
就労継続支援事業に参入する前に知っておきたいこと

一般的な企業への就労が難しい人に対し、働く機会を提供する「就労継続支援事業」。この事業は、障害のある人に働く場を提供するとともに知識や能力の向上のために必要な訓練を行うものです。事業への参入を検討しているなら、事業の内容や障害者総合支援法に定められている要件などを知っておくといいでしょう。この記事では、就労継続支援事業の種類や、事業参入に必要な書類といった具体的な情報を紹介していきます。障害のある人が就労できるように貢献する、大切な事業であることを認識して参入することをおすすめします。
就労継続支援には2種類ある!
就労継続支援事業にはA型とB型の2つの種類があるので、それぞれの事業内容を把握しておきましょう。どちらの事業も通常の事業所で雇用されることが困難な人に対し、能力に応じた就労の機会を提供する点では同じといえます。大きな違いは、A型は利用者が事業所と雇用関係を結びますが、B型では雇用関係を締結しません。これは、B型の利用対象者は雇用関係を結ぶことが困難であるためです。「就労継続支援A型」は、利用者が事業所と雇用契約を結び給与を得ながら利用する事業です。障害のある人が働きながら一般の企業への就労を目指すもので、この事業の利用者へ支払われる賃金は「最低賃金以上」と定められています。就労継続支援A型事業所の利用者が得た賃金は、2012年度の全国平均額では1カ月に6万8000円程度でした。
「就労継続支援B型」では、利用者がA型事業の利用や自立して就労することを目指し、福祉的な就労の機会を提供する事業を行います。利用者には、心身に障害のある人や家庭の事情などにより就労が困難な場合に通所する「授産施設」と同じ程度の工賃が支払われます。就労継続支援B型事業所の2012年度における全国平均賃金は、1カ月に1万4000円程度でした。就労継続支援事業はA型とB型の2種類に分けられていますが、基本的な支援内容にはほとんど変わりがありません。A型が雇用契約を結び就労の機会を提供されるのに対し、B型の方が訓練やリハビリといった意味合いが強い点が異なるだけと捉えておくといいでしょう。
就労継続支援の指定申請に必要な要件とは?
就労継続支援事業へ参入するための必要な要件は何があるのでしょうか。事業を始めるための要件はA型・B型でほとんど変わりはありません。まず、障害者総合支援法では「法人格」を持たなければ指定申請ができないとされています。法人格には、株式会社や社団法人、社会福祉法人、NPO法人などがありますが、同法では特に法人の種類は問われていません。ただし、地域によっては「障害福祉サービス事業を始める場合はNPO法人のみ」としているところもあります。就労継続支援事業へ参入する場合は、事業を開始する予定の自治体へ確認しておくといいでしょう。
次に必要な要件は人員基準で、事業所には常勤の管理者が1名必要です。管理者の条件は「社会福祉主事任用資格を持っている」「社会福祉事業へ2年以上従事」「会社経営の経験があること」です。ほかに、事業所には職業指導員と生活支援員、サービス管理責任者が必要とされています。そして、事業所の支援サービスを受ける利用者は10人以上でなければなりません。事業所の設備基準としては、訓練や作業をするために広さが十分あり支障をきたさないことが要件です。訓練や作業に機器や器具が必要な場合は備えなければなりません。また、利用者が使用しやすいトイレや洗面所、相談室や多目的室が必要とされています。
就労継続支援事業を始める場合は、運営基準も定めておく必要があります。運営基準の内容には、「事業の目的と運営の方針」「職員について」「利用定員」「営業日と営業時間」のほか、事業所運営に関わる重要事項があるので確認することをおすすめします。
就労継続支援事業参入に必要な書類は?
就労継続支援事業に参入するためには、多くの書類が必要です。自治体により申請書や必要書類が異なる場合もあるので、事業を始める地域の役所で確認するといいでしょう。主な必要書類には何があるのかを以下に挙げていきます。まず、A型とB型それぞれの「指定申請書」への記入が必要です。申請書への記入をする際には、「すべての項目へ記載できたか」「代表者の住所について事業開始日や事業所の種類が記載されているか」を確認しなければいけません。「指定にかかる記載事項」には、利用定数などの必要要件を記入します。「管理者やサービス管理者の欄に記載漏れがないか」「職員の職種や合計人数が合っているか」を確認して提出すると手続きがスムーズでしょう。
また、申請する法人の「定款または寄附行為および登記記載事項証明書」が必要です。管理者やサービス管理者の経歴書、事業所に所属する職員の「勤務体制・形態一覧表」「組織体制図」も必要なので準備しておきましょう。そのほかの必要な書類には、各室の用途や面積を記載した「平面図」「設備・備品等一覧表」があります。「運営規程」「資産状況」「医療機関との契約内容」についても記載して提出しなければなりません。就労継続支援事業を始めるにあたり必要な事業計画書(事業開始後1年間)や、収支予算書(事業開始後1~3年間)なども重要な提出書類でしょう。
就労継続支援事業参入には多くの必要書類があることが分かりました。スムーズに事業所を開設するためには、ひとつひとつの書類を確認し記載漏れや提出不足のないように確認しながら進めていくことが大切です。就労継続支援の事業型を正しく把握してから、就労継続支援事業の指定申請の要件を満たし事業参入を目指しましょう。
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