化
ガバナンスの強化としては、すべての社会福祉法人に議決機関としての評議員会を設置することが義務付けられました。また評議員の役割や権限、責任についても明確化された点も特徴として挙げられます。制度改革以前は親族などを理事や評議員にすることが認められており、それが社会福祉法人の私物化にもつながっていました。そうした体制にメスを入れ、株式会社と同様のガバナンス規定を設けられるようになりました。 - 事業運営の透明性の向上
これまでは公開範囲が限られていた資料について一般公開が義務付けられるようになりました。例えば各事業所には貸借対照表、収支計算書、事業報告書といった書類を据え置き、一般市民でも閲覧できるようにすることが必要です。さらに定款や役員報酬をインターネット上に公表することになったため、常識から逸脱した報酬を受け取っている場合はこれが白日の下にさらされるようになります。 - 財務規律の強化(適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実残額の社会福祉事業等への計画的な再投資)
社会福祉法人は非営利型の会社に分類されるため、税制面での優遇を受けています。しかしながら財務諸表などの公開をしていない施設が少なくありませんでした。これが過大な内部留保につながり、適切な支出管理から外れる点が指摘されて財務規律の強化へとつながりました。 - 地域における公益的な取組を実施する責務
社会福祉法人には、地域との積極的な関わりを促す責務があることを明文化しています。公共性が高い事業を展開するうえで、無料または低額な料金でのサービスの提供を規定しています。これは非営利組織として、税制面での優遇を地域住民への還元という形で行うことを定めた制度といえるでしょう。 - 行政の関与のあり方
社会福祉法人は国・都道府県・市から指導や監査を受けてきました。今回の制度改革では行政の関与のあり方を見直し、より強固な監視体制がしかれることとなります。実務面では市区町村への届出書類が増加することになります。これまでは計算書類と現況報告書だけの提出であったものが、事業報告書や役員等報酬基準など複数の書類の提出が義務付けられました。これにより社会福祉法人の財務・経営状況を行政が把握、管理、指導していくことになります。
制度改革によって社会福祉法人の経営はどう変わる?
今回の制度改革によって社会福祉法人の経営が大きく変わる可能性が高まるでしょう。福祉のあり方が多様化していく中で社会福祉法人のみが優遇されてきた状況が問題視され、そこに行政が介入することになったのです。元来の社会福祉法人としての責務となる福祉サービスを通しての社会貢献を意識した経営戦略を練ることが重要となります。まずは非営利組織として常識的な役員報酬を設定し、透明性のある経営を意識しましょう。その中で地域に根付いた福祉サービスを模索し、他社との差別化を行っていくのです。事業の拡大や内部留保の確保だけに固執しすぎないことが重要といえます。社会福祉法人として、ふさわしい事業展開を行っていくことで「地域に必要とされる」会社へと成長し長期的な運営が可能となるのではないでしょうか。
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