
介護報酬改定で下がる単価!ニーズは介護からリハビリへ?

2018年の介護報酬改定は、介護業界に大きな衝撃を与えました。全体では、0.54%の微増となった一方で、利益率の高い通所介護や訪問介護の分野ではマイナス改定が目立ち、とりわけ、大型介護施設でそれが際立っています。すでに介護事業を運営している人や、これから介護事業で独立を考えている人にとっては、本改定を詳細に知ることこそが介護業界で生き残っていくためのカギとなります。以下でより具体的に見ていきましょう。
2018年度介護報酬改定で起こること
2018年の介護報酬改定には、4つの柱があります。それは、「地域包括ケアシステムの推進」と「介護サービスの適正化」、「自立支援・重度化防止」、「多様な人材の確保と生産性の向上」です。なかでも、中心的な概念になっているのが「自立支援・重度化防止」であり、それを実現するため「リハビリ」が、本改定の最大のポイントです。そこには、介護保険利用者にリハビリを行ってもらうことで自立を促し、重度化を防いで財政負担を減らしたいという国の狙いがあります。一部リハビリが医療保険から介護保険に移行したこととも無関係ではありません。
そもそも、介護報酬は基本報酬と加算分という二階建ての構造になっています。本改定では、利益率の高い訪問介護や通所介護などで、基本報酬が引き下げられました。
訪問介護の分野で単価が下がったのは「生活援助」中心型で、「身体介護」中心型の単価はアップしています。サービス利用者の身体に直接触れない「生活援助」中心型のサービスには、高度な専門知識がなくても実施できる部分があります。そこで、より広く介護人材を確保する狙いで、簡易的な研修の新設が予定されています。これまでは最低でも介護職員初任者研修が必須だったホームヘルパーの仕事のうち、「生活援助」中心型のサービスに関しては、この研修を修了すれば関われるようになります。つまり、学生や主婦、シルバー層などを、生活支援の担い手にしようというのです。この住み分けは、身体介護が可能なホームヘルパーの専門性を担保することにも役立ちます。しかし、事業者側からすれば、「生活支援」を中心にサービス提供しているだけでは、報酬が下がってしまうおそれがあります。
本改定の減算項目として特筆すべきなのが、集合住宅居住者への訪問サービスに関する減算の拡大です。集合住宅減算の対象となる施設は、これまで有料老人ホーム等のみでしたが、事業所と同一か隣接する敷地内にある建物もこれに該当することになったのです。また、利用者数による減算規定も改定され、1カ月あたり50人以上の利用者がいる大型集合住宅では15%の減算となっています。
「介護だけ」はもう通用しない?
通所介護の分野では、基本報酬が引き下げられた一方で、「リハビリテーションマネジメント加算」や、「ADL維持等加算」といった加算項目が新設されました。「ADL維持等加算」とは、ADL(日常生活動作)を維持・改善した度合いによってリハビリの成果を測り、加算につなげるというものです。その評価方法には、Berthel Index(バーセルインデックス)が導入されます。
「ADL維持等加算」ができたことによって、今後はリハビリで客観的な成果を出す必要が出てきます。単にリハビリをやっていればよい、というわけにはいかなくなるのです。つまり、国の狙いは「基本報酬は下げるが、リハビリを実施して成果を上げれば加算する」ということです。
介護事業者が行うべきことは「介護」だけにとどまらない、という段階に来ています。積極的にリハビリを取り入れて利用者の重度化を防ぎ、自立につなげることが求められています。しかし、進んでリハビリに取り組みたいと考えている利用者ばかりではありません。また、通所介護の利用時間は、家族が一息入れられる時間にもなっています。そのため、一律に対処するのではなく、利用者のそれぞれの事情に配慮する必要があるでしょう。
リハビリ導入で単価下落を防止
単価下落を防止して報酬を確保するためには、改定に沿った対策を立て、取り組みを進めていく必要があります。リハビリの導入もその一つです。訪問介護では、医療提供施設のリハビリ専門職や医師が、利用者の自宅を訪問してリハビリを行うと評価される「生活機能向上連携加算」が強化されました。デイサービスやショートステイなどの分野にも、「生活機能向上連携加算」が新設されています。これにより、外部リハビリ職との連携が重要になってくるでしょう。
また、リハビリ実施の対象資格に、一定の実務経験を持つ「はり師、きゅう師」が追加されました。医療提供施設所属のリハビリ専門職などでは時間的余裕がないケースも少なくないため、幅広く人材を確保したい狙いです。
リハビリで結果を出すためには、外部リハビリ専門職の選び方やリハビリの実施計画の立て方などもポイントになってきます。そのため、より専門的な知識に基づいた運営が不可欠となり、結果を出せない事業所が淘汰される事態も出てくるでしょう。しかし、介護報酬を狙った悪質な介護事業所が乱立し、内部留保が問題視されるなか、実績によって事業者を選り分けていくことは、利用者にとってのメリットにつながります。介護事業者として生き残っていくためには、誠実に利用者の利益に向き合っていくことこそが大切なのです。
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