
介護事業所のBCP義務化が2024年4月からスタート! 罰則はある?

介護事業者におけるBCP策定が義務化されました。2021年の介護報酬改定から3年の経過措置があったため、2024年4月までにBCP義務化に対応しなくてはなりません。そこで、本記事では、自らが運営する介護事業におけるBCP策定を進めるために、今回はBCPの概要やメリット、罰則・デメリットを確認し、策定の流れまで解説していきます。
BCP義務化
1.BCP(事業継続計画)とは
「BCP」は英語で「Business Continuity Planning」の略で、日本語では「事業継続計画」を意味します。具体的には、災害などの緊急事態が起こったときに、企業や団体が事業を継続していくためにあらかじめ定めた計画のことです。BCPを策定することで、自然災害をはじめ、感染症やテロ、システム障害などの損害を最小限に抑えて、早期に復旧し業務継続を図ることができるでしょう。介護事業の場合、事業継続は利用者の生命にかかわるケースもある重要事項です。そのため、BCPの策定を義務化することが決まったのです。
2.BCP策定のメリット
BCPの作成には、さまざまなメリットがあります。まず、緊急時にとりあえず行動して大事になってしまうリスクを減らすことが可能です。さらに、経済産業大臣が「事業継続力強化計画」を認定すれば、税制優遇をはじめ、金融・補助金の支援などを受けることもできるのです。次から、詳しく紹介していきましょう。
2-1.税制優遇・金融支援が受けられる
2025年3月31日までに、経済産業大臣に「事業継続力強化計画」「連携事業継続力強化計画」が認定されると、税制優遇や金融支援を受けることができます。まず、計画書に記載した設備については、特別償却18%の税制措置があります。次に、「日本政策金融公庫」や民間金融機関による保証枠の追加や金利の引き下げを受けることが可能です。
2-2.補助金が受けられる
多くの自治体(または団体)では、BCP義務化に必要な設備などの経費の一部を助成する補助金・助成金を用意しています。ただし、自治体ごとに内容と金額は違うため、注意が必要です。経費として補助が受けられるものとしては、「緊急時の非常食」「データバックアップ専用のサーバーやクラウドサービス」などが挙げられます。
2-3.経営の見直し・改善につながる
BCP策定を進めることによって、次の事柄を改めて確認する機会となります。経営効率の向上も期待できるでしょう。
・事業の優先順位
・有効利用できるリソース
・改善するべき業務
・削減可能なコスト
2-4.ワクチンの優先接種が受けられる
新型インフルエンザ等対策特別措置法第28条によって、感染症発生時のBCP策定を行っている場合、介護施設・事業所の職員は、優先的にワクチンを接種(特定接種)することが可能です。
3.BCP義務化に対応しない場合の罰則やデメリットは?
2024年4月までにBCPの策定をすることが義務化されました。ただし、期限までに完了しなかったとしても、罰則は設けられていません。ただし、次から紹介するデメリットには注意する必要があります。
3-1.介護報酬が減算される
BCPの策定を行っていない介護事業所については、2024年度の介護報酬の改定によって、基本報酬が減算されることに決まっています。ただし、厚生労働省では、2026年度末までの経過措置を設ける方針です。とはいえ、それまで何もせずに放置しておくのではなく、速やかに対応したほうが良いでしょう。
3-2.安全配慮義務を問われる可能性がある
緊急時に利用者がトラブルに見舞われるケースもあります。そのようなとき、BCPの策定を行っていない介護事業所は安全配慮義務違反を疑われるリスクがあるのです。たとえ利用者がトラブルに遭わなかったとしても、利用者自身もその家族も介護事業所が安全を確保していることを求めています。そのため、BCPの策定を行っていない介護事業所に対しては、信頼感を失う可能性もあるでしょう。
4.BCP策定の流れ
場当たり的にBCPを策定しようとしてもうまくいきません。BCPの策定には、次のような手順があります。
1)BCP策定について誰が責任を持つかを決め、経営理念や基本方針を確認する
2)緊急時の連絡先を整理して、計画書に記載する
緊急時の連絡先としては、「自治体」「関連団体」「医療機関」「介護事務所で利用している各種サービス事業者」「働いている職員の自宅」などが挙げられます。
3)水や食料など備蓄品を整理する
4)重要業務を特定して、想定できるリスクを洗い出す
5)利用者の安否確認優先順位リストを作成する
6)復旧までの目標時間を設定する
その他にも必要であれば、ハザードマップの確認なども盛り込むとよいでしょう。厚生労働省の公式サイトには、BCP策定を支援するための「ガイドライン」が掲載されています。さらに、「新型コロナウイルス感染症編・自然災害編」「入所系・通所系・訪問系」など、災害のケースをはじめ、事業所の形態に応じたひな形も用意されています。どのようにBCPを策定すればよいのか分からない場合は、参考にするとよいでしょう。
BCP義務化への対応を進めよう
日本は地震や風水害など、大きな災害が発生しやすいといえます。介護事業の場合、事業継続は利用者の生命にかかわるケースもあります。BCPの作成を義務化することによって、緊急事態でも利用者の危険回避や事業の継続につなげることが可能です。利用者の信頼を高めるためにも、介護事業のBCP義務化に対応するようにしましょう。
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