介護事業経営支援サイト「けあコンシェル」
けあコンweekly記事

ニーズが高まるグループホーム!経営のための基礎知識と今後の課題

2016-08-01
ニーズが高まるグループホーム!経営のための基礎知識と今後の課題

高齢化社会が進むにつれて、介護事業に対するニーズも多様化してきています。その中のひとつに認知症の高齢者が安心して暮らせる施設というのがあります。日本人の寿命が延びるにつれて認知症を患う人の数も増えており、そうした方を受け入れる施設として通常の老人ホームでは十分とは言い難いというのが現実です。そこで、注目されているのが、グループホームの存在です。一体、グループホームは老人ホームとは何が違い、経営を行うにはどのようなことに気をつければよいかなどについて解説をしていきます。

グループホームの在り方と介護保険制度

グループホームが通常の老人ホームと異なるのは、入居者が認知症と診断された高齢者に限定されている点です。しかも、少人数で共同生活を送るために、家庭での介護は困難が伴うけれど、身の回りのことは概ね自分で出来るという中程度の認知症高齢者が対象となります。したがって、暴力的な傾向が強かったり、自傷行為を繰り返したりして共同生活が困難な場合は入居を断られる場合があります。グループホームは、介護職員の助けを得ながらも、なるべく一般家庭に近い雰囲気で日常生活を過ごすことにより、症状の改善や進行の予防を図る施設です。認知症高齢者受け入れ施設ではなく、一種のリハビリ施設だと考えてください。

また、家庭的な雰囲気を何より大切にし、プライベートの空間も確保することで認知症高齢者の尊厳を重んじるのもグループホームの特徴だと言えるでしょう。介護保険制度に関しては、医師の診断で認知症であると確認され、要介護1以上ならば保険給付の対象となります。

ただし、介護保険適用となるのは全国一律で費用が決まっている介護サービス費とそれに伴う加算費のみで、家賃、食費、光熱費などの生活費は保険適用外です。介護サービス費は介護レベルが高いほど高額になり、負担割合は利用者の所得額に応じて1割もしくは2割となっています。そして、それらをすべて含めた支払い額は、施設によっても異なりますが、おおよそ月々20万円前後というのがひとつの目安となります。

グループホームの人員基準と設備基準とは

グループホームではひとつの住居を1ユニットとして数え、そこに入居する認知症高齢者は9人以下と定められています。これは、認知症の方は多人数とコミュニケーションを図るのが困難なためです。そして、スタッフの人数ですが、人員基準では入居者3人に対して1人以上の介護職員を配置することとなっています。例えば、入居者が9人ならば介護職員は3人以上必要です。ただ、午後6時~午前6時の夜間に限っては、入居者の人数に関係なく1名以上配置となっています。この時、職員は通常勤務を行う必要があり、宿直勤務としての配置しかなされていない場合は、人員基準違反となるので気をつけてください。

またその他に、住居ごとに常勤管理者と計画作成担当者の配置が必要です。両者は厚生労働省指定の研修を受講する必要があり、常勤管理者になるには、さらに認知症介護の経験が3年以上なければなりません。なお、このふたつの役職は入居者の介護に支障がでない場合においては、兼任が認められています。

そして、介護業務か介護事業に従事し、厚生労働省指定の研修を受講した者が事業の代表者となる必要があります。次に設備基準ですが、ひとつの事業所における共同生活住居は最大2ユニットまでです。住居は定員5人以上9人以下で、自室、リビング、キッチン、食堂、浴室、面談室、事務室などの入居者が生活と営み、職員が業務を行うための十分な設備を備えていなければなりません。

ただ、リビングと食堂は兼用でも大丈夫です。個室は4.5畳以上のものを一人につきひと部屋ずつ用意します(夫婦の場合はふたりで1部屋でも可)。また、自室には廊下、リビング、食堂といった共用スペースに直接つながっている出入り口が必要です。

