
今後の介護報酬改定で在宅復帰の可能性は高まるか

少子高齢化が進む日本では、介護保険制度の見直しが推進されてきました。とくに「地域包括ケアシステム」の構築に重点が置かれており、要支援者・要介護者を施設ではなく地域社会で見守る仕組みが目指されています。このような流れの中で、2018年には介護報酬改定が実施されます。介護報酬改定では、単に介護サービスやリハビリテーションを実施するだけでなく、利用者が自立・回復できるかという結果が重視されるようになります。
介護報酬改定は在宅復帰を支援する方向
介護報酬とは、事業者が利用者(要支援者・要介護者)に介護サービスを提供した場合に、サービスの対価として事業者に支払われる報酬のことです。介護報酬はサービスの種類や内容、利用者の要支援・要介護度などを加味して決定されます。現行(2017年9月現在)の介護保険制度では、介護報酬の1割から2割を利用者から、8割から9割を介護保険料と公費からまかなう仕組みになっています。介護保険制度は原則3年に1度見直されますが、少子高齢化や介護サービス従事者の不足、物価・賃金の変動により、介護報酬についてはより短いスパンで見直しが行われてきました。直近では2012年・2014年・2015年・2017年です。
これらの介護報酬改定の軸にあるのは「地域包括ケアシステム」の推進です。地域包括ケアシステムとは、要支援者・要介護者を施設から在宅に移し、地域社会全体で見守っていくという仕組みを指しています。今後高齢者の増大が見込まれる中、既存の施設中心のシステムでは対応しきれないことが予想されるため、地域包括ケアシステムが推進されているのです。2018年度の介護報酬改定でも、引き続き地域包括ケアシステムの実現、つまり要支援者・要介護者の在宅復帰に重点がおかれます。
具体的な介護報酬改定率は2017年9月頃に発表される「介護事業経営実態調査結果」にもとづいて決定されることになりますが、過去にマイナス査定が続いているため今回も厳しい改定が見込まれています。
リハビリ専門職の配置促進・職務拡大は必至
2018年度からスタートする介護報酬改定率については2017年12月頃に確定される見通しですが、すでに方向性が固まっている施策もあります。その1つが、リハビリ専門職の配置促進・職務拡大です。地域包括ケアシステムでは、サービス利用者の在宅復帰に重点がおかれています。そのため従来のケアに加え、自立・回復という視点が重要視されるようになります。サービス利用者の自立・回復に欠かせないのが、身体機能を向上させ利用者自身の力で生活してもらうためのリハビリテーションです。従来の仕組みにおいてもリハビリテーションは推進されてきましたが、いっそう結果重視の評価体系になることが見込まれています。そのため介護サービス事業者にとっては、リハビリ専門職の配置促進・職務拡大が避けられないといえます。
介護施設に携わるリハビリ専門職としては、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士があります。理学療法士は座る・歩くなどの運動機能を訓練するスタッフです。また作業療法士は道具の使用などのより細かい動作のための訓練や、精神的なケアを担当します。言語聴覚士は、発語や嚥下、聞こえなどの回復を図る業務です。いずれもこのようなリハビリ関係の国家資格を持っている人材にとっては、成果に応じて評価がつけられるため、キャリアアップのチャンスともなるでしょう。国家資格を有するスタッフの補助をするリハビリ助手(無資格でも可能)についてもニーズが高まることが予想されます。
変わるデイケアとデイサービス
介護サービスにおいて自立・回復が重視され、リハビリテーションの拡充が目指されることで、新たに見直されるポイントがあります。それが、デイケアとデイサービスの区別です。デイケア・デイサービスともに介護保険サービスに位置づけられていますが、サービスの目的が区別されています。
デイケアは「通所リハビリテーション」と呼ばれており、主な目的は利用者がリハビリテーションを受けることです。一方でデイサービスは「通所介護」と呼ばれており、主な目的は食事・入浴などサービス利用者への介護サービスです。
このように目的が分かれているものの、現場でのサービスはさほど違いがないことが問題視されてきました。たとえばデイケアではリハビリテーションが中心ですが、食事・入浴などの介護サービスを受けられる施設もあります。またデイサービスでも機能訓練を受けられるところがあります。このような問題を解決すべく、2018年度の改正では、デイケアとデイサービスの区別の徹底が見込まれています。
具体的には、デイケアのリハビリテーション特化とデイサービスの介護サービス特化です。このテコ入れにより求められるのが、デイケア・デイサービスにおける体制変更です。デイケアでは効率的にリハビリテーションを実施すべくリハビリ専門職の拡充が求められます。またデイサービスでは多様化する利用者や、増大する自己負担額に対応すべく介護サービス内容・価格の見直しが必須となります。
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