介護事業経営支援サイト「けあコンシェル」
けあコンweekly記事

今後どのように変わっていく?社会福祉法人の制度改革とは

2018-01-09
今後どのように変わっていく?社会福祉法人の制度改革とは

2016年、社会福祉法等の一部を改正する法律が成立・公布されました。この制度改革は大きく5つの柱から成り立っており、福祉サービスの供給体制の整備および充実を図ることを目的としています。ここでは制度改革が行われることによって社会福祉法人がどのように変わっていくのかをまとめてみました。制度改革の内容とその背景を知ることで、今後の方向性と経営戦略についてしっかりと計画を立て、安定した運営を目指していきましょう。

なぜ変わる?制度改革の理由とは

2016年に公布された社会福祉法等の一部を改正する法律は介護保険法が成立した1997年以降で最も大きな改正となっています。ここまで大きな制度改革を行った理由としては社会情勢の変化と社会福祉法人の好優遇化に理由があるといえるでしょう。まず急速な高齢化を背景とし、社会福祉法人は特別養護老人ホームをはじめとする高齢者福祉事業に積極的に参入してきました。社会福祉法人は税制面のメリットが大きいため、株式会社などと比べて新規参入しやすい環境が整っていた点が急速に広がった理由として挙げられるでしょう。

高齢者の生活を支える事業者として着実に拡大していった社会福祉法人ですが、そのサービス内容や事業展開に問題が生じるようになってきました。その1つとして過大な内部留保が挙げられます。2011年の社会保障審議会介護給付費分科会における調査によると社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームでは平均で約3.1億円もの内部留保が存在することが判明しました。また非営利組織にも関わらず、高額な役員報酬が支払われている施設もあり、公平性の観点からの不満などが噴出するようになりました。

よって今回の制度改革では、経営組織のガバナンス強化と事業運営の透明化を目指し、こういったグレーな部分を自浄することを目的としているのです。また福祉サービスの供給体制を整え、働きやすい職場にするための共済制度の見直しなども盛り込まれています。つまり経営者への監視や制約を強め、労働者への待遇を改善することによって、福祉サービス全体の底上げを目指す制度改革となっているといえるでしょう。

制度はどのように変わる予定なのか

今回の制度改革では大きく5つの柱があります。

  1. 経営組織のガバナンスの強化
    ガバナンスの強化としては、すべての社会福祉法人に議決機関としての評議員会を設置することが義務付けられました。また評議員の役割や権限、責任についても明確化された点も特徴として挙げられます。制度改革以前は親族などを理事や評議員にすることが認められており、それが社会福祉法人の私物化にもつながっていました。そうした体制にメスを入れ、株式会社と同様のガバナンス規定を設けられるようになりました。
  2. 事業運営の透明性の向上
    これまでは公開範囲が限られていた資料について一般公開が義務付けられるようになりました。例えば各事業所には貸借対照表、収支計算書、事業報告書といった書類を据え置き、一般市民でも閲覧できるようにすることが必要です。さらに定款や役員報酬をインターネット上に公表することになったため、常識から逸脱した報酬を受け取っている場合はこれが白日の下にさらされるようになります。
  3. 財務規律の強化(適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実残額の社会福祉事業等への計画的な再投資)
    社会福祉法人は非営利型の会社に分類されるため、税制面での優遇を受けています。しかしながら財務諸表などの公開をしていない施設が少なくありませんでした。これが過大な内部留保につながり、適切な支出管理から外れる点が指摘されて財務規律の強化へとつながりました。
  4. 地域における公益的な取組を実施する責務
    社会福祉法人には、地域との積極的な関わりを促す責務があることを明文化しています。公共性が高い事業を展開するうえで、無料または低額な料金でのサービスの提供を規定しています。これは非営利組織として、税制面での優遇を地域住民への還元という形で行うことを定めた制度といえるでしょう。
  5. 行政の関与のあり方
    社会福祉法人は国・都道府県・市から指導や監査を受けてきました。今回の制度改革では行政の関与のあり方を見直し、より強固な監視体制がしかれることとなります。実務面では市区町村への届出書類が増加することになります。これまでは計算書類と現況報告書だけの提出であったものが、事業報告書や役員等報酬基準など複数の書類の提出が義務付けられました。これにより社会福祉法人の財務・経営状況を行政が把握、管理、指導していくことになります。

制度改革によって社会福祉法人の経営はどう変わる?

今回の制度改革によって社会福祉法人の経営が大きく変わる可能性が高まるでしょう。福祉のあり方が多様化していく中で社会福祉法人のみが優遇されてきた状況が問題視され、そこに行政が介入することになったのです。元来の社会福祉法人としての責務となる福祉サービスを通しての社会貢献を意識した経営戦略を練ることが重要となります。まずは非営利組織として常識的な役員報酬を設定し、透明性のある経営を意識しましょう。その中で地域に根付いた福祉サービスを模索し、他社との差別化を行っていくのです。事業の拡大や内部留保の確保だけに固執しすぎないことが重要といえます。社会福祉法人として、ふさわしい事業展開を行っていくことで「地域に必要とされる」会社へと成長し長期的な運営が可能となるのではないでしょうか。

けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。

新規会員登録をする
他にもこんな記事があります

日本の介護現場が苦手とする福祉用具の活用。全職員で介護技術向上に取り組みながら、介護リフトや介護ロボットを徹底活用してきた特別養護老人ホームを取材した。

社会保障審議会・介護給付費分科会は10月15日、2019年10月の消費税率引き上げに伴う、介護保険施設・事業者の控除対象外消費税の問題について、四病院団体協議会(四病協)、全国個室ユニット型施設推進協議会、日本認知症グループホーム協会の関係3団体から意見を聴取した。

2019年10月の消費税率引き上げ時に公費1,000億円を投じて実施する介護職員の処遇改善で、厚生労働省は10月15日の社会保障審議会・介護給付費分科会に、現行の【介護職員処遇改善加算(I)~(V)】とは別建ての加算報酬で対応することを提案した。

厚生労働省は10月11日、2018年度の介護老人保健施設事業功労者厚生労働大臣表彰の受賞者57名を発表した。

厚生労働省は、「多職種による自立に向けたケアプランに係る議論の手引き」を作成し、10月9日付けの事務連絡で都道府県に送付した。2018年10月から全国平均以上の訪問回数の生活援助中心型訪問介護サービスをケアプランに盛り込んだ場合に、市町村へのケアプラン届出が義務づけられたことを受けての対応。

けあコンシェルには、こんなサービスがあります
>>その他サービスを見る

早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。

ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。

車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。

商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。

利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。

介護開業のノウハウ集をダウンロード
ガソリン給油カード、入会金年会費無料

ページトップへ戻る