
特定処遇改善加算とは?今までとの違い・対象者・要件などまとめ

政府は、高齢化社会の進展に伴い介護事業に関して新たな制度設計や法整備を進めています。介護関連政策の一環として、2019年の介護報酬改定により「特定処遇改善加算」が新設されました。今回の記事では、介護事業経営者および担当者向けに「特定処遇改善加算」の概要や「介護職員処理改善加算」との違い、算定要件などを詳しく解説します。
特定処遇改善加算
1.特定処遇改善加算とは?
「特定処遇改善加算」は、今後の介護需要の高まりに対応すべく人材確保の観点から介護職の賃金引き上げを図る制度です。では、その具体的な内容とはいったいどのようなものでしょうか。また、2012年から運用されてきた「介護職員処遇改善加算」とどう違うのでしょうか。はじめに、特定処遇改善加算の概要や介護職員処遇改善加算との違いについて説明します。
1-1.特定処遇改善加算は経験豊富な職員の処遇改善に重点
「介護職員等特定処遇改善加算」、すなわち「特定処遇改善加算」は、従来の「介護職員処遇改善加算」をさらに発展させた制度です。介護職員の待遇改善、特に介護の技能や経験が豊富な職員の処遇を改善することに主眼が置かれています。技能・経験のある介護職員に介護報酬の上乗せ支給をすることにより、職員の働く意欲を高めるとともに離職を防ぐのが目的です。「特定処遇改善加算」が設置された背景には、社会問題化している介護職員の慢性的な人材不足があります。
介護サービスの需要は、年々増加傾向です。 2025年度末までに約245万人の介護人材が必要になるともいわれています。しかし、看護師や介護支援専門員のような同業種の他職に比べ、介護職員の平均給与は低く離職率も高い傾向です。介護職員が不足する原因の一つとして「激務の割に収入が少ないこと」が挙げられます。今後の介護需要を支えるためには、介護職員の処遇を大きく改善して人材不足を解消する必要が出てきました。以前から介護職の待遇改善政策は行われてきましたが、より一層の人材確保を図るために作られたのが「特定処遇改善加算」です。
1-2.今までの「介護職員処遇改善加算」との違い
現行の「介護職員処遇改善加算」は、2011年まで運用されてきた「介護職員処遇改善交付金」に代わり2012年から登場した加算制度です。加算を取得した介護事業者は、その額に見合った賃金の引き上げを行う必要があります。「介護職員処遇改善加算」の適用には、3つのキャリアパス要件と職場環境等要件があり、満たしている要件に応じて報酬加算がなされます。算定要件の区分は加算(1)から加算(5)までの5段階です。この制度は、介護職全般の処遇改善を目的としていました。
しかし、さらなる賃金の引き上げを実現するために「特定処遇改善加算」が新設されたのです。「特定処遇改善加算」が適用されるためには、「従来の処遇改善加算1~3のいずれかを算定していること」が要件となります。
2.算定要件は?
「特定処遇改善加算」の算定要件は、3つあります。1つ目は、従来の処遇改善加算1~3のいずれかを算定していることです。2つ目は、職場環境要件となる「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」の区分で複数の取り組みが行われていることが必要になります。3つ目は、処遇改善の取り組みがホームページなどで「見える化」されていることです。「見える化」では、特定加算の取得状況を報告するとともに、賃金以外の処遇改善への取り組みを具体的に公表することが必要になります。
事業者ホームページへの掲載など、外部から見える形で行うことが必要です。要件自体は、それほど厳しいものではなく、多くの介護事業者が加算の届け出を行うことができるといってよいでしょう。
3.特定処遇改善加算の対象者や配分ルール
加算配分のルールは、主に以下の2つです。まず、事業所の職員を「経験・技能のある介護職員」「その他の介護職員」「その他の職種の職員」に区分します。第1のルールは、経験・技能のある介護職員の中で、「月8万円の処遇改善となる人」「年収の見込み額が440万円以上に引き上げられる人」がいること。第2のルールは、経験・技能のある介護職員の平均引き上げ額がその他の介護職員の2倍以上、その他の職種の職員における平均引き上げ額がその他の介護職員の2分の1以下となるようにすることです。
経験・技能のある介護職員に区分する条件は、「勤続10年以上の介護福祉士」ということが基本となります。しかし、介護職員の経験や技能についての判断は事業所の裁量に任されている部分が多く、勤続年数は他の法人での勤務年数を加えてもよいとされています。もし、「経験・技能のある介護職員」がいない事業所であっても、中途採用などで人材を確保すれば配分ルールを満たすことが可能です。これらの点から、「特定処遇改善加算」は介護職員の待遇改善に際し、以前より柔軟な対応がしやすくなる制度といえるでしょう。
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