
介護職が安心して働ける看取り介護の指針とは

これまで病院で最期を迎えることが当たり前だった時代も、社会の高齢化が劇的に進むにつれて少しずつ変化を見せはじめています。特にここ数年は看取り介護の重要性がクローズアップされてきました。必要な医療を自宅や施設で受けながら馴染みの顔ぶれや環境に囲まれて最期を迎えことができる看取り介護は魅力的な選択肢ですが、問題がないわけではありません。とりわけ最期を看取る可能性が高い介護職にとっては、心理的に大きな負担となります。医療的知識が医療職に比べて少ない介護職でも安心してできる看取り介護の指針とはどのようなものでしょうか。
政府の目指す看取り介護の方向性
2015年の介護報酬改定によって、施設での看取り介護はこれまで以上に積極的に推し進められることになりました。看取り介護加算の見直しによって、死亡日以前30日から4日前までの報酬を1日あたり80単位から144単位へと大幅に増やしたのです。加算を算定するためには日々の記録や多職種間での連携などが必要とされますが、以前より看取り介護を行っていた施設にとってはすでに算定要件を満たしていることがほとんどであり、大きな労力をかけることなく収入増加を図ることができました。
一方、これまで看取り介護を行ってこなかった施設にとっても、2015年度の介護報酬改定は大きな転機となりました。2015年の全体改定率はマイナス2.27%であり、これまでと同じことをしていては減収になるのが目に見えています。今後ますます必要性が高まることも踏まえて、2015年度の改定前後から看取り介護を実施するようになった施設も少なくないはずです。
この方向性は今後も維持されていくと考えられます。現在特別養護老人ホームの利用は要介護3以上に限定されていますが、日常生活支援加算を算定するためには新規入居者の70%以上が要介護4以上、もしくは3b以上の認知症度が求められます。要介護度が上がればその分医療行為や看取りのニーズは高まるわけですから、医療職の配置率や看取り介護実施率への加算増額も検討される可能性は高いでしょう。施設にとって看取り介護はもはや「やって当たり前」のサービスになると考えられます。
介護職の心理的負担を減らせる指針とは
施設で看取り介護を行うことが今後は当たり前になっていくわけですが、問題は山積しています。1つ目は、必要な医療職の確保です。医師が常駐している病院や介護保険施設と異なり、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、それに現在急速に普及しつつあるサービス付き高齢者向け住宅(通称サ高住)などでは医師は常駐しておらず、定期往診に来るだけのケースがほとんどです。また、夜間帯の看護師の配置が義務付けられておらず、夜間帯は介護職のみの施設が大半を占めています。
このような状況下では、介護職にかかる負担は心理的にも肉体的にも大きくなることは避けられません。夜間帯に亡くなられた場合、少ない人員で多くのことに対処する必要があります。亡くなられた人のエンゼルケアだけではなく、ご家族への対応、それに他の人のケアといった通常業務も含めて、膨大な業務を1人もしくは2人といった少人数で行うことが求められます。心理的な負担も見逃せません。「自分が夜勤のときに亡くなった」と考えるのは、長年介護業界に身を置いているベテラン職員であっても嫌なものです。
看取り介護を継続して行うためには、実際にそれを担うことになる介護職への手厚い支援が欠かせません。ターミナル期に入ったら一時的に人員を手厚くする、看護師の夜間帯配置を行う、看取りにあたった職員の心理的フォローを定期的に行うといった施設の指針が重要です。看取り介護の指針は各事業所でホームページ上に公開されていますので、見比べてみるのもよいでしょう。
高齢者だけでなく・・・施設や職員が孤立しないために
近年では高齢者の孤独死が社会問題として大きく取り上げられています。地域社会で暮らしながら、亡くなったことに誰からも気づかれず、死後数日経って発見されるケースもあります。
高齢者の社会的な孤立は非常に大きな問題ですが、同時に施設や介護職員、介護をする家族も孤立させないための支援が必要です。誰かの最期を看取るということは、決して簡単なことではありません。その人に関する思い出や記憶をたくさん持っていればいるほどに、別れが辛いものになるのは専門職であっても同じことです。
政府は「地域共生社会」をキーワードにした社会の実現を目指しています。地域共生社会とは、その地域に住む人が障害者であれ、高齢者であれ、そして子どもであれ大人であれ、それぞれが役割を持ち、お互いを支え合う社会のことです。その中で介護職や施設が高齢者の看取りという役割を担うように、他の人々も高齢者や介護をする家族や専門職に対して、なんらかの役割を果たすことが求められます。家族であれば負担を分担したり、心理的なフォローをしたりすることもできるでしょう。では高齢者施設で働く職員に対して地域住民はなにができるのでしょうか。
数年前までは施設で高齢者が亡くなると、警察がきて事情聴取をするのが当たり前の風潮でした。それだけ施設で最期を迎えることが珍しいことだったのです。今時代とともにそうした風潮は変わってきています。この状況下で地域住民のより一層の理解と共感が得られれば、施設で働く人たちが孤立せず誇りを持って看取り介護を行えるのではないでしょうか。
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