
実地指導に備えた経営を!介護ビジネスのコンプライアンス・リスク

介護事業は国の許認可事業であるため、定期的な行政の検査が入ることがあります。これを実地指導といいます。実地指導が入る各種事項は介護ビジネスを経営する上で、必ず守られなければいけない法令(コンプライアンス)です。
実地指導は介護事業所におけるサービスの質の向上を目的に行なわれ、その際、必要な書類を揃えられない、記録を残していないなど何らかの改善すべき問題が見つかった場合は「改善指導」がなされます。それが法令違反である場合は、より厳格な「監査」に切り替わり、そこで重大な違反が確認された場合は行政処分が下されます。最悪の場合は指定取り消しになることもあります。指定取り消しにならなかった場合でも、保険給付の返還を求められる場合もあります。
実地指導の入りやすい時期としては、許認可を受けてからだいたい1年前後、さらに6年に一度の指定更新の前後といわれており、指定取り消しは改善命令などの措置を取っても是正されず、引き続き指定を行なうことを制度上認めることができない場合に行なわれます。( 指定取り消し処分は年間100件前後、2000年度から2011年度までは960もの事業所が指定取り消し処分を受けています。実地指導についての詳しい説明、具体的な準備や対応事例については、こちらのページをご覧ください。
>>実地指導について
事業主は介護事業を経営していく上で伴うコンプライアンス・リスクをきちんと認識し、日頃から備えておく必要があります
<記録の作成と補完の義務>
介護ビジネスでは、サービスの提供記録、夜勤業務記録など、いろいろな面で「記録」を作成する必要があります。介護サービスにおいて「記録」がないということは、有無を問わず“サービスを提供していない”と見なされてしまいます。実地指導においても、この記録に基づいて指導が入り、不備があると介護報酬の返還指導がなされる場合もあります。
さらに記録は、「その完結の日から2年間の保存が義務づけ」となっています。完結の日から2年間というのは、サービスが終了した時点から2年という意味であり、サービス提供が継続している利用者についての記録は保管し続ける必要があります。
会計区分も正しい認識を!
会計の区分とは、厚生労働省令37号「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第38条に規定されている運営基準です。
複数の事業所拠点を運営している場合は、その拠点ごとに会計を分けます。例えば訪問介護とデイサービスを同じ事業所の中で行っている場合は会計を2つに分ける必要があります。1つの会社で飲食業(他業種)と訪問介護サービスをしている場合なども同様です。
損益計算書は許認可を受けたサービスごとに作成し、収入だけでなく、給与や電気代などすべての経費もサービスごとに分けて記載しなくてはいけません。経費を使った部署が分かる場合はその部署ごとに会計伝票を起票します。
会計区分については介護施設や社会福祉法人ごとに定められた基準がありますので、それぞれの基準に準拠した処理が必要です。
上記、記録や会計区分についても遵守されていない場合は、実地指導が入ります。正しいコンプライアンスの認識はもちろん、それを職員にも徹底して周知することが必要です。
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厚生労働省は、介護事業所での人件費などの経費を緊急で補助する「2024年度介護人材確保・職場環境改善等事業」のサービス類型ごとの交付率を示した。交付率は、▽訪問介護10.5%▽通所介護6.4%▽通所リハビリテーション5.5%▽小規模多機能型居宅介護8.4%▽介護福祉施設サービス8.3%▽介護保健施設サービス4.3%-など。
厚生労働省は、2024年度の介護報酬改定で創設した「介護職員等処遇改善加算」に関する要件の弾力化を盛り込んだ通知を都道府県などに出した。職場環境改善の要件に関する取り組みを事業者が25年度中に行うと処遇改善計画書で誓約すれば、その要件を満たしていると見なしても差し支えないとした。誓約した事業者は26年3月末までに関連の取り組みを行い、実績報告書でそのことを報告しなければならない。
厚生労働省はこのほど、2024年8月の「介護保険事業状況報告の概要(暫定版)」を公表した。詳細は以下の通り。
千葉県東金市で65年にわたり、地域住民の健康・福祉を支え続けてきた浅井ヘルスケアグループ。そのグループの一員である社会福祉法人ゆりの木会が運営する介護施設「ゆりの木苑」は、長年地域に寄り添い、地域とともに歩んできた。そんな同施設の日常を紹介する。
厚生労働省は、2024年度の補正予算を活用した「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業」について25年度中にケアプランデータ連携システムの利用を開始することを事業所の要件とすると都道府県などに周知した。
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