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要介護1と2の保険外しに賛否両論!改正が見送られた理由は?

2023-03-29
要介護1と2の保険外しに賛否両論!改正が見送られた理由は?

要介護1と2の保険外しに関して、介護業界や社会に波紋が広がっています。実施が検討されたことを知っている人でも、その必要性までは知らないケースもあるでしょう。本記事では、まず要介護1と2の保険外しが何を意味するのかを説明します。続けて、この施策に対する意見や検討の結果も紹介するのでチェックしておきましょう。

要介護1と2の保険外し

要介護1と2の保険外しとはどういう意味?

要介護1と2の保険外しについて理解するには、まず要介護状態等区分について把握しなければなりません。要介護状態等区分とは、介護がどれくらい必要か示すための基準です。軽い方から要支援1、2と定められており、そこに要介護1~5が続きます。そして、この基準ごとに介護サービスの限度額が設定されているのです。なお、要介護1と2の該当者に提供する訪問介護や通所介護に関して、市町村が運営する総合事業に移管するという構想があります。それこそが要介護1と2の保険外しと呼ばれるもので、2024年度の制度改正で実施するかどうか検討されていました。

介護サービスにかかる費用のうち、1~3割を利用者やその家族が支払って、残りを国や都道府県などの自治体が負担するルールとなっています。令和3年度介護給付費等実態統計の概況によると、令和4年4月の審査分における受給者1人当たりの費用額は約17万円です。令和3年度の介護費負担の累計額は約11兆円にも及びます。要介護者は今後も増え、そのピークと推定されている2040年には、約25兆円まで膨れ上がるという見通しです。財務省は、このままでは介護保険制度の維持が困難になるという問題意識を持ちました。

右肩上がりで伸び続ける介護費負担を抑える必要があり、現役世代の保険料負担を軽減しようとして、上記の移管に熱意を見せたというわけです。一方、この働きかけに対して異議を唱える人たちもいました。懸念を訴えるときに、総合事業への移管を「要介護1と2の保険外し」と表現したのです。

総合事業とは?

総合事業は「介護予防・日常生活支援総合事業」の通称であり、市区町村によって運営されています。重度の介護者ではなく、ほぼ独力で日常生活を送れる人が対象者です。要介護状態になることを防ぐために、必要に応じて部分的なサポートを提供します。一般的に、介護事業の仕事をするには、介護福祉士といった専門的な資格が必要です。一方、総合事業の場合は専門的な資格が不要なので、有資格者ではないボランティアスタッフが主に仕事を担っています。

介護給付は一律に報酬が設定されており、予算に制限はありません。これに対して、総合事業なら各自治体が報酬を独自に定められます。予算に制限もあるため、介護サービスを介護給付でまかなうより費用の負担を抑えられるのです。この事実に基づいて、総合事業への移管が検討されることになりました。

要介護1と2の保険外しに対する賛成意見と反対意見

要介護1と2の保険外しは、万人に快く受け入れられる結果になりませんでした。さまざまな主張が行われたので、この段落では賛成派と反対派の意見について詳しく解説します。

要介護1と2の保険外しに対する賛成意見

財務省は介護保険制度の破綻に関する懸念を示したので、それを知って危機感を覚えた人は総合事業への移管を指示しました。介護を要する高齢者の著しい増加が予測されており、このまま介護費が膨らんでいくと介護保険制度は維持できません。その対策として、介護の必要性が低い人へのサービスを見直すことに賛成しているのです。限られた介護人材を要介護3以上に集中させることで、専門的な介護サービスの提供を効率化できます。

また、賛成派には「地域の事情に合ったサービスを行える」という意見も見られました。総合事業に移管すれば、運営組織は自治体になるので、サービスの内容が全国一律ではなくなります。融通が利いて無駄も省きやすいため、保険給付の過度な増加を防げる見込みがあるのです。

要介護1と2の保険外しに対する反対意見

要介護1、2だからといって、介護度は決して軽いわけではありません。たとえば、認知機能の低下により介護が必要な人でも、歩行できる状態なら要介護1、2に分類されるケースが多いです。基準の緩和によって報酬を低く設定すると、そのような人たちはボランティアのサービスを受けることになります。一般的にボランティアスタッフは専門知識や技能を持っていないため、従来の要介護1、2で必要となる支援を受けられないかもしれません。この結果、重症化が進んでしまい、要介護3以上の対象者が増えるというリスクもあります。それを警戒し、要介護3以上の人数増加を抑制することが、負担の軽減につながると主張する反対派もいます。

また、介護のサービスは幅広く、その担い手は不足しているのが実情です。自治体側の整備が遅れており、地域の受け皿として十分には機能していません。このような状況で移管するのは早計という意見もあるのです。さらに、多くの介護事業者は、撤退や経営不振のリスクが大きくなると訴えています。要介護1、2がサービスの対象から除外されると、その分だけ収益が減ってしまうからです。

改正見送りは3年後への議論先送り

2024年度からの介護保険制度の見直しに、要介護1と2の保険外しは含まれません。3年後の2027年度に先送りされ、再度の議論で結論を出す予定です。厚生労働省はそこで見直すことが適当だと明記しています。賛否両論による議論の不十分さが理由です。超高齢化社会での介護保険制度の維持には、給付と負担のバランス調整が欠かせません。一部の利用者の自己負担や高所得者の保険料に関する引き上げなど、移管以外の論点も示されました。

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