
通所介護(デイサービス)はどう変わる?2018年介護報酬改定の動向

マイナス改定だった2015年に続き2018年も介護報酬改定が行われます。2015年の改定の際は介護事業者の利益率の高さが指摘されマイナス改定の原因となりました。前回における改定後の利益率の結果により2018年の介護報酬改定では、さらに踏み込んだ内容になることが予想されています。その背景には人口減少や高齢化にともなう「財政負担の軽減」「自立支援の必要性」などがあります。ここでは「今後デイサービスはどう変わっていくのか」など財政制度等審議会での提言などを元に解説していきます。
通所介護の高い収益率を受けてマイナス改定は必至か
2017年4月の「財政制度等審議会」で2015年に続き2018年の介護報酬のさらなる引き下げの可能性が財務省により言及されました。2015年の介護報酬改定は2014年度の中小企業の平均利益率3.6%と比べ介護施設の収益率が4.9%と高かったことから決められた引き下げです。一方、今回は介護報酬改定後の動向を調査した結果、訪問介護や通所介護の利益率が依然として高い水準だったことから、さらなる引き下げが提言されました。
このような改定が数年おきに行われるのは介護報酬の多くが税金で負担されるためです。介護報酬の内訳は利用者の負担は1割(一定以上の所得がある場合は2割、特に所得が高い層は3割)のみで7~9割が税金から支払われます。しかも高齢化により財政負担が増していく状況下では、その軽減は国にとって急務であるともいえます。そのような理由から2015年に介護報酬改定が行われ介護施設や事業所の経営状況は3.8%に引き下げられました。しかし在宅サービスの利益率は訪問介護5.5%、通所介護6.3%と高い水準のままだったことからサービスの効率化とともに介護報酬の改定が求められたのです。
その他、体の機能を回復させたり自立を支援したりする機能訓練などのサービスを提供していない小規模事業所の減算も言及されました。高齢化が進む中、自立支援の必要性が高まっています。そのような状況では個別機能訓練加算取得事業所以外の小規模事業所のマイナス改定は自然の流れだといえます。
2018年度の介護報酬改定で通所介護の送迎に関する変更はある?
2015年の介護報酬改定では事業者の報酬はマイナス改定になったものの、介護現場における人材の確保のための「処遇改善加算」は拡充されました。また課題となっていた「重度の要介護者」や「認知症高齢者の積極的な受け入れ」に対する「日常生活継続支援加算」など介護サービスを充実させるものもプラス改定でした。2018年の改定でも介護サービスの質の適正化に重点が置かれています。
なぜならデイサービスを利用する高齢者の約7割が要介護1や2のため、体の機能回復や維持を目的とする機能訓練が受けられるかどうかが重要になるからです。しかし多くの小規模な通所介護事業所では人件費の捻出が厳しいため、最低ひとり以上という義務付けられた人員のみ配置しています。しかも、そのひとりですべての利用者を指導することが難しいため、主に機能訓練指導員でなくても可能なサービスのみを提供しているのが現状です。その結果、小規模事業所に通所する利用者は自立支援サービスを受ける確率が減ることになるのでサービスの質の部分が焦点となるのは当然のことといえます。2018年の改定では国家資格を持つ機能訓練指導員によるサービスの適正化も提言されています。そのため個別機能訓練加算の取得をしていない小規模事業所にとっては厳しい内容になることが想定できるでしょう。なお機能訓練指導員として認められる国家資格とは理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれかになります。
予測される改定内容に対する各デイサービスの動向は?
これまでの介護報酬改定の流れから機能訓練や重度の要介護者、認知症高齢者などへの質の高い介護サービスがより一層求められ、そのサービスが加算対象になるのは確実です。そのためには人材の確保が今まで以上に必要になり医療機関との連携も不可欠になります。また介護報酬が減額されることを考えるとコスト削減も同時に行わなければなりません。
そうなると利用定員10名以下の事業所の収入では改定前でさえ機能訓練を行うコストの負担が大きかったことからマイナス改定後はさらに財務状況が厳しくなる可能性があります。しかし、その状況を打開するために利用定員を増やし加算対象になるサービスと人材も同時に増やすことで収入アップを目指す事業所が増加することも予想されます。そうすると今まで以上に通所介護事業所間のサービス競争が増え、この繰り返しが自立支援サービスのさらなる向上を生み出す可能性も否定できません。
また質の高いサービスのための人材確保には介護士の労働環境の改善も必要です。例えば重労働の作業を補助するような介護ロボットの導入やタブレット端末やインターネットを活用した書類作成の効率化を進める事業所が増えることも考えられます。
このように介護報酬のマイナス改定は小規模通所介護事業所にとって厳しい状況を招きかねませんが、経営とサービスの改善を同時進行させる事業所が増える可能性もまた期待できるものだといえます。
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