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介護報酬改定でリハビリに目を向けると施設運営が右肩上がりに!?

2016/11/21
介護報酬改定でリハビリに目を向けると施設運営が右肩上がりに!?

2015年に介護報酬改定、2016年には診療報酬の改定が行われましたが、2018年には介護報酬と診療報酬のW(ダブル)改定が待ち構えています。これらの報酬改定は、介護保険を主な収入源としている介護保険施設だけでなく、診療報酬を収入源とする病院にとっても大きなものです。とりわけ両者で領域が重なるリハビリテーションの分野においては、双方の影響を受けやすく、改定によって収入源が大きく変わる可能性があります。今回は2016年の診療報酬改定によって大きな影響を受けたであろう、リハビリ提供施設(老人保健施設、病院、診療所など)をメインに、報酬改定によって起きる変化について紹介しましょう。

短時間通所リハビリへの移行で収益改善を見込める

2016年の診療報酬改定によって、大きな影響を受けた病院は少なくないはずです。その最たる理由となるのが、維持期リハビリテーションの点数が大幅に減少したことです。要介護被保険者である場合、これまでは90%が算定可能でしたが、今回の改定によって60%しか算定できなくなりました(100%は要介護認定を受けていない人でかつリハビリ開始から180日以内のケース)。加えてその医療機関が介護保険でのリハビリを提供していない場合には20%の減算で、かつ「目標設定等支援管理料」を算定していない場合は、その90%となります。わかりやすくいうと、本来算定できる金額の半分以下しか請求できなくなった、ということです。いかに大きな改革がなされたか、これだけでもよくわかるのではないでしょうか。

今回の大改革がなされた根拠は明確です。維持期のリハビリテーションは本来介護保険の分野で担うべきであり、介護保険外の、この場合医療保険で提供されるリハビリテーションには制限をかけるという理屈です。急性期や回復期の報酬自体は大きく変わっていないことからも「維持期のリハビリは介護保険で」が明確になっているといえるでしょう。

維持期リハビリから通所リハビリに移行するメリット・デメリット

この改定によって、介護保険による短時間通所リハビリのほうが、外来受診による維持期リハビリよりも報酬が大きくなるということになりました。外来でのリハビリを受け入れていた病院や診療所にとっては、大きな痛手でしょう。各診療所や病院は大きな決断を迫られることになりました。これまでは入院から退院後のリハビリまで診ていたところが、大幅な収入源によってそのまま維持期リハビリを続けることが難しくなったのです。収益を上げるためには、維持期リハビリを短時間通所リハビリに完全に切り替えてしまうことが一番でしょう。すでに通所リハの事業所を併設、あるいは展開している病院であれば、この移行は容易であり、今回の改定も収益アップの大きなチャンスとなるはずです。

難しいのは現在通所リハサービスを展開していない診療所や病院です。通所リハは介護保険サービスに位置付けられますから、病院運営とはまた違った知識が必要となります。当然スタッフも新たに雇う必要があります。自分の病院に入院していた人がそのまま、自事業所の通所リハを使ってくれるとも限りません。それに加えて、通所リハは送迎サービスが基本ですから、車と送迎をする職員も必要になります。人員や設備、それに場所など新たな事業を展開するために入り用なものが、同じリハビリというサービスを提供するために必要となるのですから、二の足を踏む病院が多いのも無理はないでしょう。

介護報酬改定と診療報酬改定どちらの動向もチェックして柔軟な対応を!

2015年の介護報酬改定、そして2016年の診療報酬改定は、2018年の同時改定に向けた前置きのようなものといわれます。そして2018年の改定も、2025年に向けた大規模な介護・医療改革の一歩にすぎません。2025年は段階の世代がすべて75歳以上になり、介護・医療のニーズが爆発的に増大すると予想される年です。その時に備えて、すでに国は行動を始めています。今回の診療報酬改定もその端緒といえるでしょう。

今後高齢化が進むにつれて、ますます介護と医療の分野は近づくことになります。介護施設だから介護報酬だけ、病院だから診療報酬だけ気にしていればいいという時代は終わりました。介護報酬も診療報酬も、これからはより一層在宅生活を重視する方向に変わっていくのは間違いありません。それに伴って、自宅から通うことのできる通所系サービスの重要性も増してきます。また介護事業者にとっては、医療的ニーズの高い利用者の受け入れの有無が、今後の課題となるでしょう。これからの施設や病院はどちらにも目を配りつつ、より有利なほうで報酬を得ていくといった、二足の草鞋を履く経営手法が必要となってくるかもしれません。そのためには介護だけ、医療だけといった人材ではなく、両方の分野を広く深く理解している人材が重要な役割を果たすことになるでしょう。

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