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高度な専門性が必要!?社会福祉法人における新会計基準とは?

2016-08-29
高度な専門性が必要!?社会福祉法人における新会計基準とは?

社会福祉法人における会計基準は、一般企業と異なる点が多々あります。平成24年4月から適用された新会計基準によって、その傾向はより顕著になったといえるでしょう。では、新会計基準はこれまでの会計基準とどのような点が異なるのでしょうか?

これまでの会計基準と新会計基準の大きな違いは?

社会福祉法人は地域の社会福祉を担う大切な存在であり、公益性の高い事業を行う法人でもあります。そのため、事業内容には一般企業以上に透明性や明確性が求められることとなります。法人全体の中でも公益事業と収益事業を明確に分割することが求められますし、収益性や効率などの経営実態を明らかにすることも必要です。そのような背景を受けて、平成24年4月から適用し、27年3月31日までに全社会福祉法人が移行することが求められているのが、新会計基準と呼ばれるものです。これまでは社会福祉法人の枠内でも運営施設によって、適用する会計基準が異なる問題がありました。その結果、複数の会計基準が併存する、計算処理結果が異なる、勘定科目の名目が異なる、法人全体での財務諸表の一元管理が難しいなどの問題が出てきていました。こうした問題を解決するために導入されたのが新会計基準です。煩雑になった事務処理を一度簡易化してしまおうというのが、新会計基準の目的といえるでしょう。

では具体的にどのような点が変更になったのでしょうか?まずは適用範囲です。新会計基準では、社会福祉法人が行うすべての事業が適用範囲となります。その背景には、公的資金を受け入れていることも要因に挙げられるでしょう。より明確かつ効率的な事業運営が、半公的な事業主である社会福祉法人にも求められる時代になったのです。すべての事業とは社会福祉事業、公益事業、収益事業のすべての分野を指します。

また区分方法の変更も大きな変更点といえるでしょう。法人全体を社会福祉事業、公益事業、収益事業に区分し(事業区分)、そこからさらに拠点区分(施設や事業所ごと)に分割します。そこからさらに拠点ごとに、実施する事業別(入所介護、通所介護、短期入所生活介護など)に区分するのが、サービス区分です。以上の区分を行った上で、各区分に財務諸表の作成が求められます。面倒なようにも聞こえますが、これによって各事業所や拠点ごとの収支が明確になり、どの事業で効率的な運営がなされているのか、わかりやすいというメリットがあることも見逃せません。

社会福祉法人における税制の特例について

さて、新会計基準について基本的なことを紹介したところで、次に社会福祉法人における税制の特例について見てみることにしましょう。社会福祉法人は一般的な営利企業に比べると、税制面で大規模な優遇措置が受けられるのが特徴です。このメリットは莫大なものであり、経営者が儲けを最優先にすれば一般企業よりも容易に利益を上げることが可能でしょう。近年特養などの施設における内部留保が大きな問題となっているのも、税制面での優遇措置が大きな役割を果たしていることは間違いありません。

具体的な税制優遇措置を見てみましょう。まずは法人税。法人が得た各事業年度の所得にかかる税金であり、事業を営む上では避けては通れない税金といえるでしょう。ですが社会福祉法人においては、収益事業にかかわる所得以外は課税されません。少し大げさな表現をしますが、公益事業や社会福祉事業でいくら儲けようが税金がかからないというわけですね。儲けたお金がそっくりそのまま手に入るわけですから、内部留保の額が大きくなるのも頷ける話です。

特例はこれだけではありません。他にも様々な税金が非課税扱いとなっています。代表的なものだけでも、消費税、市町村・都道府県民税、固定資産税、不動産取得税など。一般企業であれば決して安くない金額を支払う必要のあるこれらの税金が、すべて免除されているのですから、社会福祉法人がいかに税制面で優遇されているかがおわかりいただけるのではないでしょうか。

会計事務所の選定ポイントと経営者の心得

ここでは会計事務所を選ぶ際のポイントと経営者の心得を確認しておきましょう。社会福祉法人の会計基準は一般企業と大きく異なるため、会計事務所の中でも社会福祉法人を専門もしくは重点的に扱っているところを選ぶ必要があります。その上で、旧来の会計基準も理解している会計事務所であれば、従来の会計に慣れた経営者にとっても心強いかもしれません。

最後に経営者としての心得を。社会福祉法人は利益を上げることが主たる目的ではありません。公共の福祉に益すること、これこそが本来の目的であり、その役割といえるのです。利益を上げることに躍起になっていると、社会のセーフティネットとしての役割が果たせなくなってしまいます。自分たちに与えられた責務とはなにか、自分たちの仕事が社会を良くしているか、常日頃から見つめ直す癖をつけておきたいものです。

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