
外国人材の受け入れと人材確保

介護業界では、需要に対して供給が常に不足しています。そのため、慢性的な人材不足の状況です。また、介護スタッフの離職率を下げ、職場への定着率を高めるには、雇用の安定と人材マネジメントも重要な鍵となります。人材確保は、介護事業者にとって重要な課題と言えるでしょう。戦略的に人材を集め、職務分担を明確にし、 利用者に安定したサービスを提供していく必要があります。外国人看護師・介護福祉士の受け入れと、人材確保の対策についてご紹介します。
外国人看護師・介護福祉士の受け入れ (1)概要
外国人看護師・介護福祉士の留学生の受け入れは、国内の介護スタッフ人材難を解消するためだけでなく、経済の連携強化も兼ねて、各国とのEPA(経済連携協定)に基づいて開始されました。平成20年度(2008年)にインドネシアから、翌年にはフィリピン、そして平成26年度にはベトナムから、年度ごとに留学生が来日しています。平成26年6月の時点で、3国あわせて2300人以上が入国しました。
年間の受け入れ人数は制限されており、協定で認められる滞在期間は、看護が3年間、介護が4年間です。外国人留学生は、看護師・介護福祉士の国家資格を取得をめざし、研修を受けながら実務をおこないます。
受け入れ先の施設は、雇用契約を結びます。各施設では、「国際交流のため」、「職場活性化のため」、「将来の外国人受入れのテストケースとして」などの理由で受け入れを実施しています。日本人と同程度の報酬を支払い、日本の労働関係法や社会保険が適用されます。受け入れは、国際厚生事業団(JICWELS)が窓口となっています。
外国人看護師・介護福祉士の受け入れ (2)課題
なお、介護の人材不足の対策として注目されながら、課題点も指摘されています。
- 留学生が在留期間内に国家資格を取得するのは難しい(合格率10%)
- 受け入れ施設側の、研修費や居住費などの負担が大きい
- 留学生と日本人職員や利用者の、文化・宗教の違い
ただし、すでに2009年の時点で、都内の特別養護老人ホームなどでは、外国人スタッフが就業している施設が3割以上と報告されています(東京都社会福祉協議会のアンケート結果より)。
また、東南アジア出身の留学生との交流が、施設の利用者に心温まるふれあいの効果をもたらす事例もあります。問題点も話題となる制度ですが、今後の動向は引き続き注目されています。
人材確保の取り組みと、行政支援
慢性的な人材不足の介護業界では、異業種からの転職も受け入れやすく、求職者の受け皿として行政から期待が寄せられています。そうした人材確保の支援策が、厚生労働省による「介護職員処遇改善加算」です。平成23年度まで、介護職員の処遇改善の取り組みとして「介護職員処遇改善交付金」が実施されていました。この施策を引き継ぐ形で「処遇改善加算」は創設されました。賃金改善の効果を継続させつつ、円滑に介護報酬へ移行することを目的としています。
この施策は、平成27年度以降も継続することが決定しています。(詳しい取り扱いについては、厚生労働省による「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」という通知の中で、基本的な方針が示されています)
今後の介護業界は、こうした施策を活用しつつ、戦略的に人材確保策を強化することが求められます。行政支援で他業種から人材が流入しても、介護業界そのものに魅力がなければ、人材の定着率は下がってしまいます。また、行政支援が永久に続くとは限りません。介護職員のモチベーションを保ち、安心して働き続けられるような、「辞めない就業環境」を整えることが大切です。
【人材確保を強化する3つのポイント】
- 求職者の興味と行動に訴えるアプローチ方法を考え、実行する
- 業界や職場に対する、求職者の不安を取り除く工夫が大切
- 応募前に直接、現場の環境やスタッフと接する機会を設ける
【人材確保を強化する3つのポイント】
- 現場リーダーによる人材マネジメントを徹底する
- 各スタッフの職務分担と責任を明確にする
- 自己裁量(アロワンス)に任せてモチベーションを高める
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