
共生型サービスの導入によって何が変わる?!

介護報酬改定によって、介護・障害福祉の現場で働く人材不足の解消を目指すため、新たに「共生型サービス」が導入されます。共生型サービスの導入により、介護と障害福祉、双方の運営基準を満たした介護保険事業所や障害福祉事業所で、高齢者と障害者(児)の受け入れが可能となるのです。そこで、長期間検討されていた共生型サービスの普及が進まなかった背景や、新たに構築された制度の具体的な内容を紹介します。
また、事業所・利用者それぞれに関わるメリット・デメリットを見ていきましょう。
共生型サービスとは
実は、共生型サービスが導入される前から、各市町村独自では共生型サービスと同様のシステムを取り入れて運営している介護・障害福祉事業所が存在していました。各市町村独自に定めた基準を満たしている事業所に関しては、高齢者と障害者(児)が同じ施設で過ごすというサービスを提供している事業所も珍しくなかったのです。しかし、各市町村で定められている基準が違うことや、介護度や障害の程度に関わらず介護職員の給与が同じであるなどの問題点も多かったため、システムそのものが普及していませんでした。新たに制定される共生型サービスは、厚生労働省が介護保険・障害福祉と2つの面で共通するシステムを導入することによって、地域での支援体制の構築を目指したものです。
共生型サービスが必要になった背景は、後期高齢者の増加に伴い、社会保障財政のバランスが崩れるためであるといえます。社会保障財政が崩れることに加え、介護・障害福祉の現場で働く介護職員の人材不足解消に向けて制定されたともいえるでしょう。介護と障害福祉が一体化することで、少ない人材を有効に活用できることや、地域ごとの現状や利用者のニーズに合った介護・障害福祉サービスを提供できるシステムを作りあげることも、改定の目的の1つです。共生型サービスは、介護と障害福祉制度の支援制度を変更して、後期高齢化社会に対して人々が抱えている不安や問題点を包括的に支援する体制を作るための制度といえます。
事業者側のメリット・デメリット
介護と障害福祉の一体化である共生型サービスの導入は、不足している人材を有効活用できるため、事業所や社会的な観点からみても大きなメリットであるといえます。また、介護保険、障害福祉の運営と施設の基準を満たしている場合、基本的には共生型サービス事業としてサービスの提供や報酬の請求も可能です。介護事業・障害福祉事業として個別に運営していた事業所同士が、お互いに認定を受けやすくなることもメリットであるといえます。
さらに、子供から高齢者まで、さまざまな年代の利用者が同じ空間で過ごす機会が増えるため、利用者同士でサポートをし合うこともあるのです。サポートし合える体制を整えるためには、利用者同士の交流が円滑に行われるような環境を整備しなければならない点は、事業所にとって負担であるといえるかもしれません。しかし、環境を整備をすることによって、高齢者が障害を持つ子供と遊んだり、子供の元気な声が高齢者の笑顔を引き出したりと、利用者同士のよい刺激となるのではないでしょうか。共生型サービスの導入で、利用者それぞれに役割を持たせるきっかけを提供できるため、介護職員の負担が軽減され、サービスの質を向上させる効果も期待できるのです。
ただし、共生型サービスの導入により、高齢者もしくは障害者(児)と接する機会のなかった介護職員にとってはデメリットとなる場合もあります。介護職員への精神面の負担を懸念する声も多く、介護をする現場では利用者へ配慮をする場面が増えるでしょう。高齢者と障害者(児)が同じ空間で、互いが安全に過ごすためには、起こりうる事故やトラブルを想定しながら施設の整備を行わなければなりません。ケアマネジャーと相談支援専門員が連携を強めなければならないことも、働く介護職員の負担の1つとなり、共生型サービス導入後のデメリット・課題であるともいえます。
利用者側のメリット・デメリット
利用者のメリットは、介護保険優先原則による不安が解消されることです。障害者総合支援法では、自立支援給付に相当するサービスが介護保険法でも提供されている際、介護保険法のサービスを優先的に利用するとした「介護保険優先原則」が定められています。介護保険優先原則が定められていることにより問題視されていたことが、「65歳の壁」と称されるものです。長期間、障害者総合支援法に基づいたサービスを提供されていた場合でも、65歳になると介護保険法のサービスに切り替わってしまいます。
例えば、障害者支援に強いヘルパーが訪問介護をしていたとしても、介護保険法に基づくサービスに切り替わってしまうと、障害者支援に不慣れなヘルパーに変更されることもあるのです。ほかにも、長期間通っていたデイサービスではなく高齢者専用のデイサービスへ通わなければなりません。そのため、利用者や家族が不安を抱き、混乱するケースも多いです。利用者にとっては、共生型サービスの導入により、介護保険優先原則に関わらず同じ事業所やヘルパーのサービスを利用できることがメリットであるといえます。
しかし、共生型サービスが導入されるまでは高齢者と障害者(児)同士が関わる機会が極めて少なかったため、両利用者が混乱する可能性がある点が、利用者と家族にとってデメリットです。共生型サービスの導入時には、事業所は両利用者の受け入れ体制と介護職員の報酬体制をしっかりと整えなければならない点が、最大の課題であるといえるでしょう。
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