
事業所に迫られる看取り介護…介護職の行う医療行為はどこまで?

高齢化社会が進行するなか、介護施設や在宅で看取りを行う「看取り介護」のニーズが増えています。介護事業を行う事業所にとっては、通常の介護サービスに加え、看取り介護を視野にいれた事業計画が求められるようになっているのです。看取り介護では、医療スタッフを中心に介護職員や生活相談員との連携体制が欠かせません。また、介護職員が医療ケアや医療行為を行う場面もあります。看取り介護のニーズが高まる中、事業所は何を行えばよいのか、介護職員はどのような業務や医療行為を担うのかをご紹介していきます。
看取り介護を行う施設は年々増加している
「看取り介護」とは、特別養護老人ホームをはじめとする介護施設で人生の最期を迎えることや、そのためのケアを指しています。高齢化が進む現在、多くの介護施設に看取り介護のニーズがあるといわれています。たとえば厚生労働省が2015年に実施した調査では、特別養護老人ホームと老人保健施設の半数以上が「看取り期に入った利用者に対する看取り計画を立て、看取りを行っている」と回答しました。実際の死亡退所者をみると、その半数以上が看取り介護を受けた利用者だといいます。
このように看取り介護のニーズが高まっている中、特別養護老人ホームと老人保健施設では、医療スタッフを中心とした看取り介護体制を築いています。さらに介護職員、生活相談員を関わらせている施設も多くみられています。介護職員が担う業務としては「看取り期の判断に関する情報共有」「看取りカンファレンスの開催」「亡くなる際の付き添い」「施設内でのお見送り」などが中心です。つまり介護職員は、基本的に医療スタッフのバックアップという立ち位置です。しかし、情報共有を徹底しながら、二人三脚で取り組んでいくことが求められています。また、看取り介護では、利用者本人への確認ができなかった場合は家族の意向を聞くことになります。そのため、医療スタッフだけでなく、利用者やその家族との円滑なコミュニケーションも必要になります。介護施設は単に介護ケアを行うだけでなく、利用者の終末期を念頭においた場所となりつつあるのです。
介護職の職域拡大・・・今後はますます医療行為の必要性が増してくる
介護施設における看取り介護へのニーズが高まる中、介護職員は終末期を見据えて医療スタッフ、利用者、その家族とコミュニケーションをとる必要があります。それだけでなく、現場での緊急対応を求められることもあります。たとえば普段は医療スタッフが医療行為を担っていても、スタッフ不在時や人手が足りないときに、利用者に対して医療行為が必要となるケースがあります。
介護職員に許可されている医療ケアは、爪切りや口腔ケア、一部の褥瘡に対する処置などです。また、有資格者や所定の条件を満たした介護職員であれば、経管栄養や痰吸引といった医療行為も許可されています。看取り介護を実施している介護施設では、これらの医療ケアや医療行為を介護職員が実際に担うケースが増えているのです。介護職員にとって、医療ケアや医療行為は避けられない業務になりつつあるといえるでしょう。
経管栄養や痰吸引を行うためには、スタッフが介護福祉士の資格(2015年度以降が対象)を取得するか、所定の研修を経て認定証を受理する必要があります。また、施設が登録事業者として認められていることも条件です。そのため、介護施設の経営者としては、医療行為を実施できるスタッフの採用や、既存スタッフの資格取得・研修の奨励、都道府県知事への登録申請などを行うことで、より充実した看取り介護サービスを提供できるようになるでしょう。なお登録事業者の要件として、医療関係者との連携体制や安全確保措置の確立が求められるため、こちらも合わせて進めていくことが大切です。
施設だけじゃない・・・在宅での看取り介護
看取り介護は、特別養護老人ホームや老人保健施設で多く報告されています。しかし、在宅介護サービスでも、看取り介護へのニーズがあります。厚生労働省によると、2015年時点で各都道府県の死亡者のうち8?16%(全国平均は12.7%)が自宅死です。また、「最期まで自宅で過ごしたい」という人は全体の約10%ですが、「自宅で療養して、必要になれば医療機関や緩和ケア病棟に入りたい」という人も合わせると、終末期に自宅で過ごしたいという人は約60%にのぼります。なぜ「必要になれば医療機関や緩和ケア病棟に入りたい」と思うかについては、「介護する家族に負担をかけたくない」「症状が急変したときへの不安がある」といった回答に集中していました。つまり、在宅の看取り介護によってこれらの不安が解消されれば、多くの人が最期まで自宅で過ごしたいと考えているとみてよいでしょう。
現に厚生労働省や各介護サービスでは、在宅での看取り介護体制の強化を目指しています。病院や在宅医療サービスと連携しながら、看取り介護サービスを充実させていく見通しです。施設と同じく、医療スタッフ不在時に介護スタッフが医療ケア、一部の医療行為を求められる可能性があるため、十分な研修が必要でしょう。介護施設では、ひとつの空間に関係スタッフが集まっているため情報共有や意思疎通がしやすいですが、在宅介護の場合は各スタッフの拠点がバラバラのケースもあるため、いっそう慎重な連携体制が求められます。
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