グループホーム経営のトレンドと将来ニーズ

介護施設を経営していく上で、大きな課題のひとつが人件費です。人員基準では入居者に3人につき介護職員ひとりを配置すればよいことになっていますが、これだけの人数では介護の手が行き届かない場合が多々あります。中には入居者ふたりに対してひとりの職員配置を基準にしている施設もあるくらいです。

しかし、そうなると人件費によって経営が圧迫され、赤字の原因となります。そこで最近増えているのは、2つの住居を同時に管理する2ユニット経営です。これならば職責の兼任が認められているため、人員配置を工夫することで人件費を抑えられます。

さらに最近では、看護師の24時間体制を導入する施設が増えています。入居者の高齢化のために医療措置が必要なケースが増大しているからです。24時間看護師を配置すれば、それこそ人件費の高騰につながるのではと思うかもしれませんが、24時間体制というのは看護師が24時間勤務しているのと違います。看護師と24時間連絡が取れればいいのです。例えば、昼間は職員の看護師が対応し、夜間は訪問看護サービスに業務委託して医療連携加算がつく体制を整えれば経営者側の負担は軽くすみます。

認知症を伴う高齢者の数は増加する一方で、グループホームのニーズはますます高まっています。将来においてもその需要が減ることはまずないでしょう。しかしその一方で、入居者の高齢化が顕著につれて医療措置が必要となった方の退去をお願いするケースが増えており、大きな問題になっています。グループホームは医療施設ではないのでしょうがないとはいえ、追い出すような形になっては悪い噂が広がりかねません。それを避けるためにもこれからのグループホーム経営には、看護師の配置などを含め、いかに充実した医療体制を敷くかが課題となってきます。

リコーリースの介護報酬・障がい福祉ファクタリングは、“負債”扱いにならずに“早期”資金調達ができる介護事業、障がい・福祉事業者向けの金融サービスです。最短5営業日で資金化も可能。サービスの詳細は下記バナーをクリックください。

介護報酬・障がい福祉ファクタリングを見る

けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。

新規会員登録をする
他にもこんな記事があります

2024年5月、国会で可決・成立した育児・介護休業法の主な改正点について教えてください。

厚生労働省は9日、クラウドを活用した介護保険総合データベース(介護DB)のデータ利用に関するガイドラインの改正案を「匿名介護情報等の提供に関する専門委員会」に示した。介護DBのデータをクラウド上で分析可能にするプラットフォーム「HIC」の利用受け付けを12月から開始するのに伴い、用語の定義や介護DBのデータ利用期間の上限など、手続きに関して必要な事項を追記した。

東京商工リサーチ(TSR)は6日、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が1月から8月末までに計114件あったと発表した。このペースで推移した場合、倒産件数は年間170件超に上ると見込まれ、最多を記録した2022年の143件を大幅に更新する可能性があるとしている。

厚生労働省は5日、介護従事者の処遇改善が進んでいるかを明らかにするために行う調査について、紙ベースでの回答の期限は10月31日、インターネットで回答する場合は11月7日とすることを都道府県などに周知した。同省では調査に協力するよう施設や事業所の関係者に呼び掛けている。

前項までにおいて、営業手法の具体的内容について触れましたが、実際には営業は相手があって成り立つものであり、こちらからの一方的な伝達ではいくら良いものを持っていたとしても興味を持たれません。ここでは窓口担当者の分析を行いながら、間接営業の肝である紹介者との信頼関係の構築に繋がる施策について考えていきます。

けあコンシェルには、こんなサービスがあります
>>その他サービスを見る

早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。

ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。

車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。

商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。

利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。

2024年度介護報酬改定~意見交換会
をダウンロード
介護保険制度の見直しをダウンロード
感染症や災害への対応力強化へ!BCP 業務改善計画とは?をダウンロード
ヘルスケア・マネジメント.com
ガソリン給油カード、入会金年会費無料

ページトップへ戻る