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介護報酬改定でわかる制度の問題点!アウトカム評価が経営にもたらす影響とは

2018/04/02
介護報酬改定でわかる制度の問題点!アウトカム評価が経営にもたらす影響とは

2018年度の介護報酬改定では介護報酬の査定だけでなく、新制度であるアウトカム評価の導入が大きな注目を集めています。介護制度の本軸は利用者の自立支援や重度化防止ですが、果たして今回の改定がその目的につながるのかということが議論の分かれ目といえるでしょう。そこで今回は、2018年度の介護報酬改定では介護報酬が具体的にどうなるのか、また、導入が検討されているアウトカム評価とはどういうものかということについて詳しく解説しましょう。

介護報酬改定はマイナス査定になる?

2015年度の介護報酬改定ではマイナス2.27%の改定率となり、その結果、介護事業所の倒産件数が過去最多を記録することとなりました。そのような背景から2018年度の介護報酬改定においても基本報酬がマイナス査定になることが予想されていましたが、結果としては改定率プラス0.54%の介護報酬引き上げになることが決定しました。

とはいうものの、利用者が月平均人数750名以上の大規模型の通所介護事業所や地域密着型の事業所は利益率が高く経営状況が安定していることから、規模別に基本報酬が調整されるでしょう。というのは、「サービス提供時間の見直し」により、時間区分がこれまでの2時間おきから1時間おきへと変更されるからです。そのことによって所要時間が3時間以上5時間未満の場合と5時間以上7時間以内の場合において、利用者が751人以上の大規模型通所介護の場合には全体的におよそ5?6%の大幅な引き下げ、通常規模型通所介護でも5%程度が引き下げられます。また、地域密着型の事業所においても5%程度の引き下げになります。しかし、小規模事業所の場合にはおよそ5%程度の基本報酬引き上げです。それ以外の提供時間においても見直しが行われます。たとえば大規模型通所介護(I)の事業所の場合、被介護者が要介護1のときには所要時間7時間以上9時間未満で645単位でしたが、改定後は7時間以上8時間未満で617単位、8時間以上9時間未満で634単位となります。通常規模の事業所や大規模事業所においては実質的に介護報酬がマイナスになるといえるでしょう。

質の高い介護サービスのインセンティブがない!

現行の制度においては、介護報酬はサービスの質とは関係なく、現行の要介護度に応じた報酬体系をとっています。しかしこの点では、いくら事業者が利用者の状態改善に取り組んでもメリットが得られないため、サービスの質の向上に対するインセンティブがないということが問題となっていました。利用者の要介護度が下がることは、事業者の利益を損なってしまうということにつながるからです。そこで今回の改定では、利用者の自立支援や重度化防止に貢献した事業者には加算等により評価していく方針を打ち出しています。

現行の介護報酬制度は、まず介護のために必要とされる手間や時間を基準として要介護度が決定されます。そして介護報酬はこの要介護度に連動する部分とそうでない部分とから構成されているのです。このような制度だと、仮に利用者や介護者が症状の改善に努力して要介護度を下げたとしても、その結果が事業者の経営状況に反映されにくいのです。そこで要介護度に応じた報酬体系は維持しつつも、どのようにして質の高いサービスを提供する事業者が経営上不利にならないか、ということが制度改正における議論のポイントになっていたわけです。今回の制度改定では、利用者の要介護度が下がれば評価に加算があることで経営状態が改善されるようにとアウトカム評価が導入されることになりました。そのほかの具体的な対応案としては、排泄にかかわる機能の向上への取り組みに対する新たな評価基準の設定、褥瘡の予防や管理における評価の導入などが挙げられます。

より良い介護のために!アウトカム評価導入は施設経営の追い風になるか

超高齢化社会において重要な問題は、利用者の自立支援と重度化防止です。そこで2018年度の介護報酬改定において注目されているのが、デイサービスなどの通所介護におけるアウトカム評価の導入です。アウトカム評価とは被介護者の自立支援につながる成果や結果を指標によって評価するというもので、排泄や食事など日常生活に必要な動作であるADLレベルが維持・改善された場合、そのサービスを行った事業者が対価を得ることができるようになります。このADLレベルを評価する指標を「Barthel Index(バーセルインデックス)」と呼び、食事や車椅子からベッドへの移動、整容、排泄などの10項目を5点刻みで点数化し、評価します。これまでは利用者の要介護度が下がっても事業者にもたらされるインセンティブは低いものでしたが、アウトカム評価を導入すれば、事業者の経営状態を悪化させることなく利用者の自立支援と重度化防止につながるだろうという考えです。利用者のADLレベルを向上させた事業者にプラスの評価を加えるようにすれば、事業者にとっても大きなメリットが得られるでしょう。

アウトカム評価の評価期間や、加算が取得できる一定期間などの詳細はまだ決定していません。それらは既存の事業所評価加算を踏まえながら検討されています。今後アウトカム評価の導入によって、介護サービスの質が向上することが施設経営に大きな影響を与えるようになるかもしれません。

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