
【2021年度(令和3年)介護報酬改定情報】看取りへの対応の充実について

2021年度介護報酬改定が実施され、その改定率は+0.07%となりました。今回の改訂は新型コロナウイルス感染症に対応するための評価も0.05%盛り込まれているなど、感染症や災害への対応力を強化する取り組みの推進が特長です。2021年度(令和3年)介護報酬改定の柱となる事項の1つに、地域包括ケアシステムの推進があります。この記事では、その中の具体策の1つである、看取りへの対応の充実について解説します。
【目次】21年度, 介護報酬改定, 施設系サービス, 居住系サービス, 看取り対応
1.地域包括ケアシステムの推進の概要
地域包括ケアシステムとは、利用者が住み慣れた地域で尊厳ある生活を送るために、必要なサービスを切れ目なく提供することを目的としたシステムです。2021年度(令和3年)介護報酬改定では、「認知症への対応力の向上に向けた取り組みの推進」、「 看取りへの対応の充実」、「 医療と介護の連携の推進」、「在宅サービスの機能と連携の強化」、「介護保険施設や高齢者住まいにおける対応の強化」、「ケアマネジメントの質の向上と、公正中立性の確保」、「地域の特性に応じたサービスの確保」の7種類の取り組みの推進を図っています。
2.看取りへの対応の充実
高齢社会を迎え、介護施設が増加している現在では、介護施設が看取りの場となる機会が着々と増えています。そのような看取り対応を充実させるべく、2021年度(令和3年)介護報酬改定では、次の8項目が改定されました。
2-1.看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実
基本報酬や看取りに係る加算の算定要件となる業務は、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインなどに沿った取り組みであること、またその内容を通知することがターミナルケアに係る算定要件として求められました。看取り期の本人・家族との十分な話し合いや、関係者との連携を一層充実させる観点での改定です。また、施設系サービスは、その計画の作成にあたって、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めること、その内容を運営基準の通知に記載することが算定要件として求められます。
2-2.特別養護老人ホームにおける看取りへの対応の充実
特別養護老人ホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算の算定要件の見直しが行われ、看取りに関する協議の場の参加者として、生活相談員を明記することが求められました。また、現行の死亡日以前30日前からの算定に加え、それ以前の一定期間の対応についても評価区分が新設されました。看取り介護加算(1)・看取り介護加算(2)ともに、死亡日45日前~31日前は1日につき72単位が加算されます。
2-3.介護老人保健施設における看取りへの対応の充実
介護老人保健施設における中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算の算定要件の見直しが行われ、看取りに関する協議の場の参加者として、支援相談員を明記することが求められました。また、現行の死亡日以前30日前からの算定に加え、それ以前の一定期間の対応についても評価区分が新設されました。死亡日45日前~31日前は1日につき80単位が加算されます。
2-4.介護医療院などにおける看取りへの対応の充実
基本的には、「2-1.看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実」にて対応が必要な算定要件に準拠しています。それに加えて、介護医療院サービスの施設基準(告示)における、ターミナルケア要件および通知についても、人生の最終段階における、医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインなどに沿った取り組みを行うことを通知する旨が求められました。
2-5.介護付きホームにおける看取りへの対応の充実
介護付きホームにおける、居住系サービスとしての中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算の算定要件の見直しが行われました。また、現行の死亡日以前30日前からの算定に加え、それ以前の一定期間の対応についても評価区分が新設されました。看取り介護加算が(1)と(2)に分かれたことは、大きなポイントです。既存の看取り介護加算が看取り介護加算(1)となり、新たに(2)も設けられたようなイメージです。看取り介護加算(1)は、看取りに関する協議の場の参加者として、生活相談員を明記することが求められます。また、死亡日45日前~31日前は1日につき72単位が加算されます。
