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有給休暇とれていますか?介護現場の実態調査

2019/06/10
有給休暇とれていますか?介護現場の実態調査

介護現場では満足に有給休暇がとれていないと感じる従業員が多いようです。介護事業に携わる人なら、その実態をしっかり把握しておきたいものです。そこで、この記事では、介護現場における有給休暇消化の実態を紹介します。また、働き方改革で施行された有給休暇取得の義務化、有給休暇がとりやすい環境づくりのポイントなどを解説します。

介護現場での有給休暇消化率

介護現場で仕事をする人にアンケートをした結果、全体の約6割が、有給休暇をいつでもとれる、またはある程度とれると感じているようです。これは日本介護クラフトユニオン(NCCU)による2018年度のアンケートの結果です。このうち、月給制の組合員に限ってみると、有給休暇をいつでも取得できると答えた人は16.5%、ある程度取得できると答えた人は39.1%となります。また、時給制の組合員の場合、いつでも取得できると答えた人は38.8%、ある程度取得できると答えた人は32.7%です。違う資料をみてみると、厚生労働省が公表している2017年における有給休暇消化率の平均は49.4%でした。このうち、医療・福祉分野においては52.5%と若干増加しています。

NCCUのアンケートで、有給休暇を全く取得できない、あるいは、なかなか取得できないと答えた人にその理由を尋ねたところ、複数回答で半分を超える割合となっていたのが「人手不足で休めない」という内容です。この理由に次いで多い「仕事量が多すぎて休めない」「周囲の人に迷惑がかかるから」と合わせるとかなりの割合が、仕事の量に対して従業員の数が少なすぎることに起因する理由といえます。

厚生労働省が2013年にまとめた「介護労働の現状」という資料においても、労働条件に関する悩みは何かという問いに対して、複数回答で全体の34.5%が有給休暇を満足にとれないことをあげています。このような不満が出ている介護現場での大きな特徴としては、人手不足の他に、非正規職員に仕事の多くを依存していることがあげられます。そのため、非正規職員から順に仕事のシフトを組んでいくと正社員は後回しになり、有給休暇を消化しにくくなっている現状があるようです。そしてこのようなことから、気軽に有給休暇を申請できない職場の雰囲気が固定化してしまい、悪循環に陥ってしまう職場も多いといわれています。

働き方改革関連法による有給休暇取得の義務化

介護現場の有給消化取得に関する問題は、おおまかにいえば、すべての業種に共通する問題と一致しているといえます。そして、このような問題を改善する目的もあり、働き方改革が2019年4月から施行されています。介護事業の経営者やこれから独立して介護事業をする人にとっては、働き方改革によって労働基準法のどこが変わったのか、しっかり理解しておくことが必須です。

有給休暇取得に関しては、経営者は従業員に年に5日間の有給休暇を取得させることが義務化されました。対象となる従業員は、雇用してから6カ月以上たち、その期間の8割以上の日数を出勤している人です。この条件を満たしていれば、法律上、有給休暇が10日間以上付与されているので、5日間以上、有給休暇を取得させなければいけません。なお、勤続日数に応じて、最大20日間まで有給休暇の日数は増えていきますが、いずれの場合も5日以上取得していればよいと定められています。

5日間以上の有給休暇を消化させなければならない期間は、従業員が有給休暇を取得した日によって異なります。たとえば新入社員を4月1日に雇った場合、10月1日に有給休暇が与えられます。この場合、最低5日間は有給休暇を取得していなければいけないのは、翌年の9月末日までです。もし、従業員が有給休暇を申請しておらず、5日間休んでいないならば、経営者が従業員の希望をできるだけ汲み取って、期日を指定して有給休暇をとらせなければなりません。なお、会社の規則によって、有給休暇を付与する日はさまざまです。入社時点で付与される場合や、入社半年後から1年以内に付与日があることによって重複期間が生じる場合などについては、労働基準法を調べておきましょう。

また、経営者は従業員それぞれに対し「年次有給休暇管理簿」を作り、有給休暇の取得状況を記録して3年間保存する義務があります。決まったフォーマットがあるわけではなく、たとえば従業員名簿、賃金台帳に欄を設けるなどでもかまいません。また、大規模な会社になるとパソコンやクラウド上のシステムで管理する場合が多いといえます。この場合も、必要に応じていつでも出力できるようになっていれば、問題ありません。

労働力確保のためにも有給休暇がとりやすい環境づくりを!

介護現場では、有給休暇の取得に不満を感じている人の割合も少なくありません。経営者としては、安定した労働力確保のためにも有給休暇がとりやすい環境づくりが重要といえます。また、利用者が満足するサービスを提供するためには、従業員が職場に満足できていることが必要となるはずです。

具体的な取り組み方としては、今まで以上に介護現場がチームワークを発揮しやすい組織形態にすることが、経営者に求められています。課長やリーダーなどが従業員の状況を把握して従業員同士が仕事の進捗状況を共有することではじめて、有給休暇を取得しやすく、事業が円滑に回る環境が整うからです。

また、有給休暇を管理しやすい実務体制にするのも重要といえます。たとえば従業員の数が多い介護事業においては、年始や年度始めに有給休暇の付与日を統一すると、管理が容易です。また、小規模な事業者でも、中途採用が多く管理がしにくい場合もあります。このような場合は、同じ月に働き始めた従業員の付与日を月初に統一するだけでも管理がしやすくなります。どのような方法をとるにしても、従業員それぞれの有給休暇の取得状態をしっかり把握できるようにすることが、経営者にとって重要なのです。

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