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厚生労働省も認める保険外サービスの活用法とは?

2017-01-23
厚生労働省も認める保険外サービスの活用法とは?

平成30年の介護報酬、診療報酬のW改定に向けて日々議論が進められています。介護業界で目下の関心事といえば、介護保険サービスの範囲がどの程度縮小するのか、またそれに伴い保険外サービスがどこまで広がるのかではないでしょうか。厚生労働省も保険外サービスの活用には積極的であり、今後ますます利用されるようになるのが必然の流れとなっています。ここでは保険外サービスの有効な利用法について考えていきましょう。

うまく活用するには厚生労働省のガイドブックを参考にしよう

厚生労働省によると、現在の介護保険で提供されているサービスは全25種類53サービスとされています。これが多いと感じるか少ないと感じるかは人によって異なるでしょう。しかし保険外サービスがこれを遥かに上回る種類で展開されることは、まず間違いがありません。家事代行サービスや保険外で通常のヘルパー業務プラスアルファを行うホームヘルプサービスなど、介護保険に類似もしくは上乗せされる形のサービスだけでなく、配食サービスやトラベルヘルパーなどの、介護保険とは全く異なる分野を開拓しているサービスもあります。

百花繚乱の様相を呈している保険外サービスですが、それだけ種類が増えてしまうと利用者にとってわかりにくくなってしまう可能性も否めません。とりわけサービスの利用者は高齢者ですから、十分な判断力を有していない人を相手に契約を結んだり、十分な説明のないまま付加サービスを行ったりといった、保険外サービスを悪用するケースも想定されます。

このようなケースに対する危惧、そして事業所が高齢者にとって有用な保険外サービスを提供することを求めて、厚生労働省は平成28年3月にガイドブックを策定しました。ここには保険外サービスの先行事例がいくつも収められているだけでなく、その理念や意義といった面にも触れていますから、これから保険外サービスを展開しようと考えている事業所にとって、非常に有用な内容となっています。

参考=厚生労働省 地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集(保険外サービス活用ガイドブック)(PDFファイル 21MB)

保険外サービスの魅力はどこにあるか

厚生労働省が発表しているガイドブックを読めば、保険外サービスがいかに多様なものであるか一目瞭然です。介護保険の枠内では提供できるサービスも、事業収入の上限も定められているようなものでしたが、保険外サービスではその制限がなく、利用者のニーズに合わせたサービスを柔軟な値段設定で提供することが可能となります。介護保険事業だけでは苦しい状況にある事業所にとって、まさに渡りに船の状況です。

介護従事者にとっても保険外サービスは魅力的です。値段設定が自由であることはつまり、頑張れば頑張るだけ評価がされやすい土壌作りがなされるということになります。ホームヘルパーの指名制度をとっている事業所であれば、指名が多ければ多いほど収入が増える仕組みをとっています。ケアの質を高めればそれだけ金銭的な見返りが得られるのは、介護士としても大きなやりがいではないでしょうか。

最後に保険外サービスの利用者にとってもメリットをみてみましょう。保険外サービスの良いところは、なんといっても「痒いところに手が届く」ことです。介護保険サービスではできなかった「あと少し」の部分を担ってくれるサービスに対し、上乗せした金額を支払っても良いという人は少なくないでしょう。基本的な部分は介護保険でまかない、あと少しの部分を保険外サービスでしてもらえば、金銭的にも大きな負担にはなりません。

質の高い介護を目指して保険外サービスを活用する

事業所にとっても介護士にとっても、そして利用者にとってもメリットのある保険外サービスですが、デメリットがまったくないのかといえば、そうではありません。付加サービスを提供することになればその分だけ上乗せした金額を支払う必要があるでしょうし、それを払えない人にとっては絵に描いた餅となるでしょう。貧富の差によって介護という社会福祉サービスに差が出てもよいのか、という点に関しては今後まだまだ議論が必要です。とはいえ、現行の介護保険制度が財政的に続けられないのは火を見るよりも明らかであり、どんな形になるにせよ保険外サービスの活用は不可欠な状況です。この状況下において、保険外サービスをどのように使えばよいのでしょうか。

鍵となるのはケアマネージャーの存在です。保険外サービスは有効に使えば便利なものですが、使いすぎると金銭的な負担が増大するだけでなく、その人のできることまで奪ってしまい本人の活動量の低下を招く危険性があります。判断力が低下している高齢者にとって、どのサービスを使えば自分にとって一番良いのか、その場で決定することは困難です。そのようなときにケアマネージャーがあいだに入ってサービスの選り分けを行うことで、本人の生活の質(QOL)を高める保険外サービスの選択が可能となるでしょう。またサービスだけでなく事業所の選別も、ケアマネージャーに課せられた重要な役割となりそうです。

保険外サービスは上手に利用すれば、QOLを高める有用なものとなります。有効利用のためには介護保険の基本理念、自立支援を忘れないようにしたいものです。

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