看取り介護加算(2)は、加算単位が大きく増え、死亡日45日前~31日前 は572単位、死亡日30日前~4日前は644単位、死亡日前々日、前日は1,180単位、死亡日は1,780単位です。(1)の算定要件に加え、看取り期において、夜勤または宿直の看護職員を配置していることが求められます。
2-6.認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実
居住系サービスの中でも認知症グループホームは、これまで必ずしも人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインなどの内容に沿った取り組みを行う必要はありませんでしたが、2021年度(令和3年)介護報酬改定からは、準拠することが算定条件となりました。また、現行の死亡日以前30日前からの算定に加え、それ以前の一定期間の対応についても評価区分が新設されました。死亡日45日前~31日前は1日につき72単位が加算されます。
2-7.訪問介護における看取り期の対応の評価
訪問介護には、サービス利用の間隔を原則2時間以上空ける、「2時間ルール」が存在します。これまでは、前回提供した指定訪問介護から、おおむね2時間未満の間隔で指定訪問介護が行われた場合、緊急時訪問介護加算を算定する場合を除いて、それぞれの所要時間を合算していました。それが、2021年度(令和3年)介護報酬改定で変更され、看取り期の利用者に対しても所要時間を合算せずに、それぞれの所定単位数の算定をすることになりました。
身体介護中心型の場合、単位数は、20分未満で167単位、20分以上30分未満は250単位、30分以上1時間未満は396単位、1時間以上1時間30分未満 579単位です。以降は、30分を増すごとに84単位となります。生活援助中心型は20分以上45分未満が183単位、45分以上は225単位です。例えば、看取り期の利用者に、25分の身体介護を2回、1時間の間隔を空けて提供した場合は、合算せずに、それぞれ25分提供したものとして250単位×2回=500単位の報酬を算定します。
2-8.通所困難な利用者の入浴機会の確保
現行の基準では、利用者の負担によって、小規模多機能型居宅介護の一部を付添者などに行わせることがあってはならないとされています。しかし、2021年(令和3年)度介護報酬改定からは、小規模多機能型居宅介護事業者の負担による、訪問入浴介護などのサービス利用であれば、差し支えないということになりました。看取り期などで、多機能系サービスへの通いが困難となっても、居住系サービスによって、状態が不安定な利用者に入浴の機会を確保するのが目的です。
3.事業経営にかかわる「介護報酬」の最新の情報をチェック
2021年の介護報酬改定では、看取りへの対応の充実として8項目が改定されました。人生の最終段階における、医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインなどの内容に沿う旨を通知する点などは、多くの施設で共通ですが、大きな改定がある施設もあるため、最新の情報をチェックして事業経営に活かしましょう。資金繰りに不安がある場合は、介護報酬ファクタリングサービスも検討してみてください。
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厚生労働省は9月29日、市町村が運営する介護保険の「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)の基本的な考え方や具体的な方策を議論してきた検討会の会合で、地域住民を含めた多様な主体の参入促進を盛り込んだ中間骨子案を示した。骨子案では、地域全体がチームとなって展開することで、医療・介護の専門職が専門性を発揮しつつ、高齢者の状況に応じた必要な関わりを続けることが可能になるとした。
施設長は、介護職員にとっての終着点ではありません。つまり、これまでご説明したような施設管理ができて、地域に向けた営業活動さえできていればよい、ということではないということです。そこはあくまでも通過点であり、次のステップとして目指すべき先を見据えていくくらいでなければ、施設長としての成長は止まってしまいます。
日本認知症グループホーム協会は、27日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会のヒアリングで、認知症ケアの評価の充実や入居者の重度化に対応した手当の検討などを要望した。
2024年度の介護報酬改定に先立ち行われた関連団体へのヒアリングで、訪問介護員(ホームヘルパー)などで構成する団体が、看取りを行う際に職員も大きな精神的負担を感じているとして、訪問介護においても看取りケアへの加算を創設するよう要望した。日本ホームヘルパー協会と全国ホームヘルパー協議会が、27日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会で求めた。
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