特定施設入居者生活介護の指定を受けるために必要な運営・設備基準とは?
老人ホームを運営するにあたり、要介護や要支援の方をお世話するには特定施設入居者生活介護の指定が必要です。日常生活のお世話や機能訓練などを行う場ですから、厚生労働省の定める基準を満たす必要があります。人を預かる場所ですから、その基準は細かく指定されており、すべてきちんと満たしていなければ特定施設と認めてもらえません。必要な運営基準と設備基準について、それぞれ詳しくご紹介しますので参考にしてください。
特定施設入居者生活介護を行うためには都道府県の指定が必要!?
特定施設入居者生活介護は要支援または要介護の高齢者の方々が、毎日を生き生きと自分らしく生活するための支援をする場です。地域包括ケアという言葉もあるように高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らしていけるようにサポートする制度は非常に重要とされています。老人ホームは医療施設でないものの支援や介護を必要とする人たちの生活に関わるため、法律に基づいた基準を満たしておく必要があります。これらは都道府県の知事から指定を受けることができ、新規に有料老人ホームを開設する数の制限などを設けている都道府県もあります。
老人ホームの役割としては、当然入居者のサポートを行うのですが、家に居ながらにして介護などを必要としている方のサポートも行うものもあります。これらは老人ホームでなくても、そのようなサービスを行っている業者が存在します。しかし、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設であれば、介護保険の適用となるため実質負担が軽くなり、備品の貸し出しなども低価格で可能となります。本人負担は1割または2割で済みますし料金体系もほとんど同じであるため、高齢者の方にも分かりやすく認知度アップにもつながるのです。
サービスを受ける側としては、なるべく出費は抑えたい場合は特定施設のサービスを選ぶことが選択肢のひとつになります。そのため都道府県知事からの指定を受けておくことは運営側にとっても非常にメリットとなるでしょう。また、指定を受けていない老人ホームは住居型老人ホームというくくりになります。
条件1 人員や設備基準
それでは、厚生労働省の定める人員や設備基準について見ていきます。
- 人員基準
施設の管理者は常勤で1人以上必要です。ただし、他の職務と兼務可能になっています。生活相談員は、要支援者と要介護者合わせて100人に対し1人以上必要です。看護職員と介護職員は、要支援者10人に対して1人以上、または要介護者3人に対して1人以上必要で、看護職員は要支援者と要介護者合わせて30人に対して1人以上必要です。ただし、要支援者と要介護者合わせて50人以上の場合は50人ごとに1人以上必要となります。機能訓練指導員は1人以上必要ですが、他の職務と兼務可能となっています。計画作成担当者は、要支援者と要介護者合わせて100人に対し1人以上が必要です。 - 設備基準
介護居室は、個室または4人部屋以下であり、プライバシーに配慮され、介護ができる適当なスペースがないといけません。地下でなく緊急時に避難できる広場や廊下に対して少なくとも1つ以上の出入り口が必要です。一時介護室は、介護を行うために必要なスペースを確保しておくことが必要となります。浴室は、身体の不自由な方が入浴するのに適しているもの。便所は、居室のある階ごとに設置し、緊急避難時用の設備を備えておかなければいけません。食堂や機能訓練室は、要支援または要介護の方が機能を十分に発揮できる適当な広さを確保しておきます。施設全体を通して、利用者が車いすでスムーズに移動できる空間と設備を整えなければいけません。 以上の基準すべてを満たした施設のみ、特定施設として指定されることができます。
条件2 細かな運営基準
運営基準は老人ホームを営んでいくうえで必ず守らなければならない老人ホームであるための基準です。有料老人ホームでは現物給付は利用者の同意が条件であり意思を確認しなければなりません。そのうえで利用者が選択した介護などの費用支払いを受けることができます。また、利用料の一部として費用基準額から現物給付額を控除した額の支払いを受けることができます。
トラブルにもなりやすい身体拘束については利用料や他の利用者などの生命や身体を保護するためとして緊急を要しない限り身体的拘束などを行うことはできません。もし身体的拘束などを行う場合には、その時間や理由などを記録しておく必要があります。職員向けの運営基準として計画作成担当者は「利用料や家族の希望」「アセスメントに基づいたサービスの目標や達成時期」などを含めた案を作成が重要です。作成した案を利用者または家族に対して提示し同意を得たうえで交付します。
老人ホームのスタッフが行うサービスの質を向上させるためにも、研修などの機会を設けると良いとされています。利用者対する最低限守るべきものとして、入浴が困難な利用者に対しては、1週間に2回以上の入浴または清拭を行う必要があり、さらに食事、離床、着替え、整容などの日常生活の世話は適切に行わなければなりません。また利用者の病状に対して臨機応変に対応するため、協力医療機関と協力歯科医療機関を定めておくことが望ましいとされています。
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