
リハビリテーションを提供する際は注意!PT等の訪問看護の変更点について

2021年度の介護報酬改定によって、訪問介護にかかわる基本報酬の引き下げや書式変更などが行われました。特にPT等(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)を抱えている事務所にとっては、どのような影響がでるのか把握しておかなければなりません。この記事では介護報酬改定の変更点について解説するとともに、看護師が少なく、PT等の配置割合が極端に多い事業所の注意点についても詳しく解説します。
PT等の訪問看護, リハビリテーション
1.基本報酬が引き下がった?2021年度介護報酬改定について
2021年度の介護報酬改定で特に訪問介護を実施している事業所が注意しておきたいポイントは、PT等への基本報酬や書式に変更があることです。以下の段落では、2021年度介護報酬改定で見直された内容について、さらに詳しく掘り下げて解説します。
1-1.リハビリテーションの基本報酬引き下げ
2021年度の介護報酬改定では訪問看護と介護予防訪問看護において、機能強化することを目的として見直しが行われています。高齢化が進み、地域包括システムの整備が求められている現状にあって、機能強化型訪問看護ステーションが全国でも増える傾向です。しかし、まだまだ看護師の配置が十分ではなく、主にPT等が訪問看護に従事している事業所が少なくありません。実際に看護師の割合が少ない事業所では重症者の受け入れやターミナルケアの実施数が少ない傾向にあり、質の高い訪問看護を実施できる事業所が求められています。
以上のような状況を受け、PT等の訪問看護に関して基本報酬が引き下げられることが決まりました。改定前はPT等が行う訪問看護費は297単位でしたが、改訂後は293単位となり、4単位減ります。介護予防訪問看護費についても、改定前の287単位から改訂後は4単位減って283単位になります。加えて1日に3回以上、介護予防訪問看護を実施するときの評価も10%の減算から50%の減算です。
また、2021年度の介護報酬改定ではリハビリテーションの基本報酬について、あらたに新設された内容もあります。PT等による介護予防訪問看護のサービスを受けた場合、利用開始日の月から12カ月を超えた利用者に対しては介護予防訪問看護費が5単位減算されることになりました。
1-2.訪問看護報告書に別途資料が必要
2021年度の介護報酬改定では訪問介護の質をより高めることを目的として、訪問看護報告書を記載する際に追加事項が用意されたことにも注意しなければなりません。改訂後はPT等が訪問介護を実施した場合、「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の詳細」通称「別添」と呼ばれる資料の添付が必要とされるようになりました。
別添には「利用者氏名」や「日常生活の自立度」「認知症高齢者の日常生活自立度」のほか、PT等が行った訪問介護の具体的な内容の記載も必須です。日常生活の自立度と認知症高齢者の日常生活自立度は、状況に当てはまるランクを選んで丸で囲みます。訪問介護の内容としては、家族に対して行った指導やリスク管理などを記載します。例えば歩行時のふらつきがある脳疾患に対して歩行訓練やバランス訓練、筋力トレーニングを行い、転倒のリスクを考えて外出時は車椅子を利用することを家族に指導したなどです。
さらに評価を記載する欄があります。大きく「活動」と「参加」「看護職員との連携状況、看護の視点からの利用者の評価」の3項目あり、活動と参加はさらに細かく項目が分かれています。活動の項目では食事や移乗、トイレ動作や入浴などの日常生活動作の自立度を評価して合計点を出し、必要に応じて備考欄に記載しましょう。それ以外の欄は利用者の状況を記載します。最後にある「特記すべき事項」には定期訪問日時のほか、主治医に報告すべき最近の状態など特記すべき内容があれば記載しておきましょう。
1-3.訪問看護指示書の変更
2021年度の介護報酬改定では訪問看護指示書の様式も変更になりました。新しい様式の適用は2021年4月1日からです。2021年3月31日以前に交付されているものについては再交付する必要がありませんが、4月1日以降に交付する場合は新しい様式の指示書を用いなければならなくなっています。訪問看護でリハビリテーションを実施する際、訪問看護を行うのが誰なのか、(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)該当する職種を記載する欄が追加されました。
加えて介護保険の訪問介護を行う場合は、1日あたりの介入時間や週何回などの頻度も記載しなくてはなりません。従来ならば訪問介護でPT等が介入する時間はケアマネジャーと相談して決めればよかったですが、新しい訪問看護指示書では医者の指示を仰いだうえで、介入時間や訪問回数などを調整する必要があります。指示書の発行は長ければ1カ月かかることもあり、万一ミスがあればケアが必要な利用者へのサービス提供がスムーズにできないなど、支障が出る可能性もあります。
機能強化型の取得が不可?PT等の配置割合が多い事業所の注意点
医療的なケアが不十分であるという理由から、PT等が実施する「週4日目以降」の訪問介護は訪問看護療養費が抑えられる傾向です。メンバーの大半をPT等が占め、看護師が少ない事業所は訪問看護ステーションであるにもかかわらず、存在が問題視されています。そのため、24時間対応可能な機能強化型訪問看護ステーションの整備が進むなか、看護師の割合が少なければ機能強化型の取得ができなくなる基準が設けられつつあります。
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