介護事業経営支援サイト「けあコンシェル」
けあコンweekly記事

介護医療院のメリットとデメリット

2019/05/20
介護医療院のメリットとデメリット

これまで要介護者のケアのための施設として運営されていた療養病床に替わり、新たに「介護医療院」が登場しました。介護医療院は、従来の療養病床では十分とは言えなかった部分のケアを充実させるために作られた施設です。そこで、介護医療院とは具体的にどのような目的の施設で、どのようなサービスがあるのかについて紹介します。また、介護医療院のメリットや入所を考えるにあたって押さえておくべきポイントについても見ていきましょう。

介護医療院とはどんな施設?

介護医療院は「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナルケア」などの医療機能と「日常生活を営むための施設」としての機能の両方を兼ね備えた、長期的な医療と介護を必要とする高齢者のための施設です。地方公共団体、医療法人、社会福祉法人といった非営利法人が開設の主体となっています。介護医療院では、長期にわたって療養が必要な高齢者に対し、しっかりとした施設サービス計画を立て、医学的管理・看護および日常生活の世話を提供しなければなりません。そうすることにより、高齢者がそれぞれの能力に応じて自立し、豊かな日常生活を営めるよう手助けすることが目的なのです。

介護医療院には(1)型と(2)型があります。(1)型は「介護療養病床相当」の医療ケアをできることが設置基準となります。対象となるのは「重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者等」です。医師は入居者48人に対し1人以上必要で、1施設につき3人以上置かなければなりません。看護師および介護士については入居者6人に対し1人以上が必要です。一方、(2)型は、(1)と比べて容体が比較的安定している人を対象としています。施設基準は「老健施設相当以上」であり、医師は入居者100人に対し1人以上、施設全体で1人以上置かなければなりません。看護師と介護士については、入居者3人に対しどちらかが1人以上必要です。

介護医療院が出来る前は、医療と介護を同時に行う施設である「療養病床」がありました。療養病床は、長期にわたる医療・介護が必要な人を対象とする「介護療養病床」と、比較的症状の軽い人が退院に向けて医療を受けるための「医療療養病床」の2つに分かれています。しかし、この2つは明確に区別できるものではなく、医療を受ける必要性の高い人と症状が軽い人が混在し、医療を効率的に提供できなかったり医療スタッフ不足に陥っていたりなどの問題がありました。また、ベッドが複数ある大部屋はカーテンの仕切りがあるだけの状態で、長期間日常生活を営むには向いていないなどの問題点もあります。これらの問題点を解消し、よりよい医療・介護サービスを提供するために介護医療院が誕生したのです。

医療と介護の両面を併せ持つ?介護医療院のメリットとは

介護医療院は、慢性的な病気に対する医療面でのケアと、長期療養生活を豊かなものとするための介護面でのケアの両方をバランス良く受けられるのが特徴です。急な容体の変化があっても医師や看護師をはじめとする医療スタッフが対応してくれます。終末期医療や看取りなどの場面でも専門のスタッフが適切に対処してくれるので安心です。また、毎日の健康管理やリハビリなどのサポートも充実しているので、個々の入居者の状態に合わせたケアが受けられるでしょう。

さらに、プライバシーの尊重という点もメリットのひとつです。従来の療養病床は、ベッドをカーテンで仕切るだけといった大病院の大部屋のような空間でした。これでは入居者のプライバシーを十分確保できるとは言えません。そこで、介護医療院では、カーテンのみで仕切られるのではなく、家具、パーティションなども組み合わせて入居者個々人のプライバシーが守られるよう配慮され、より生活の場として機能するようになっています。床面積の設置基準も、従来の療養病床では6.4平方メートル/床だったのに対し、介護医療院では8.0平方メートル/床と広くなりました。これらのことから、介護医療院は、長期の療養が必要な高齢者にとって安心して日常生活を送れる空間になっているのです。

通常の介護施設より負担が高い!介護医療院のデメリットについて

介護医療院は、従来の療養病床に比べて高度な医療技術と快適な空間づくりが求められるため、設置及び運営により多くのお金がかかっています。そのぶん、入居に際しても、通常の介護施設よりも負担が高くなってしまう場合もあるので注意しましょう。介護医療院に入居する場合の費用は、施設形態、要介護のレベル、職員数など施設によって異なりますが、おおよそ全体費用の1割~3割と、それにプラスして毎日の食費や生活費などを負担することになります。

標準的な施設規模の介護医療院を例にとると、まず施設の月額利用料金が全体で27万円程度(要介護度1の場合)~45万円程度(要介護度5の場合)となります。そのなかで、3割負担とすると8.1万円程度~13.5万円程度、1割負担とすると2.7万円程度~4.5万円程度の入所費用が必要という計算です。これに加えて日々の食費や生活費などを合算するイメージになります。従来の療養病床では、入所費自体無料の場合もあることを考えると少し割高になることは否めません。

もっとも、介護医療院の利用者負担には所得に応じて上限が設けられており、食費などには低所得者のために所得に応じた負担限度額が設けられています。また、介護医療院の入居費用は、施設ごとに加算や減算があったり、異なったサービス費用があったりしますので、入所を希望する施設に直接確認するとよいでしょう。

リコーリースの介護報酬・障がい福祉ファクタリングは、“負債”扱いにならずに“早期”資金調達ができる介護事業、障がい・福祉事業者向けの金融サービスです。最短5営業日で資金化も可能。サービスの詳細は下記バナーをクリックください。

介護報酬・障がい福祉ファクタリングを見る

けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。

新規会員登録をする
他にもこんな記事があります

Q. 2024年度補正予算の「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業」の詳しい内容を教えてください政府の2024年度補正予算事業として実施が決まった、訪問介護事業者に対する支援の詳しい内容について教えてく...

政府は13日、「地方創生2.0基本構想」を閣議決定した。政策パッケージとして、▽安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生▽稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生-など「政策の5本柱」を策定。「安...

政府は13日、経済財政運営と改革の基本方針「骨太方針2025」を閣議決定した。人口減少などに伴い不要になると推定される病床の削減など、自由民主党・公明党・日本維新の会の3党が合意した社会保障改革を明記した(参...

政府は10日、2025年版「高齢社会白書」を閣議決定した。福祉の現状については、要介護者が増加を続ける中で、23年度に介護職員の数が介護保険制度創設後で初めて前年度割れしたことなどを紹介。 白書によると、...

厚生労働省は11日、貸与の福祉用具のうち居宅内だけでなく居宅外との通信機能を備えた認知症老人徘徊感知機器についても介護保険の給付対象とするなどの取り扱いを示す通知の改正案を「介護保険福祉用具・住宅改修評...

けあコンシェルには、こんなサービスがあります
>>その他サービスを見る

早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。

ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。

車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。

商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。

利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。

感染症や災害への対応力強化へ!BCP 業務改善計画とは?をダウンロード
ヘルスケア・マネジメント.com
ガソリン給油カード、入会金年会費無料

ページトップへ戻る