
介護報酬改定だけじゃない!改正社会福祉法で変わったこと

介護業界をめぐる状況は、目まぐるしい変化を続けています。平成27年に介護報酬の改定が行われたことに続き、平成28年3月31日には改正社会福祉法が成立し、同日に公布されました。今回の改正によって、これから新しく法人を作る場合だけでなく、既存の法人にも大きな影響があることが考えられます。改正社会福祉法の基本を押さえておきましょう。
会計監査義務化!改正社会福祉法で何が大きく変わったのか?
今回の改正社会福祉法の内容は、大まかに「法人制度の改革」と「福祉人材確保の促進」の2つに分けることができます。社会福祉法人にとってより影響が大きいのは、前者の制度改革の部分です。どのように制度が変更されたのか、重点的にみていくことにしましょう。
改正のポイントは、会計の透明性と地域社会への貢献の2つといってよいでしょう。社会福祉法人における巨額の内部留保は、以前から大きな問題となっていました。今回の改正はその部分に切り込んだ内容となっています。
具体的にみていくことにします。透明性確保のための改正としてまず挙げられるのは、経営組織のあり方の見直し(ガバナンスの強化)です。これまで、任意設置かつ諮問機関であった評議会が、必置かつ議決機関化することとなりました。評議会が設置されることによって、理事会や会計監査人の選任や解任、それに報酬に対して介入することが可能となります。これによって、理事会が親族ばかりで構成され、家族経営に近い形で法人が運営されるといったケースに、メスが入ることになりました。
また、情報公開の対象が拡大した点も、透明性確保のためには見逃せないポイントでしょう。地域社会への貢献としては、地域における公益的な取り組み実施の責務が生じたこと、内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下が求められています。内部留保を有する法人は、地域の公益に資する事業計画の作成が義務付けられました。
介護報酬改定と改正社会福祉法で福祉事業は大変になった?
今回の改正社会福祉法の公布、それに2015年の介護報酬の減算改定と、介護業界には厳しい風が吹いているようにも見えます。これによって、施設や事業所の経営が困難になったと感じる向きもあるかもしれません。しかし、将来をしっかりと見据えている事業所にとっては、現在の大きな変化の波をチャンスと捉えていることでしょう。というのも、ここ数年続いている大変革は常に一定の方向性を示しており、細かな変更があるとはいえ、概ね予想通りに進んでいると考えられるのです。介護保険そして介護業界が今後進んでいく道のりを、今一度整理しておきましょう。
毎年過去最高を更新し続けている社会保障費は、2025年に向けて増大の一途を辿ることになります。財政破綻を避けるためにも、社会保障費の抑制は国の至上命題といっても過言ではないでしょう。そのための改革が、現在急ピッチで進められています。介護業界では、軽介護者は保険内サービスの利用を制限し、重介護者に労力を注入するようになっています。それを補うようにして眠っている人的資源を掘り起こし、地域で高齢者を支えていく地域包括ケアシステムの構築も同時進行で行われています。保険内サービスの縮小に伴い、保険外サービスが今後数年に渡って劇的に拡大していくことは、ほぼ間違いのない事実です。この傾向は、すでに2006年の改定から始まっており、現在の流れはその延長に過ぎません。事前に準備をしていた事業所にとっては、規制緩和ともいえる内容の変更です。この10年で地域に根ざす活動を行い、地盤を固めてきた法人にとっては、まさに千載一遇のチャンス到来といったところでしょうか。
キーワードは透明性と公益性!社会福祉法人がすすむべき道とは?
これまで地域福祉の大半を担ってきた社会福祉法人も、この波に乗ることを余儀なくされています。それと同時に、今後ますます営利企業が介護業界に進出してくるにつれ、社会福祉法人の社会的な役割も取り沙汰されることになるでしょう。多くの法人で内部留保が問題となったように、現在の社会福祉法人は公益に資するという、本来の役割を十分に果たしているとはいいがたい状況にあります。現時点で地域社会からの信頼が厚い法人が、果たしてどれだけあるのでしょうか。今の社会福祉法人のイメージは、優遇された税制を盾に自分たちの利益だけを考える集団、そんな風に一般市民からは思われているかもしれません(もちろんそうではない社会福祉法人がたくさんあることもここに付記しておきます)。
このような状況を変えるために、今回の改正社会福祉法はうってつけだといえます。今回の改正を小手先のものと考え体裁だけを整えるような法人は、今後生き残っていくことは難しいでしょう。反対にこれまでのあり方を真摯に見直し、地域社会への積極的な進出と情報公開、それに利益の還元を行う法人こそが、今後の介護保険制度改正の波にものまれることなく、経営を続けていくことができるのではないでしょうか。
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