
介護現場に求められる働き方改革!3つの事例

内閣府が公表した2018年版の「高齢社会白書」によると、日本の全人口の27.7%が65歳以上の高齢者となっています。しかも、その割合は年々増加し、2065年になるとおよそ40%に当たる2.6人に1人が高齢者になると予測されています。しかし、介護現場の職員はそれほど増える見込みをたてられないのが現状です。そこで介護現場に求められているのが働き方改革です。この記事では実際に取り組みが始まっている事例を3つ紹介します。
働き方改革1:ライフスタイルに合わせた勤務形態
介護の現場で人材不足が続いている理由としては、介護する必要のある高齢者が増えているだけではありません。介護を担当する現場の職員になろうとする人材そのものが不足しているのです。つまりこれは、介護の分野で働くことに魅力を感じる若者が少ないことを意味しています。介護労働安定センターが2017年に調査したところ、介護職を辞めた人の理由のなかに「結婚や出産・育児が重なると難しい」という回答が多くありました。つまり、介護職員として働く人を増やすためには、職員の労働時間や勤務体制への配慮を欠かすことはできません。
たとえば、特別養護老人ホームなど24時間の介護が必要な現場では、夜勤の仕事は必要不可欠です。しかし、夜勤を行うとどうしても職員の身体にかかる負担は大きくなります。夜勤と日勤を繰り返す不規則な勤務体系をそのままに放っておくと、体調不良を起こして離職してしまうケースがあるのも事実です。すると、貴重な人材を失うばかりか、「介護職は激務」という風評が広がり、新たな職員を見つけることが難しくなるでしょう。そこで、大切なのが職員のライフスタイルを重視した勤務体制を取り入れる取り組みです。実際に行われている取り組みとしては、「夜勤なし正社員」「時短勤務正社員」「夜勤専従」といったものが挙げられます。
また、介護の仕事は人間相手の職場であるがゆえに、残業をしなければいけないケースもありました。例としては「帰宅時間になっているにもかかわらず、利用者の対応が終わっていないケース」や「次の担当者に申し送りができていないケース」などです。しかし、このようなケースは代わりの職員が他にいれば、無理に残業する必要はないといえます。そこで、帰宅時間になっても帰らない職員に対して、上司などが気を利かせて「帰宅するように声をかける取り組み」をしている事業所も増えてきています。
働き方改革2:介護職の負担を軽減する分業制の導入
介護職員の働き手がなかなか見つからないのは、「職員1人当たりの負担が大きい」という理由もあります。介護の現場では高齢者の食事、入浴、排せつといった生活を送るうえで欠かせない行為のほとんどのケアを行わなければいけません。そのため、介護職員の精神的、肉体的な消耗はかなりのものがあります。しかも、介護施設は年中無休で稼働しなければならず、もともと人手が足りない職場で働く職員の負担は相当なものがあるでしょう。ここで特に問題視されるのが、本来の介護業務以外の業務をこなさなくてはいけない点です。
介護職員とは本来、利用者の身の回りのケアを行うことが本職のはずです。しかし、施設の状況によっては「人手が足りないから」という理由で、多くの事務作業やレクリエーション計画などを兼務しています。これでは介護職員の疲労は蓄積されるばかりなので、介護現場が魅力的な職場として認識されなくなってしまうでしょう。介護職員の負担を軽減するための方法として始まっているのが「業務の明確化」に向けた取り組みです。具体的には、送迎や清掃といった介護職員でなくとも対応できるサービスについては、専門業者へ依頼することが挙げられます。
業務の明確化において重要なポイントは、「専門的な知識が必要な仕事とそうでない仕事をきちんと整理しておくこと」です。介護事業のサービスは大きく分けて入浴や排せつの介助などの専門知識が必要な仕事と、送迎や清掃といった専門知識がなくてもできる仕事の2つがあります。分業制を採用するときは専門知識がなくてもできる単純な仕事を外部へ委託するようにしましょう。
働き方改革3:情報共有のためのICTツールの導入
介護の現場で職員が働きやすくするためには、これまでの働き方を見直すことは重要です。しかし、従来の働き方を見直すのには限界があるのも事実です。そういうときは、新しい技術を導入して労働環境を改善する方法があります。働き方改革を強力に推進するための方策の1つして、強く期待されているのがICTツールの導入です。ICTとは情報通信技術のことで、基本的にはパソコンやアプリなどで入手したデータをWi-Fiなどのネットワークを活用してたくさんの人で共有することを目的にしています。
介護の現場でICTを導入することは厚生労働省も推進しており、2018年10月に設置された「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」でも取り上げられているのです。具体的な取り組み事例としては、利用者の健康状態や介護内容などを記録する介護記録をデータ化して職員全員が簡単に共有できる仕組みが挙げられます。それによって申し送り時間の短縮につながり、残業時間の軽減が期待できます。
AIやICTを活用した介護職員の負担軽減への取り組みはまだまだ始まったばかりです。今後はICTをさらに進化させたIoTの導入によって、特に専門知識が必要ない間接業務の効率化が期待されています。AIやICTを活用すれば介護現場の生産性が飛躍的に上がる可能性もあるので、介護事業の経営者であればこれらの技術には注目しておきたいところです。
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