
居宅介護の近未来型?混合介護のメリットとデメリットとは

居宅介護で自由化が検討されている「混合介護」は、これまでも利用が可能でしたが、使い勝手が悪いため利用する人が少ないサービスでした。新しく検討されている混合介護では、同じ時間に介護保険内のサービスと希望する別料金のサービスを受けることができます。混合介護の利用者が増え収入が増加すれば、経営の安定化や介護職員の待遇改善にもつながります。利用者と施設側の両面から混合介護のメリットやデメリットを理解しておくと良いでしょう。
政府内でも賛否両論の混合介護
公正取引委員会は2016年9月5日に「介護分野に関する調査報告書について」を公表し、その中で居宅の利用者や家族が利用しやすい混合介護になるように措置を求めました。これを受けて同年10月6日、政府の規制改革推進会議では自由化を容認する方向で検討することになりました。混合介護は従来から利用することはできたのですが、厚生労働省により介護保険外のサービスは保険内と明確に分ける規制が設けられていました。そのため、例えば被介護者とその家族で同じ食事が可能でも、同じ時間内に家族の分の食事を作ることができませんでした。従来では食事の他にも、庭の草むしりやペットの世話など同じ時間に利用できないサービスも多かったのです。検討されている混合介護では、利用者にとって不便なサービスにならないように同じ時間内に別のサービスも利用できるものになっています。
2016年5月23日に行われた公正取引委員会の「介護分野に関する意見交換会」では、混合介護に対して意見交換が行われました。この会では混合介護に対する賛成意見だけではなく「混合介護を行うことにより書類が複雑になると現場での負担が増える」、「介護は地域の自治体によりルールが異なるので混乱するのではないか」、「不要な介護サービスを薦める介護施設があるのではないか」、「利益を得るためにサービス利用を誘導するケアマネージャーがいるのではないか」などの声もあり政府内でも賛否両論となっています。そのため、混合介護が利用者と介護職員や施設側どちらにとってもメリットがあるように検討が進められています。
介護職員のメリットとデメリット
新しく検討されている混合介護では、従来ではできなかった家族の分の食事に関わるサービスも別料金で行うことができるようになります。介護職員は別の時間に分けて行っていたこのようなサービスを、同じ時間帯に利用者と家族に対して提供できるのです。買い物や後片付けなども一度に行うことができるので効率的に仕事ができるでしょう。また、従来では介護施設ごとに行われていた「介護職員の指名」についても、指名料が入ることになるかもしれません。そうすれば指名された介護職員は収入がアップする可能性があります。混合介護サービスの種類が増えることで事業所に入る利用料金が増えるので、介護職員の処遇改善にもつながります。介護事業者間の競争によりサービスの質が上がることで利用する人が増えることも考えられるでしょう。公的な介護保険の報酬には変化はありませんが、サービスの利用料金による収入の伸びが期待できます。
混合介護が介護職員にもたらすデメリットには、必要な書類が増えるので事務処理の時間が増えることがあげられます。複雑な書類作成で、多忙な現場がさらに忙しくなり混乱する可能性もあるでしょう。また、認知症の高齢者に利用を勧める際には、その家族などに過剰なサービスや不要なサービスと受け取られてしまう恐れもあるので慎重にすることが求められます。利用者に対して一層の配慮が必要になることは介護職員にとってのデメリットになるかもしれません。
サービス利用者のメリットとデメリット
利用者が利用しやすい混合介護はメリットが多いのですが同時にデメリットもあるので、その両面を理解しておくことが大切でしょう。新しく検討されている混合介護のメリットには、利用者が介護保険内では受けられないサービスを利用できる充実したサービス内容になることがあげられます。例えば、来客への対応やペットの世話、大掃除など、従来ではできなかったサービスが利用できるようになります。また、混合介護の利用で家族の介護負担を軽減できることは大きなメリットです。仕事をしながら介護を行うのは大きな負担になるため介護離職する人が増えています。混合介護の自由化で利用できるサービスが増えれば、仕事を続けながら介護をすることも可能になるかもしれません。
利用者側のデメリットとしては、介護にかかる料金が高額になりやすい点があげられます。料金が高額になることで希望のサービスを受けることができない人が出てくる可能性は大きく、所得格差が表れると考えられます。一方で、介護保険外サービスの価格や内容については事業者が自由に決めることになるので、公正な競争が生まれることで結果的に価格が下がりサービスの質が向上する可能性もあります。
新しく検討されている混合介護にはメリットとデメリットがありますが、介護の質を上げる居宅介護の近未来型として注目されています。混合介護は高齢社会において必要な、利用者と事業者、介護職員の誰もが利益になる制度へと進化していくことでしょう。
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