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介護報酬改定によりケアマネージャーの働き方はどう変わる?

2018/01/22
介護報酬改定によりケアマネージャーの働き方はどう変わる?

0.54%の引き上げが検討されている2018年の介護報酬改定では、ケアマネージャーの果たす役割もこれまでと変わってきそうです。一番大きな変更点は特定事業所集中減算の見直しです。利用者の囲い込み防止を本来の目的としたこの措置は、合理的ではないとの現場からの声が相次ぎ、廃止の方向で検討されています。また、管理者の役割を明確化し、より適正なサービス提供及び人材育成環境の充実を図ることも考えられています。2018年の介護報酬改定で、ケアマネージャーの働き方がどのように変わっていくのでしょうか。

介護報酬改定によりケアマネ事業所への集中減算見直しへ

2018年の介護報酬改定でケアマネージャーの働き方に大きな影響を与えることになると予想されるのが、特定事業所集中減算の見直しです。特定事業所集中減算とは、判定期間内に作成した居宅サービス計画において、もっとも紹介件数の多い法人事業所の割合を算出し、その割合が80%を超える場合に減算を行うことをいいます。

この措置が決定された背景には、特定事業者による利用者の囲い込みがありました。法人の一部として運営されている居宅介護事業所の中には、同一法人内の別事業所サービスを優先して利用する傾向が強くありました。その結果、利用者が本当に必要とするサービスがケアプランに盛り込まれるのではなく、法人の利益となるようなサービスばかりが並べられることがおおいに問題となっていたのです。特定事業所集中減算の導入によって、同一法人のサービス利用は80%までに制限されることになります。それによって、不適切なサービス提供を減らし、より公平性の高いケアマネジメントが可能になると考えられていました。

しかし、集中減算の導入は別の問題も生み出しました。地域で利用可能な事業所が少ないサービスの場合、選択肢が逆に狭まることにもなります。また、質の高いサービスを行う事業所に利用者が集中するのは当然です。しかし、「集中したサービス利用を避けるためにあえて質の低いサービスを提供している事業所を選ばなければならない」といった矛盾が生まれてしまっていることも問題点といえます。

ケアマネ管理者の役割明確化へ

2018年の介護報酬改定では集中減算は廃止される見込みです。これによってサービス利用の制限はなくなります。一方で特定事業所による利用者の囲い込みの問題は再浮上することになります。

その問題への対処法は、2017年12月時点で具体的な内容として現れてきていません。おそらく、2018年の介護報酬改定では集中減算の廃止のみとなり、その後の各事業所の動向を踏まえて新たな加減算を設けるかの検討に入るものと予想されます。

しかしながら、ケアマネージャーによる公正中立なサービス提供は、介護保険サービスの根幹ともいえます。利用者に適切なサービスを提供するための方策は、2018年の介護報酬改定でもいくつか盛り込まれる予定です。

代表的なものが居宅介護事業所の管理者に資格要件を設けることです。これまで管理者になるために特定の資格は求められませんでした。今後は、管理者に主任ケアマネージャーの資格取得が義務付けられるかもしれません。主任ケアマネージャーの資格を有する管理者のほうが「ケアプランの質向上や人材育成能力に期待できること」「事業所全体の質向上によってより適切なサービス選択ができるようになること」などがその理由です。

しかし、2017年現在、管理者が主任資格を持つ事業所の割合は50%に達していません。また主任研修が満員で思うように受講できない地域も存在します。そのような事情を考えると、今回の介護報酬改定で要件化されるとしても一定期間の経過措置が設けられる可能性が高そうです。

ケアマネによる保険外サービスへの取り組みは

もうひとつ考えておきたいのが保険外サービスへの取り組みです。2016年3月に、厚生労働省、経済産業省、農林水産省の連名で「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」が策定されました。「住み慣れた地域で最後まで自分らしい暮らしができる」といった理想を目指すのが地域包括ケアシステムです。しかし、理想の実現のためには公的サービスだけでは十分ではありません。保険外サービスの充実が地域包括ケアシステム実現の大きな鍵を握っています。この事例集は保険外サービスとしてどのような活動が全国各地で行われているかをまとめたものとなっています。

同事例集によって、これまで自治体によって解釈が異なっていた保険外サービスを明確に位置付けし、介護保険事業所による保険外サービスへの参入を促す目論見があったようです。しかし、保険外サービスの普及は思ったように進んでいません。理由はいくつか考えられます。保険外サービスは比較的高額で誰でも利用できるものではないこと、保険外サービスを提供する事業者が少ないこと、ケアマネージャーが地域の保険外サービスを十分に知らないことなどが挙げられるでしょう。

利用者の自立支援を考えたプランを作成するためには、その地域の社会的資源を知悉している必要があります。保険外サービスも社会的資源のうちに含まれます。ケアマネージャーには、今後ますます公平かつ適正なケアプランの作成が求められるでしょう。そのため、ケアマネージャーは地域の保険外サービスの種類をより一層把握しておくことが必要です。

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