介護も差別化の時代!?保険外サービスが経営を左右する?
介護保険制度が導入されて10年以上が経過しました。その間多くの紆余曲折がありましたが、今ではサービスとして要介護者、ひいては高齢者の暮らしになくてはならないものとなりつつあります。現在では介護保険サービスのみならず、介護保険外サービスも数多くの企業が参入し、その幅を広げています。今後ますます拡大することが予想される、介護保険外サービスについて見ていくことにしましょう。
介護における保険外サービスとはどんな内容?
介護保険外サービスと一口にいっても、その内容は実に多岐に渡ります。参入している企業も、介護事業所のみならず、飲食業界、新聞業界など多種多様。では代表的なサービスには、どのようなものがあるのでしょうか?
現在最も広く使われている介護保険外サービスとしては、宅食サービスが挙げられるでしょう。高齢者向けの食事を、希望の曜日と回数に合わせて宅配してくれるサービスです。介護保険サービスが普及する以前からデリバリーサービスは存在しましたが、高齢者の増大に連れて、これまで以上にニーズが高まってきたといえるでしょう。飲食業界だけでなくコンビニ業界も参入しており、競争は激化しています。
新聞配達員による見回りサービスも、注目を集めているサービスの一つ。高齢者の孤独死が問題となっている中で、新聞配達員は毎日家々を見回る、地域福祉にとって大きな存在となりつつあります。毎日取り込まれていた新聞がある日突然郵便受けに溜まったままになっているのを発見した。その後早急に地域包括支援センターに連絡を入れたことで、自宅で倒れている高齢者を発見することができた。そんなケースも出てきています。
痒いところに手が届く!保険外サービスの満足度
先に紹介したものは、介護保険事業所以外の行う保険外サービスですが、保険事業者が行う、あるいは事業者と連携して行う、介護に密接したサービスも生まれてきています。例えば、ホームヘルプサービスと家政婦サービスを連携させたもの。これまでの保険内サービスでは要介護認定者に関わる家事しかできなかったものが、家政婦サービスを組み込むことで、その人だけでなく家族のこともまとめてすることができる。そんな痒いところに手の届くサービスが、現在全国各地で広がりつつあります。
また現在の介護保険は、「介護が必要な人のケア」から「予防して介護が必要な人を減らす」方向へ大きく舵を切っています。それに伴い、介護予防に関するさまざまな事業が生まれてきているのは、多くの方が実感しているのではないでしょうか。これまでの高齢者向けデイサービスといえば、塗り絵をしたり、昔の遊びをしたりと、どこか子供っぽいイメージの抜けない場所でした。ですが最近では、高齢者自身もまだまだ心身ともに若々しく、子供の遊びではなく、大人のレクリエーションを求める傾向にあります。そうした高齢者が自発的に集まるスペースが誕生しているだけでなく、高齢者を対象とした介護予防ジムなども生まれています。介護事業者と提携して行っているジムであれば、万が一介護が必要になったときにもスムーズに移行できる、という安心感もありますよね。
保険外サービスは数多く存在するため、顧客満足度が大きな鍵を握っています。満足度が低ければ、次からは使ってもらえず、別の業者に取って代わられる厳しさがあります。もちろんそれは介護保険サービスでも同様ですが、競争が激しいだけに同じような感覚でいては痛い目を見ることになるかもしれません。
QOLの向上が鍵!保険外サービスの課題と将来性
今後保険外サービスはますます広がりを見せていくことと思われます。その最大のメリットは、介護保険制度に左右されないこと。その時々の政策の変化によって、収入が大きく変化するのが介護保険事業。今後介護保険の財政はますます厳しくなることが予想されており、介護保険に依存した収益構造では、大きな政策の変化に対応できません。安定した収益を上げるためには、保険外サービスを上手く展開させることが、今後の事業者にとっては必要不可欠となるでしょう。
もちろん介護保険外サービスにもデメリットは存在します。一番は競合他社が多いこと。介護保険事業に比べて参入障壁が低いため、現在でも大小問わず数多くの企業がこの分野に参入しています。介護保険事業所を経営しつつ、保険外サービスへの参入を検討しているのであれば、介護保険内サービスとの継続性や、保険内サービスでカバーできない部分、痒いところを的確に掻くことのできるサービスを考える必要があるでしょう。保険内サービスと保険外サービスの組み合わせで、最大限に力を発揮するもの。これまで保険内ではできなかったサービスを行うことで、利用する人のQOLが向上すれば、福祉に携わるものとしてこれに勝る喜びはありませんよね。そのようなサービスを見つけることができれば、地域社会へ貢献できるだけでなく、事業として大きく発展する可能性があるのではないでしょうか。
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