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減収を防ぐ!改定後の放課後等デイサービスはここをチェック

2019/02/18
減収を防ぐ!改定後の放課後等デイサービスはここをチェック

2012年に制定された放課後等デイサービスは、障害や発達特性のある学齢期の子どもの居場所であり、日常生活で必要な行動を適切に支援し向上させる大切な場でもあります。従来の「学童」では十分な支援ができなかったため、障害のある子どもは入りにくかったのです。障害のある子どもを持つ保護者からの要望が絶えず、支援提供する施設が急激に増えたことは当然といえるでしょう。厚生労働省は制度の見直しを行った結果、2018年に内容を改正しました。この背景には制度の規制の甘さを利用した、一部のずさんな運営を行っている事業所が存在することが原因であることは否めません。

しかし、多くの良心的な事業所が制度改正によって減収の危機に陥るとすれば本末転倒です。制度改正の詳しい内容を知り、減収を防ぐために必要な対策を行い経営の安定化を目指していきましょう。

「時間」と「指標」2つの減収要素の出現

2018年4月に制度改正された放課後等デイサービスの主な変更部分には、2つのポイントがあります。1つ目は、事業所がサービスを提供する時間についての改正です。3時間を目安に報酬が変わるというものになります。3時間以上のサービスを行う「通常時間」であれば656単位、3時間未満の「短時間」であれは645単位に改定されました。従来では「児童発達支援管理責任者専任加算」により一律に678単位が付与されていたので、時間という要素での減収は免れません。

2つ目のポイントは、子どもの状態による指標(区分)が示されたことで指標に該当するか否かで基本報酬が変わるというものです。制度改正では子どもの生活動作や介護の必要度合いに応じ、指標に該当するのかを点数などから判断することになりました。子ども一人ひとりのコミュニケーション能力や生活における行動など、細分化された項目について0~2点の点数で判断されます。例えば、コミュニケーションにおいて日常生活に支障がなければ0点、できない場合は2点です。サービスを利用している子ども全体に対する指標該当児の割合が、50%以上であれば「指標該当事業所(区分1)」と判断されます。

50%未満であれば「指標非該当事業所(区分2)」となるため、通常時間でサービスを提供した場合でも基本報酬が609単位になることを認識して置くことが必要です。さらに、3時間未満の短時間であれば基本報酬は596単位となるため、改正による減収は大きなものになるでしょう。放課後等デイサービス制度が制定されて以来、一律であった基本報酬が改正されたことで、時間と指標という減収の要素が加わりました。そのため、これまでよりも把握しておかなければならないポイントが増えたことを認識しておきましょう。

何も対策を打たなければただ減収するだけに

放課後等デイサービスの事業運営が、制度改正によって減収になることは避けられないのでしょうか。確かに何も対策をしなかったために減収し、改正前よりも経営が苦しくなっている事業所も出てきて問題として取り上げられています。障害のある子どもや親から必要とされている事業所として、事業運営を継続するためには適切な対策を行い減収を避けなければなりません。それには、運営基準を詳しく理解したうえで、加算できるものはしっかり算定し減収になる点は抑えておくことが重要です。

たとえば、2019年度からは「自己評価等未公表減算」として、自己点検を行っていない場合には減算規定が適用されます。これに対しては、2018年度中に自己評価を行うことで減収を避けることができるでしょう。また、改正で「身体拘束廃止未実施減算」も新設されましたが、身体拘束記録書に記入していれば減算されることはありません。気を付けたいのは、「個別支援計画未作成減算」の算定が改正で大きく増えたことです。有資格者がいない場合の損失が、改正前よりも大きくなりました。このような減算に関するポイントを押さえながら、放課後等デイサービス新制度の加算算定について理解し加算を増やす対策を行うといいでしょう。

人員配置の見直しと加算算定の検討を

では、新制度で変わった人員配置に関する算定について確認していきましょう。従来の児童指導員等加配加算では、無資格の職員を配置した場合と児童指導員などを配置した場合では報酬には差がありませんでした。新制度では理学療法士や保育士を配置すると加算が大きくなる一方で、無資格の職員への加算が半減されてしまいます。特に、区分2と判断された事業所においては児童指導員等加配加算が1名分しか加算を受けることができません。有資格者と無資格者の加配差が大きくなったため、そのままでは減収が避けられないでしょう。対策としては、理学療法士や保育士を加配すれば減収の対象にならなくて済みます。今後は、新制度に合わせた人員配置の見直しが不可欠な要素となるでしょう。

新制度では、「適切で手厚い療育を行い生活の質が上がると区分判定では基本報酬が減ってしまう」という矛盾が指摘されてきました。次回の改定において矛盾点が解消され、本来の放課後等デイサービスの趣旨に合った制度として整備されることが期待されています。現状では、新制度で変更になった加算の算定に配慮するとともに、細部にわたる手続きについては各自治体に問い合わせることが必要でしょう。手をこまねいて何もしないのでは、区分の判断が適切に行われない可能性も捨てきれません。新制度の加算と減算の変更点を詳しく理解しながら、事業運営を見直し経営を健全化していくことが求められています。

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