
2018年の介護報酬改定の概要

2018年度に迫っている次回の介護報酬改定は6年ぶりの診療報酬とのW改定ということもあり、2025年問題に向けた最後の大改定といわれています。これによって、介護保険サービスの利用者のみならず、介護保険事業者にとっても大きな変化がもたらされるはずです。事業所によってはこれまでの経営方針から大きく舵を切ることも余儀なくされるかもしれません。国民の生活全体に大きな影響を及ぼすと考えられる、2018年の介護報酬改定の概要についてみてみましょう。
将来的な給付抑制の布石?2018年介護報酬改定の概要
事業者にとってもっとも気になるのは、介護報酬改定率でしょう。前回2015年度の介護報酬改定が全体で2.27%のマイナス査定でした。これまでの傾向を考えると、2018年度の改定もマイナス査定になる可能性が非常に高い状況です。背景には非常に厳しい介護保険財政があるのに加え、前回改定後も高い収支差率を保っている介護サービスの存在があります。
これまで介護サービス業界の収支差率は、全産業平均の4%を大きく上回る8%程度の高い数字を維持してきました。それが前回の改定によって、介護業界全体では4%程度まで落ち着いたとされています。それでも在宅サービスの訪問介護や通所介護は平均5%超の数字を残しており、今回の改定ではこの部分にメスが入るのではと予測されているのです。
事業所にとっては厳しい状況が続きますが、介護保険サービスの利用者にとっても他人事ではありません。2018年度の改定より「自立支援介護」のキーワードをもとに、よりいっそうの軽度介護者外しが進められると考えられています。これまで介護保険サービスの対象であった要介護2までの軽度要介護者を、介護保険の給付対象から外すという案が審議されています。2018年度の改定で給付対象から外れることはないと予測されていますが、現在軽度要介護者へのサービスは市町村の総合事業へと移されています。今後どのような形で提供されることになるのか、その道筋が明らかにされるかもしれません。
財政的インセンティブ…市町村の保険者機能強化で事業所の対応は?
これまで以上に大きな役割を果たすことになりそうなのが、保険者である市町村です。これまで市町村が指定拒否できるサービスは訪問介護および通所介護の2種類のみでしたが、2018年度以降は短期入所生活介護や地域密着型通所介護に関しても指定を拒否する権限が与えられるようになります。これによって介護事業所の乱立を防ぐだけでなく、供給が需要を生み出すといった歪な状況を是正する狙いがみてとれます。
財政的インセンティブの導入も見逃せません。市町村が策定している介護保険事業計画に「自立支援等施策」が追加され、要介護状態の維持や改善度合い、給付費の削減目標などの目標や取り組みを記載するようになります。達成の度合いに応じて国から交付金が支給される仕組みです。
今後市町村は「要介護度が下がる(低い)地域」であることを内外的にもアピールしていくことになるでしょう。当然ながらその目標達成を手助けするような事業所が歓迎されます。具体的にはリハビリ関連事業、通所リハビリサービス(デイケア)の役割拡大や、地域ケア会議へのリハビリ専門職の参加などが挙げられるでしょう。とりわけ現在のデイケアは、通所介護サービス(デイサービス)との違いが見えにくいと指摘されています。改定後はデイサービスに類似したデイケアは、サービス内容の変更もしくは事業所の閉鎖を余儀なくされるかもしれません。また、リハビリに特化した短時間デイケアの増加も予測されています。
大テーマは「地域共生」
2018年度の介護報酬改定の概要として見逃せないのが「地域共生」のテーマです。高齢者に限らず障害児・者や子ども、それに大人も含めて地域のあらゆる住民が役割を持ち、支えながら活躍できる地域を実現することが目標として掲げられています。
その一環として、2018年度から「共生型サービス」が創設されます。これはすでに介護保険サービス事業所の指定を受けている事業所が、障害福祉サービス事業の指定を受けやすくしたり、介護保険の通所介護と障害福祉の放課後デイサービスの一体的な運営を可能にしたりするものです。この制度が洗練されていけば、現在課題となっている障害者の高齢化問題、つまり障害福祉サービスを受けている人が年齢を重ねて要介護状態になるにつれて、住み慣れた障害者施設から高齢者施設への引越しを余儀なくされるといった問題も解決されるかもしれません。
また、これまであった介護療養型医療施設は2017年度末で廃止になります。変わって2018年度からは介護医療院が新しいサービスとして開始される予定です。名前を変えただけとも受け取れますが、生活施設としての機能を備えている点で従来の療養型施設とは異なります。このサービス創設によって、24時間医療的な処置を受けられる環境がありながら、住み慣れた地域で生活を継続するという目的を果たす見込みです。
地域共生社会と口にするのは簡単ですが、実現にはさまざまな困難が伴います。2018年度の改正はそうした社会を実現するための第一歩といえるかもしれません。
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