
2018年度から特区で始まる混合介護モデル事業とは

東京都豊島区は、2018年度から混合介護モデル事業をスタートさせることを発表しました。国家戦略特区という仕組みを利用する事業であり、規制緩和によって介護サービス内容の拡大を目指すものです。これまで介護サービスは、保険適用内サービスと保険適用外サービスを同時に行えない、特定の時間帯にヘルパーのニーズが集中するなど、現場での問題が指摘されてきました。これらの問題を乗り越えるものと期待されているのが混合介護モデル事業です。事業の背景や概要、メリット・デメリットについてご紹介します。
東京・豊島区が特区としてモデル事業を開始
2017年2月に東京都豊島区は、2018年度から「混合介護」のモデル事業をスタートさせると発表しました。政府が認定する国家戦略特区の制度を活用すべく調整が進められており、全国で初めての試みとなります(2017年9月現在)。国家戦略特区とは第2次安倍内閣(2012から2014年)が進めた経済特別区域構想であり、地域限定で大幅な規制緩和や税制優遇を行い、民間の投資を活性化させることが目的です。2013年には国家戦略特別区域法が成立し、医療や農業など計6分野で規制に関する特例が承認されました。
豊島区ではこの国家戦略特区のスキームを活用して、介護にかかわる規制緩和を行い「混合介護」を実現させる見通しです。区では介護施設の利用者・家族のニーズを汲み上げるための調査や、有識者を交えたシンポジウムを開催するなどの計画を立てています。
混合介護の具体的な内容としては、介護保険適用サービスである訪問介護サービスと、保険適用外の同居家族分の家事サービスを一緒に実施することで、ヘルパーの業務効率化と介護家族の負担軽減を目指します。混合介護は新たなビジネスチャンスにつながるため、介護事業者を活性化させ賃金アップや人手不足を解消する狙いもあります。ただし混合介護の構想には、批判の声も寄せられています。たとえばサービス料金が不当に高く設定されるおそれがある、低所得者が十分なサービスを受けられなくなるといった声です。これらのデメリットをいかに防いでいくかが問われています。
混合介護とは介護保険内外のサービスを組み合わせたもの
現行の制度では、介護保険適用サービスは介護保険適用外のサービスと同時に提供できないというルールになっています。介護保険適用サービスとは、要支援・要介護認定された人が利用できるサービスです。自宅・通所・施設入所によって受けるサービスや、介護用品の貸与・購入補助などが対象です。
一方で介護保険適用外サービスには、幅広いサービスが含まれます。代表的なのは(1)「要支援・要介護者本人への援助」に該当しないサービス、(2)「日常生活のサポート」に該当しないサービスです。(1)では同居家族への家事、(2)では庭の手入れやペットの世話などが挙げられます。大掃除や家の修繕、正月料理の準備なども(2)に当てはまります。したがって介護対象者の食事は作るが同居家族の食事は用意できない、介護対象者のケアはできるがペットは世話できないなど、現場のヘルパーにとって非効率的な問題が多々発生しています。また介護保険適用外サービスは基本的に利用者の自腹になるため、多額の費用が発生してしまうケースもありました。
現行のスキームでこの問題を乗り越えるために選ばれたのが、地域限定で規制緩和を行う国家戦略特区です。混合介護では、国家戦略特区の規制緩和によって介護保険適用サービス・介護保険適用外サービスを一体的に提供できるようになるため、介護対象者に対していっそう幅広いケアを行えるようになるのです。介護対象者やその家族にとっても、さまざまなサービスを一元化できるため、手続きや費用面でのメリットが見込めます。
時間帯や指名制度によって割増料金も
豊島区では、混合介護のスタートにあたってさまざまなメニューを想定しています。目玉となるのが(1)ヘルパーの指名料と(2)時間帯による割増料金です。(1)ヘルパーの指名料制度では、利用者が1時間につき500円程度を追加で支払う代わりに希望するスタッフを指名できるようになります。たとえば看護師やあん摩マッサージ指圧師などの資格をもつスタッフや、外国語・方言に堪能なスタッフを指名できるため、個々の利用者に応じたきめ細やかなサービスが可能になります。介護スタッフのスキルアップ支援にもつながるため、サービス利用者・提供者の双方にメリットが見込めるといえるでしょう。また(2)時間帯による割増料金では、ヘルパーのニーズが集中する時間帯に割増料金を設定したり、ニーズが少ない時間帯には割引料金を設定したりと、価格の柔軟性が検討されています。
これまでも早朝・夜間・深夜には割増料金が設定されていましたが、よりいっそう現場の実情に応じて料金設定がされることになります。この料金設定により利用時間帯の分散や採算性アップなど、サービス提供者側のメリットが期待できます。サービス利用者側にとっても、時間帯をうまく使い分けることで介護サービス費用の節約につながるでしょう。
このように、介護保険適用内外のサービスを組み合わせたり、指名制度や時間帯による料金差を設けたりするのが、混合介護の試みです。実際の運用は2018年度からになりますが、現場のニーズを汲んだサービス内容であるため、介護をめぐる現状の改善が期待されています。
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